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三公演目――兄たちのサニーサイド

零曲目:???

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「やあ、いらっしゃい。レコードだろう? そろそろ来てくれると思ってたんだ。今回はちゃんと計算してあるよ」

 カウンターに佇むグラスの中で、氷がカランと軽やかな音を立てる。アイスコーヒーらしきそれをひとくち含み、喉を鳴らしてから店主は肩を竦めた。

「……といっても、メンバーのみんなに手伝ってもらったんだけどね。なんならほぼやってもらっちゃった気がするなあ。この時間からなら……うん、大丈夫そうだね。陽が沈む前には帰せると思うよ」

 レコードの目の前も含め、カウンター席はすべて空いていた。一方、頭上では時折男性たちの朗笑が響く。話しぶりからして成人、それも店主と同世代……二、三十代の青年のようだが、どこか少年のような幼さも感じさせる声も混ざっていた。

「君さえよければ、今日はカウンターに座るかい? あ、そうだ。夏だしサンデーでもはじめてみようかと思うんだけど、出来上がったら試食してもらえないかな。好きなフルーツはあるかい?」

 上のみんなには内緒でね、とウインクしたのち。おっとその前に……と店主はレコードプレイヤーに触れる。

「如何せん初めて作るからね、お待たせしちゃあいけない。先にかけておこうか。夏……といえば夏、に収録した曲かな。今日みたいな夏真っ盛りというよりは、終わりに近かったけどね」

 レコードが回りだす。店主がしゃがみ、カウンター下で蝶番の軋む音がした数秒後。チリンとグラスが涼しげに歌った。
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