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捕縛

41話 嫌がらせ1

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シュオナがターゲット達がいる廃墟近くまで着くと護衛達が周りの見回りをしていた。つい先程、監視していた廃墟近くまで見回りしてくるとは思わなかったのでもう少し離れた場所には高い建物があったのでその屋根に登り千里眼と聴覚強化を使う。
「ーーーーーーだ。何者かが王子を助けだし、この場所にペスタルティナ兵士を送り込んだ。だが、捕らえたと報告を聞いた時、ペスタルティナの新兵1人を実験体に使うために捕まえただけだと聞いた。新兵如きがあの組織を壊滅させて王子達を助けられたとは思えん」
どうやら僕のことを食事をしながら話していたようだ。ここで出ていったら面白そうだが、この流れはこいつらが何故王子達を殺す理由も聞けるかもしれないので我慢する。
「それもそうだが、もし仮にだ。その新兵が特殊で強力な能力を保有していたのなら、壊滅されたと考えてもおかしくない」
「馬鹿なことを言うな。その新兵は入ったばかりの13歳だぞ?何が出来る。無能で使い物にならん。だが、あの組織が実験体を欲しがった理由としてはあるかもな」
おい、どういう意味だ?ああ"?誰が無能で使い物にならんだと?
獣人の男の言葉でシュオナは怒りをあらわにする。殺気がでそうになり、深呼吸をして自分を落ち着かせる。
「まぁ、ペスタルティナもまさか組織があったゼルナロを集合場所にするとは思ってもみないだろう」
「そうだろうな。また舞い戻ってくるなど思わんだろ」
いや、いるからな?ここに。少し考えればお前達のような単細胞な脳味噌じゃ考えていることなんて簡単に分かるぞ?何全員ドヤ顔してるんだよ。
シュオナはターゲット達の会話を見て聞きながら笑いを堪えていた。
「そろそろ嫌がらせ開始するか。最初はやっぱり定番の虫だな。ついでに護衛達にも見せるか。ドラゴンの事もあるから幻と分からないように高度な幻にするか」
シュオナは幻を見せれるように結界自体に干渉してゼルナロ全体に広がらせる。結界には、幻の能力と五感強化と感覚強化と嗅覚強化と感覚変化と視覚変化を使った。感覚変化と視覚変化は幻をさらにリアルに感じてもらおうと思い、本物のように臭いも感触も何もかも現実化したように見せるためのものだ。
さ~て、嫌がらせショータイム!
「お、おい!それ!」
「ぎゃぁああ!?なんで俺のメシの中から虫が!?!」
「う"ぇっ?!」
自信が食べていた夜食から虫が出てきたり、口から虫が出てきたりしてターゲット達は大パニック。
はっきり言って僕から見てもかなり気持ち悪い。口から虫とか無理。しかも感触もあるので足が動いているなども直接分かってしまう。
自分で見せていると分かっていても嫌な光景だ。
「汚ねぇ!近寄るな!!」
「だ、だ助けでぐれ"…ヴェ…!」
淡々と虫を吐いていく男。
「お、おい!周りを見ろ!む、虫が!!」
周りには既にシュオナが虫がワキワキしている光景を見せている。カサカサと動く足の音に何かが擦り合う音。いろんな音をたたせる。
「一体いつから!?護衛は一体何をやっている!!」
叫ぶターゲットの1人。
大丈夫だ。今現在護衛達も同じ事を味わってますよ。
「さて、このまま動かないと幻だと分かってしまうな…よし、1人食われているところでも見せるか」
シュオナは幻を動かして、虫を吐き出している幻を食らっている男へ動かす。
「ひっ!?」
「ぎゃぁあ!たずげでぇ!いやぁだぁ!!」
虫は男を包み込みミシミシという音と男の叫び声を聞き、虫たちの移動で出来た道へ男を見捨て逃げていく。
「やっぱり見捨てたか。1人目は脱落だな。あと22人」
シュオナは脱落した男がいる所へと足を運び、縛り上げる。
「さて、どうやって僕も参加しようか……」
シュオナは脱落者を見つめながら違和感なくこの嫌がらせに幻ではなく自分自身も参加しようか考えを巡らせるのだった。
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