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四公演目――琥珀とラウドスピーカー
零曲目:???
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「……ああ。……うん。悪いね。……うん、その件はおまえに任せるよ。……じゃあ。……おっと! いらっしゃいませ!」
店主は珍しく浮かない顔で、メモ帳にペンを走らせながら淡々と話していたようだった。が、来客に気付くと慌てて受話器を置き、カウンターにメニューをひろげる。
「先々週のサンデー。おかげさまで好評なんだ! 暑いしね。他にもなにか増やそうかなあ。スノーコーンとか?」
メニューに目を向ければ、《サンデーはじめたよ!{日曜日以外も売ります}》と書かれたカラフルな文字。本文と注釈では筆跡が異なり、注釈の方がどこかたどたどしい字体だ。
「それかい? 仲間が付け足してくれたんだ。英語が母語じゃない人には伝わらないかもしれない……ってね。なるほどなあと思って」
やっぱり、僕一人じゃダメなんだよね、と、店主はぽつり呟いた。電話中のそれといい、今日はレアな表情が多い。電話は静かに定位置で佇んでいる。
「……あ、さっきの電話? 大丈夫。もう話は終わってたんだ。かかってくることはないと思うよ。……ちょっとね。親戚についての話で家族から連絡があって」
レコードを取り出すタイミングがいつもより少し早い。針をおろす直前で、店主は思い出したように咳払いをした。
「……ンン。今回お届けするのもそう、正に家族……もっといえば、父親に関する四曲。演奏者によって感じ方も様々な主題。どんなアレンジで奏でられたのか、是非注意深く耳を傾けてくださいますよう」
口上ののち、針は今度こそ落とされた。メニューは、変わらず手元に。
店主は珍しく浮かない顔で、メモ帳にペンを走らせながら淡々と話していたようだった。が、来客に気付くと慌てて受話器を置き、カウンターにメニューをひろげる。
「先々週のサンデー。おかげさまで好評なんだ! 暑いしね。他にもなにか増やそうかなあ。スノーコーンとか?」
メニューに目を向ければ、《サンデーはじめたよ!{日曜日以外も売ります}》と書かれたカラフルな文字。本文と注釈では筆跡が異なり、注釈の方がどこかたどたどしい字体だ。
「それかい? 仲間が付け足してくれたんだ。英語が母語じゃない人には伝わらないかもしれない……ってね。なるほどなあと思って」
やっぱり、僕一人じゃダメなんだよね、と、店主はぽつり呟いた。電話中のそれといい、今日はレアな表情が多い。電話は静かに定位置で佇んでいる。
「……あ、さっきの電話? 大丈夫。もう話は終わってたんだ。かかってくることはないと思うよ。……ちょっとね。親戚についての話で家族から連絡があって」
レコードを取り出すタイミングがいつもより少し早い。針をおろす直前で、店主は思い出したように咳払いをした。
「……ンン。今回お届けするのもそう、正に家族……もっといえば、父親に関する四曲。演奏者によって感じ方も様々な主題。どんなアレンジで奏でられたのか、是非注意深く耳を傾けてくださいますよう」
口上ののち、針は今度こそ落とされた。メニューは、変わらず手元に。
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