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謎マスコット編
しばかれる!
しおりを挟む「……で、言いたい事は聞いたからもう良いかな。わたし帰れる? っていうかここどこ」
登場人物設定へのクレームを一通り聞き終え、ピュノの息が整うのを大人しく待っていたモリカ。毛先を弄りながら欠伸を漏らした。そもそもキャラクター作りで頭も体力も使い疲れていたのだ。目尻に涙を浮かべる彼女に、ピュノはステッキを突き付けた。
「ココからが本番ですの。どうせ言っただけじゃ伝わらないと思って、モリカには身を持って混沌(カオス)の権化を味わってもらうコトにしてるですの」
「……え!」
「ココはモリカの頭の中が基となるキャラクターや世界観が同居する闇鍋界ですの。ココには困ってる者がたくさんいるから、その悩みを聞いてみるです。ある程度解決出来たら元の世界へ帰してやるですの」
「えー!」
不満にモリカが思わず声を漏らした時、ピュノの顔付きが変わった。
「えーじゃないですの!」
側頭部を走り抜けた衝撃。目が飛び出るかと思ったが何とか耐え、頭を庇いながら横を見る。ピュノが何故か長くて立派なフランスパンを携えていた。
「パン……」
「こほん。ただし、一つだけ気を付けて欲しいですの。街は見ての通り無秩序で雑多。だからこそ奴等は潜みやすく、またこちらも欺きやすいですの」
何の話だろうか。目を瞬かせたモリカに、ピュノはこれまでになく真剣な面持ちを見せる。――ぴりりと、空気が変わった。
生唾を飲み込む。日光を遮る屋根の下、薄い陰が落ちたピュノの顔。その大きな瞳に一筋の光が過った。
「敵組織には――目を付けられてはいけない、ですの」
「敵組織って何?」
どこかで聞いたような台詞を述べるモリカであった。
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