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転校初日
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「あれ?無い。忘れてきた…くそ。怠いな…」
学校の指定鞄を逆さにし、荷物を全て床に散らばせながら、俺はため息をついた。
この春、希望していた通信制の政府特別認可指定校 私立英造高校オンラインゲーム科に合格した。この学校は今年設立されたばかりの学校で、合格者は全員、政府管理の寮に住むことになっている。
入学金、授業料免除。個室完備。授業は完全オンライン授業。ジムや食堂。学生用映画館にゲームセンターまである。
これらは全て、無料で使えるらしいのだ。
さらに凄いのは、就職先は政府が責任を持つ。と発表された事だ。
それによって当然、この学校を受験する生徒は全国最多となった。
そんな中、俺はこの高校に合格し、今日が
入学式だった。来賓には総理大臣や高官がずらりと並び、メディアNGとなっていても、校舎の外にはカメラマンや記者達でごった返していた。そんな入学式の疲れからか、
うっかり教室に学習用Padを忘れてきてしまったのだ。
面倒に思いながらも、学校に取りに戻る事にした。
季節外れの台風の影響か、空は分厚い黒雲に覆われ、紫がかった気味の悪い色に染まり、生温い風が頬を掠めた。
学校の生徒玄関は閉まっていて、俺は仕方なく、職員玄関にまわって教室に入った。
「えっと…1年A組の黒川です。忘れ物とりにきました…って、誰もいないか…」
窓口で声をかけたが、事務員は留守の様で返事はない。
仕方なく来訪者リストに名前と時間を書くと、うちばきを取りに行くのも面倒なので、靴下のまま階段を2段飛ばしで駆け上がった。
冷たい廊下を歩いて教室に向かうと、
1年A組だけ電気の灯りがついていた。
「よお!お前も呼出か?」
「だるいよねぇー。こんな時間になんなわけぇ?」
一緒のクラスになった吉川頼と成宮碧子が教室に入るなり声をかけてきた。
「いや…俺は忘れ物を取りに学校にきたんだけど…え?全員?」
教室にはおそらくクラスメイト全員が来ていた。
「クラスメールで教室に来る様に連絡があったんだよ。」
学級委員長になった坂井學がひそひそ声で呟く様に言った。
(クラス全員呼び出すって…メールで要件言えよ。このクラスの担任頭悪そう)
机の横に掛けられたPadを取り、カバンに入れようとすると、藁半紙にコピーされたQRコードが貼り付けられていた。
「なんだ…?」
怪訝に思ったのは一瞬で、多分クラスメールに入る為のQRだろうな…そう思った裕樹はPadを起動させてその場でQRを読み取った。
「なんだこれ?」
Padには「リストに無い人物」と表示されている。
もう一度QRコードを読み取ると、何かのアプリがかってにインストールされて起動した。
「ヨウコソ!!1-Aノショクン!!」
「なにこれ。」
「おいおい黒川~何遊んでんだよ。」
吉川がもたれかかりながらPadを覗き込んできた。
「なんだこりゃ?」
「はぁ。先生だれも来ないじゃん。俺、寮に帰るわ。」
クラスメイトの1人が教室から出ていった瞬間だった。
「うわ!何何何?え?怖!わぁあああああ」
鈍く弾ける様な銃声と、クラスメイトの叫び声が聞こえ、クラスは騒然とした。
「え?何?」
「やばくね?」
『コレカラ本当ノ入学式をハジメル!』
学校の指定鞄を逆さにし、荷物を全て床に散らばせながら、俺はため息をついた。
この春、希望していた通信制の政府特別認可指定校 私立英造高校オンラインゲーム科に合格した。この学校は今年設立されたばかりの学校で、合格者は全員、政府管理の寮に住むことになっている。
入学金、授業料免除。個室完備。授業は完全オンライン授業。ジムや食堂。学生用映画館にゲームセンターまである。
これらは全て、無料で使えるらしいのだ。
さらに凄いのは、就職先は政府が責任を持つ。と発表された事だ。
それによって当然、この学校を受験する生徒は全国最多となった。
そんな中、俺はこの高校に合格し、今日が
入学式だった。来賓には総理大臣や高官がずらりと並び、メディアNGとなっていても、校舎の外にはカメラマンや記者達でごった返していた。そんな入学式の疲れからか、
うっかり教室に学習用Padを忘れてきてしまったのだ。
面倒に思いながらも、学校に取りに戻る事にした。
季節外れの台風の影響か、空は分厚い黒雲に覆われ、紫がかった気味の悪い色に染まり、生温い風が頬を掠めた。
学校の生徒玄関は閉まっていて、俺は仕方なく、職員玄関にまわって教室に入った。
「えっと…1年A組の黒川です。忘れ物とりにきました…って、誰もいないか…」
窓口で声をかけたが、事務員は留守の様で返事はない。
仕方なく来訪者リストに名前と時間を書くと、うちばきを取りに行くのも面倒なので、靴下のまま階段を2段飛ばしで駆け上がった。
冷たい廊下を歩いて教室に向かうと、
1年A組だけ電気の灯りがついていた。
「よお!お前も呼出か?」
「だるいよねぇー。こんな時間になんなわけぇ?」
一緒のクラスになった吉川頼と成宮碧子が教室に入るなり声をかけてきた。
「いや…俺は忘れ物を取りに学校にきたんだけど…え?全員?」
教室にはおそらくクラスメイト全員が来ていた。
「クラスメールで教室に来る様に連絡があったんだよ。」
学級委員長になった坂井學がひそひそ声で呟く様に言った。
(クラス全員呼び出すって…メールで要件言えよ。このクラスの担任頭悪そう)
机の横に掛けられたPadを取り、カバンに入れようとすると、藁半紙にコピーされたQRコードが貼り付けられていた。
「なんだ…?」
怪訝に思ったのは一瞬で、多分クラスメールに入る為のQRだろうな…そう思った裕樹はPadを起動させてその場でQRを読み取った。
「なんだこれ?」
Padには「リストに無い人物」と表示されている。
もう一度QRコードを読み取ると、何かのアプリがかってにインストールされて起動した。
「ヨウコソ!!1-Aノショクン!!」
「なにこれ。」
「おいおい黒川~何遊んでんだよ。」
吉川がもたれかかりながらPadを覗き込んできた。
「なんだこりゃ?」
「はぁ。先生だれも来ないじゃん。俺、寮に帰るわ。」
クラスメイトの1人が教室から出ていった瞬間だった。
「うわ!何何何?え?怖!わぁあああああ」
鈍く弾ける様な銃声と、クラスメイトの叫び声が聞こえ、クラスは騒然とした。
「え?何?」
「やばくね?」
『コレカラ本当ノ入学式をハジメル!』
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