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六公演目――メモリーズオブブラザー
零曲目:???
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暗い店内に首を傾げつつ、ドアにかけられたOPENの文字を信じベルを鳴らす。中は店外から見た印象のとおり照明が全て消えていたが、カウンターや窓辺に目をやれば等間隔でキャンドルが佇んでいた。
「あれ!? 来てくれたのかい! 雨も風もすごかっただろう? 見てのとおり、うちも電気がやられちゃってね。はい、タオル」
古い建物だからなあ、と店主がぼやいたのに呼応するかのように、窓がバスドラムと化す。反して、渡されたタオルはリゾートホテルのそれのごとく上質な手触りだった。
「ガスは生きてるからコーヒーはいれられるんだけど……痛っ! ああ、これさっき割ったやつか……」
カウンターの向こうはいつもに増して騒がしい。店主の悲鳴と鈍い音を五、六度聞いたところで、点滅と共に照明が通電を報せる。
「あっ、やった! これでレコード回せるね! 取り敢えず何かあったかいものでも……いてて、また硝子片か……」
……先に片付けても良いかい? と店主は困り眉で縮こまる。
「そうだ、ちょうど今みたいに停電した日のレコードがあるから、ひとまずそれを流すよ。一曲目の間に片付けて……そうだなあ。飲み物ができたら、照明だけもう一度消そうか。キャンドルも折角並べたしね」
蝋はまだしっかりとその身を保っている。怪我のない数本の指で不格好にレコードをつまみ、不器用に操作する店主を眺めた。
「あれ!? 来てくれたのかい! 雨も風もすごかっただろう? 見てのとおり、うちも電気がやられちゃってね。はい、タオル」
古い建物だからなあ、と店主がぼやいたのに呼応するかのように、窓がバスドラムと化す。反して、渡されたタオルはリゾートホテルのそれのごとく上質な手触りだった。
「ガスは生きてるからコーヒーはいれられるんだけど……痛っ! ああ、これさっき割ったやつか……」
カウンターの向こうはいつもに増して騒がしい。店主の悲鳴と鈍い音を五、六度聞いたところで、点滅と共に照明が通電を報せる。
「あっ、やった! これでレコード回せるね! 取り敢えず何かあったかいものでも……いてて、また硝子片か……」
……先に片付けても良いかい? と店主は困り眉で縮こまる。
「そうだ、ちょうど今みたいに停電した日のレコードがあるから、ひとまずそれを流すよ。一曲目の間に片付けて……そうだなあ。飲み物ができたら、照明だけもう一度消そうか。キャンドルも折角並べたしね」
蝋はまだしっかりとその身を保っている。怪我のない数本の指で不格好にレコードをつまみ、不器用に操作する店主を眺めた。
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