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四章 W5・砂漠エリアです!
二十一話 炎上案件です!
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俺たちは空高く宙を舞っていた。
「おいおい! なんでこうなるんだ! 」
「私の方が聞きたいですよ! 吹き飛ばされたんでしょうか。」
下の砂漠の真ん中に、サンドディザスターはいた。
こちらを向いて、顔を上げている。このままでは、サンドディザスターが待ち構えているところへと真っ逆さまだ。
「ちょいちょい、これってまずいんじゃないの? 」
「かなりまずいですよ! 攻撃を避けられないじゃないですか! 」
このままサンドディザスターの場所に落ちてしまえば、モロに攻撃を受けてしまう。
あと数秒で落ちてしまう。
「真下に落ちるのだけは避けないと! 」
「何か考えがあるんですか? 」
「杖を体の前に構えろ! 」
「こ、こうですか? 」
「おりゃ! 」
「バキッ! 」
俺は大剣の峰でミヤビの杖を全力でぶん殴った。
俺とミヤビは離れて、二方向、斜めに落ち始めた。
「うわっ! 何を! 」
「作用・反作用ってやつだよ。中学理科の。」
俺たちの落下点はサンドディザスターから外れた。
「おわっ! 」
そのまま俺は砂漠の砂の上に落ちた。
砂地がフカフカと柔らかかったので、落下ダメージは無かった。
「ミヤビは? 」
ミヤビが落ちた方を見ると、彼女も無事そうだった。
サンドディザスターは尻尾を唸らせると、その場を薙ぎ払った。
「グオオオ! 」
砂埃が空高く舞い上がった。
凄まじい砂煙で周囲の視界が閉ざされてしまった。サンドディザスターの体さえも見えない。
視界が晴れたあとに残っていたのは、サンドディザスターのみ。その場にいたはずのプレイヤーたちはみんな消えてしまっていた。
向こうからミヤビが走ってきた。
「ロータスさん! 無事ですか? 」
「俺は大丈夫だよ。それより見ろよあそこ。」
「何者もいませんね。あそこにいたプレイヤーたちは? 」
プレイヤーたちは確かにあそこにいたはず。それも大量に。全員がイベントの参加者だった。
「全員、HPが0になってゲームオーバーになったんだろう。」
「ひゃー! とんでもない攻撃ですね。」
プレイヤーがゲームオーバーになるところを初めて見た。ゲームオーバーになっても、多少のペナルティーだけで復活できるとは聞いているが、それにしてもエゲつないもんだ。
さっきまで近くでプレイしていた人たちが一瞬で消えてしまったのだ。
「さすがは特別指定。一発でもマトモには喰らえませんよ。」
12,000ゴールドじゃ安いくらいの強さだ。ここのエリアに出現してはいけないやつだろ。
俺たちはもう一度『隠密』を使った。ちょっと一息つきたいときにも便利なスキルである。
作戦会議だ。
「どうします? 」
「どうしようか? 」
正直どうしたらいいかがわからない。普通にレベル不足だ。
サンドディザスターは興奮してしまったらしく、暴れている。その度にプレイヤーたちがやられていってしまう。
サンドディザスターは見境なく暴れ回るので、こちらにも近づいてきた。
「どうしましょう! こっちに来ましたよ! 」
グルングルンと体を回転させながら近づいてきている。その度に大量の砂埃が立つ。
周りのプレイヤーたちはパニックに陥っている。下から突然怪物が飛び出してきたのだから、当然の話。
逃げ惑うほかのプレイヤーたちを見ると、申し訳なくなってしまう。俺たちがサンドディザスターをつついたばかりに、大量のイベント参加者がリタイアしてしまった。
ある意味俺たちがイベントをぶっ壊しているのである。エリア内を壊して回っているのはサンドディザスターなのだが。
サンドディザスターは近くの山のあたりまで移動していた。草がちらほら生えているだけの、ほぼ裸の山にサンドディザスターは突っ込んだ。
激震が響き渡り、山が揺れた。俺たちも離されてはいけないので、サンドディザスターが行く方向についていったが、突風が吹き付けてきた。
「ん、なんか変な匂いがしません? 」
風に乗ってにおいがしてきた。
「温泉の匂いみたいな、臭いやつです。感じませんか? 」
「言われてみればたしかに……。」
温泉で嗅ぐような、あの卵が腐ったような匂い。これって……
「硫黄の匂いだ! 」
「え! それってどういうことです? 」
「サンドディザスターが暴れたせいで、たまたま大量の硫黄を掘り起こしちゃったんだよ。」
どうしてゲームの中の世界に硫黄の鉱脈なんてあるのか分からないが、ツーンとキツイ硫黄の匂いは本物さながらだ。
ミヤビは硫黄の匂いが流れてくる元に走っていく。
「ロータスさん。硫黄って確か燃えましたよね? 」
「ああ、うん。粉になってるから爆発すると思うけど? 」
「じゃあ、いいこと考えちゃいました! 」
多分良くないだろ、それ。
ミヤビは杖を振りかぶった。
「え、ちょっと察しちゃったけど、何するつもり? 」
「え、決まってるじゃないですか。ちょうどよくファイアロッドを持ってるんですよ? 」
ミヤビはそのまま杖を振り下ろした。
火の玉が杖の先から飛び出した。
「うわ! ほんとにやりやがった! 」
火の玉は硫黄が漂うサンドディザスターに一直線。
「逃げろ! 」
俺がそう叫んで、反対側に駆け出したときだった。
「「「ズダドドドーン!!!! 」」」
轟音を連れて、後ろから爆風がやってきた。
「ギャオアアアアアア!! 」
続いて断末魔。
俺の体も爆風で吹き飛ばされた。体が再びフワリと浮き上がって、柔い砂の上に叩きつけられた。
「ウヴゥ! 」
今度は少し痛かった。ダメージも少し入っている。
爆発が気になって後ろを振り返ると、そこには明るく燃え上がったサンドディザスターの姿があった。
「おいおい! なんでこうなるんだ! 」
「私の方が聞きたいですよ! 吹き飛ばされたんでしょうか。」
下の砂漠の真ん中に、サンドディザスターはいた。
こちらを向いて、顔を上げている。このままでは、サンドディザスターが待ち構えているところへと真っ逆さまだ。
「ちょいちょい、これってまずいんじゃないの? 」
「かなりまずいですよ! 攻撃を避けられないじゃないですか! 」
このままサンドディザスターの場所に落ちてしまえば、モロに攻撃を受けてしまう。
あと数秒で落ちてしまう。
「真下に落ちるのだけは避けないと! 」
「何か考えがあるんですか? 」
「杖を体の前に構えろ! 」
「こ、こうですか? 」
「おりゃ! 」
「バキッ! 」
俺は大剣の峰でミヤビの杖を全力でぶん殴った。
俺とミヤビは離れて、二方向、斜めに落ち始めた。
「うわっ! 何を! 」
「作用・反作用ってやつだよ。中学理科の。」
俺たちの落下点はサンドディザスターから外れた。
「おわっ! 」
そのまま俺は砂漠の砂の上に落ちた。
砂地がフカフカと柔らかかったので、落下ダメージは無かった。
「ミヤビは? 」
ミヤビが落ちた方を見ると、彼女も無事そうだった。
サンドディザスターは尻尾を唸らせると、その場を薙ぎ払った。
「グオオオ! 」
砂埃が空高く舞い上がった。
凄まじい砂煙で周囲の視界が閉ざされてしまった。サンドディザスターの体さえも見えない。
視界が晴れたあとに残っていたのは、サンドディザスターのみ。その場にいたはずのプレイヤーたちはみんな消えてしまっていた。
向こうからミヤビが走ってきた。
「ロータスさん! 無事ですか? 」
「俺は大丈夫だよ。それより見ろよあそこ。」
「何者もいませんね。あそこにいたプレイヤーたちは? 」
プレイヤーたちは確かにあそこにいたはず。それも大量に。全員がイベントの参加者だった。
「全員、HPが0になってゲームオーバーになったんだろう。」
「ひゃー! とんでもない攻撃ですね。」
プレイヤーがゲームオーバーになるところを初めて見た。ゲームオーバーになっても、多少のペナルティーだけで復活できるとは聞いているが、それにしてもエゲつないもんだ。
さっきまで近くでプレイしていた人たちが一瞬で消えてしまったのだ。
「さすがは特別指定。一発でもマトモには喰らえませんよ。」
12,000ゴールドじゃ安いくらいの強さだ。ここのエリアに出現してはいけないやつだろ。
俺たちはもう一度『隠密』を使った。ちょっと一息つきたいときにも便利なスキルである。
作戦会議だ。
「どうします? 」
「どうしようか? 」
正直どうしたらいいかがわからない。普通にレベル不足だ。
サンドディザスターは興奮してしまったらしく、暴れている。その度にプレイヤーたちがやられていってしまう。
サンドディザスターは見境なく暴れ回るので、こちらにも近づいてきた。
「どうしましょう! こっちに来ましたよ! 」
グルングルンと体を回転させながら近づいてきている。その度に大量の砂埃が立つ。
周りのプレイヤーたちはパニックに陥っている。下から突然怪物が飛び出してきたのだから、当然の話。
逃げ惑うほかのプレイヤーたちを見ると、申し訳なくなってしまう。俺たちがサンドディザスターをつついたばかりに、大量のイベント参加者がリタイアしてしまった。
ある意味俺たちがイベントをぶっ壊しているのである。エリア内を壊して回っているのはサンドディザスターなのだが。
サンドディザスターは近くの山のあたりまで移動していた。草がちらほら生えているだけの、ほぼ裸の山にサンドディザスターは突っ込んだ。
激震が響き渡り、山が揺れた。俺たちも離されてはいけないので、サンドディザスターが行く方向についていったが、突風が吹き付けてきた。
「ん、なんか変な匂いがしません? 」
風に乗ってにおいがしてきた。
「温泉の匂いみたいな、臭いやつです。感じませんか? 」
「言われてみればたしかに……。」
温泉で嗅ぐような、あの卵が腐ったような匂い。これって……
「硫黄の匂いだ! 」
「え! それってどういうことです? 」
「サンドディザスターが暴れたせいで、たまたま大量の硫黄を掘り起こしちゃったんだよ。」
どうしてゲームの中の世界に硫黄の鉱脈なんてあるのか分からないが、ツーンとキツイ硫黄の匂いは本物さながらだ。
ミヤビは硫黄の匂いが流れてくる元に走っていく。
「ロータスさん。硫黄って確か燃えましたよね? 」
「ああ、うん。粉になってるから爆発すると思うけど? 」
「じゃあ、いいこと考えちゃいました! 」
多分良くないだろ、それ。
ミヤビは杖を振りかぶった。
「え、ちょっと察しちゃったけど、何するつもり? 」
「え、決まってるじゃないですか。ちょうどよくファイアロッドを持ってるんですよ? 」
ミヤビはそのまま杖を振り下ろした。
火の玉が杖の先から飛び出した。
「うわ! ほんとにやりやがった! 」
火の玉は硫黄が漂うサンドディザスターに一直線。
「逃げろ! 」
俺がそう叫んで、反対側に駆け出したときだった。
「「「ズダドドドーン!!!! 」」」
轟音を連れて、後ろから爆風がやってきた。
「ギャオアアアアアア!! 」
続いて断末魔。
俺の体も爆風で吹き飛ばされた。体が再びフワリと浮き上がって、柔い砂の上に叩きつけられた。
「ウヴゥ! 」
今度は少し痛かった。ダメージも少し入っている。
爆発が気になって後ろを振り返ると、そこには明るく燃え上がったサンドディザスターの姿があった。
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