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国防大臣
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「ゲームって何の…え?」
初期設定で自動ロックになっていたのか、画面が消えた。
もう一度アプリを開こうと、画面をタッチしてもロックされて開けない状態だ。パスワードはまだ知らされていない。
「はぁ。どうしろってんだよ!!」
ふと窓の外を見ると、いつの間にか風が吹き荒れ、大雨が降っていることに気がついた。
「…ここ、防音なのね。雨が降ってるなんて気づかなかった。」
成宮が窓に手を当てて言った。
「え?防音?」
「だってこんなに雨が降ってたら普通聞こえるじゃない?雨音。」
「確かに…」
僕らは今日、入学式だから学校に来た。
だけど、授業は完全オンラインだから、寮の自室で受けるはずだし、教室の設備がそこまで整っている必要はない筈だ。
怪訝に思っていると、教室の扉が急に開いた!
「おめでとう!栄三高校第一期の諸君!」
「え!?あなたは!!」
「国防大臣の鬼原慎吾さん!?」
俺と学級委員長が同時に驚きの声を上げると、教室は響めいた。
「はっはっは。今日という君達の輝かしい門出に、挨拶に伺わせてもらったよ。入っていいかな?」
大臣が教室に入り、教壇の前に立つと、後ろからゾロゾロと武装した軍隊が大勢入ってきて教室を囲んだ。
生徒達は圧倒され静かに席に座ると、シンと静まり返り、大臣や軍を見つめた。
おかしい…皆そう思っただろう。
ここはオンラインゲームに特化した高校で、軍の機関ではない。自衛隊の養成学校でも警察学校でもない。武装した軍隊が教室にいる事の異常性が心臓を早撃ちさせた。
「生徒諸君。君達は選ばれた人間だ。入学おめでとう!心より!お祝い申し上げる。
さて、この学校についてだが、入学金、授業料、寮費は全て無料。各娯楽施設完備。食事の無償提供。運動設備も整っている。
これらは入学前にアナウンスがあったので周知の事だろう。寮についても、防音個室完備、軍事レベルでネット環境も整っている。
何不自由ない暮らしを約束しよう。それから、セキュリティも万全だ。武装した軍人が教室を囲んでいるが、まぁこの学校に合わせた警備員だと思ってくれたまえ。」
大臣の説明を聞いて、僕は疑念が湧いた。
軍事レベルのネット環境?軍人が警備?一体何のために…
「それから、連絡にはこの学校用Padを使ってくれ。この学校内ではケータイが使えないんだ。」
ズボンのポケットに入ったスマホを取り出すと、圏外と表示されている。確かにスマホは使えなそうだ。
「あの…家族と連絡を取りたい時は?」
生徒の1人が質問すると、和かな笑顔を浮かべた。
「ご家族は了承済みだ。向こうから連絡があった時はちゃんと取り継ぐから安心したまえ。」
…つまり、こちらからは連絡は取れない…という意味か?
初期設定で自動ロックになっていたのか、画面が消えた。
もう一度アプリを開こうと、画面をタッチしてもロックされて開けない状態だ。パスワードはまだ知らされていない。
「はぁ。どうしろってんだよ!!」
ふと窓の外を見ると、いつの間にか風が吹き荒れ、大雨が降っていることに気がついた。
「…ここ、防音なのね。雨が降ってるなんて気づかなかった。」
成宮が窓に手を当てて言った。
「え?防音?」
「だってこんなに雨が降ってたら普通聞こえるじゃない?雨音。」
「確かに…」
僕らは今日、入学式だから学校に来た。
だけど、授業は完全オンラインだから、寮の自室で受けるはずだし、教室の設備がそこまで整っている必要はない筈だ。
怪訝に思っていると、教室の扉が急に開いた!
「おめでとう!栄三高校第一期の諸君!」
「え!?あなたは!!」
「国防大臣の鬼原慎吾さん!?」
俺と学級委員長が同時に驚きの声を上げると、教室は響めいた。
「はっはっは。今日という君達の輝かしい門出に、挨拶に伺わせてもらったよ。入っていいかな?」
大臣が教室に入り、教壇の前に立つと、後ろからゾロゾロと武装した軍隊が大勢入ってきて教室を囲んだ。
生徒達は圧倒され静かに席に座ると、シンと静まり返り、大臣や軍を見つめた。
おかしい…皆そう思っただろう。
ここはオンラインゲームに特化した高校で、軍の機関ではない。自衛隊の養成学校でも警察学校でもない。武装した軍隊が教室にいる事の異常性が心臓を早撃ちさせた。
「生徒諸君。君達は選ばれた人間だ。入学おめでとう!心より!お祝い申し上げる。
さて、この学校についてだが、入学金、授業料、寮費は全て無料。各娯楽施設完備。食事の無償提供。運動設備も整っている。
これらは入学前にアナウンスがあったので周知の事だろう。寮についても、防音個室完備、軍事レベルでネット環境も整っている。
何不自由ない暮らしを約束しよう。それから、セキュリティも万全だ。武装した軍人が教室を囲んでいるが、まぁこの学校に合わせた警備員だと思ってくれたまえ。」
大臣の説明を聞いて、僕は疑念が湧いた。
軍事レベルのネット環境?軍人が警備?一体何のために…
「それから、連絡にはこの学校用Padを使ってくれ。この学校内ではケータイが使えないんだ。」
ズボンのポケットに入ったスマホを取り出すと、圏外と表示されている。確かにスマホは使えなそうだ。
「あの…家族と連絡を取りたい時は?」
生徒の1人が質問すると、和かな笑顔を浮かべた。
「ご家族は了承済みだ。向こうから連絡があった時はちゃんと取り継ぐから安心したまえ。」
…つまり、こちらからは連絡は取れない…という意味か?
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