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四章 W5・砂漠エリアです!
二十話 出会ったのは砂漠の災厄でした!
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サンドディザスターは静かに俺たちを見下ろしていた。すごい大きさだ。顎だけで俺たち二人の身長の合計よりも長い。
不思議と向こうから仕掛けてくる様子はなかった。
「こいつ、特別指定ならポイントは高いのかい? 」
「そうですよ! 800ポイントが獲得できます。」
それだけのポイントがあれば、一気にトップまで躍り出ることが可能だ。
普通のモンスターに換算して80匹分のポイント。それだけのモンスターを倒すパーティーが他にあるとは思えない。
だが問題は、そもそもこいつを倒すことができるのかということだった。
「どのくらい強いの? このサンドディザスターって。」
「懸賞金は12,000ゴールドです。このエリアの特別指定の中では最も高額ですよ。強さもまた、この金額の通りです。」
「どえらい強敵じゃないか! 」
その12,000ゴールドの特別指定が、今目の前にいる。
サンドディザスターは、不自然なほどに動かない。
「仕掛けますか。」
「やるしかないだろう。」
このチャンスを逃せば、もう十位以内は狙えない。
俺たちは、合図で同時に『隠密』で身を隠した。
「俺は右から、ミヤビは左からでいこう! 」
「分かりました! 」
サンドディザスターは俺たちの姿が消えても、動じなかった。
俺たちはすぐにサンドディザスターの左右に回り込んだ。
「行きますよ! 」
「おう! 」
何度もやっている戦法だから、もう息はピッタリだ。二人同時に敵を叩けば、相応のダメージが入る。
「ズドーン! 」
相変わらず凄い音がする。
しかし、その轟音ほどの手応えはなかった。サンドディザスターの黒紫の体には傷がついていないのだ。
「おいおい、どういうことだ? 」
「思った以上に硬いみたいですね。」
サンドディザスターは、怯む様子も見せなかった。
「ボーッとしてたら危ないですよ! 今私たちは見えてるんですから! 」
「しまっ……!! 」
その場から離脱しようといたころには、すでに薙ぎ払われようという大アゴが俺の側まで迫っていた。
とっさに大剣で体をカバーしたが、大アゴで俺は吹き飛ばされてしまった。
「ゴワァ! 」
俺はそのまま凄まじい速度で洞窟の壁面にぶち当たった。
「大丈夫ですか! 」
「う、ううん。」
意識が飛びそうになった。とんでもない攻撃だ。HPは半分以上が削られていた。
「とりあえず『隠密』で身を隠して! 」
俺はミヤビに言われるがままに『隠密』を使って洞窟の端のミヤビのもとまで戻った。
「思ったよりヤバいな‥…。」
「さすがは12,000ゴールドの特別指定モンスターですね。」
ミヤビは道具屋で買い込んでいたキズ薬を渡してくれた。それを受け取ってすぐに使った。
「どうです? 」
「少し癒えてきたような感じだよ。ポカポカする。」
RPGをやるたびに浮かび上がる「普通色々な怪我するのに全部同じ薬とか呪文とかで治るわけなくね? 」という疑問を、力技で納得させられるような感覚。
全身から痛みが暖かさに乗って飛んでいく。
「これすごいよ。」
HPが八割あたりまで回復した。
だが依然として強大なサンドディザスターは目の前にいる。ダメージもほとんど入ってはいないだろう。
「普通に攻撃するんじゃダメだろうね。」
「弱点を狙いますか。」
先程はただ胴体を考え無しに攻撃しただけだった。
だがモンスターには、普通の生き物同様に弱点が存在している。
「コイツの弱点は? 」
「頭じゃないですか? それ以外は全部外殻に覆われています。」
頭か。真正面から切り込むのはかなり胆力がいる。
二本の大アゴの間に入って攻撃しなければならない。
「流石に弱点を突けばダメージが入ると思いますがね。」
「結構な危なさじゃない? 」
「けど、もうやるしかないでしょう。」
サンドディザスターの大アゴは静かに口を開いている。
ミヤビは『隠密』を使ったまま、迷いなくアゴの間へと入り込んだ。
「ほら! ロータスさんも早く! 」
俺は促されたが、彼女ほど躊躇なくはいけなかった。
「おいおい! そんなにズカズカ行っても大丈夫なのかい? 」
「どうせぶっ叩くんですから、どう近づいても一緒ですよ。」
ミヤビは杖を大きく振りかぶった。
俺も動かないサンドディザスターの顔面の真前まできた。顔面は俺たちの背丈以上にデカい。
「じゃあ早速いきますよ。」
「いやいや! 心の準備ってもんがあるだろ。」
「はい? 何を怖がってるんですか? 」
「君はあの攻撃を喰らっていないからそんなことが言えるんだ! 」
「でもやらなくちゃいけないことは同じです。」
ミヤビに促されて俺も大剣を振り上げた。
「おありゃあ! 」
手慣れた攻撃は正確にサンドディザスターの頭を打った。
「ギャアオオオオオオ!!! 」
今度は効いた! サンドディザスターは、けたたましい鳴き声を上げた。
「お! 効いたじゃないですか! 」
「よかった! これで効かなかったらお手上げだもんな。」
だが、次の瞬間だった。
「グォォォォォ!! 」
サンドディザスターが体を唸らせだした。
「ちょっとちょっと! なんなんですか? 」
「分からないよ! でもヤバいよこれ……うわあ! 」
サンドディザスターが暴れ出した! 俺たちはそれに巻き込まれ、周りの土ごと巻き上げられた。
体が強烈に上へと引っ張られる。
「体が千切れそうだ! 」
「私たち、宙に浮いてますよ! 」
ふと見下ろすと、下にはさっきまで歩いていた砂漠が広がっていた。
不思議と向こうから仕掛けてくる様子はなかった。
「こいつ、特別指定ならポイントは高いのかい? 」
「そうですよ! 800ポイントが獲得できます。」
それだけのポイントがあれば、一気にトップまで躍り出ることが可能だ。
普通のモンスターに換算して80匹分のポイント。それだけのモンスターを倒すパーティーが他にあるとは思えない。
だが問題は、そもそもこいつを倒すことができるのかということだった。
「どのくらい強いの? このサンドディザスターって。」
「懸賞金は12,000ゴールドです。このエリアの特別指定の中では最も高額ですよ。強さもまた、この金額の通りです。」
「どえらい強敵じゃないか! 」
その12,000ゴールドの特別指定が、今目の前にいる。
サンドディザスターは、不自然なほどに動かない。
「仕掛けますか。」
「やるしかないだろう。」
このチャンスを逃せば、もう十位以内は狙えない。
俺たちは、合図で同時に『隠密』で身を隠した。
「俺は右から、ミヤビは左からでいこう! 」
「分かりました! 」
サンドディザスターは俺たちの姿が消えても、動じなかった。
俺たちはすぐにサンドディザスターの左右に回り込んだ。
「行きますよ! 」
「おう! 」
何度もやっている戦法だから、もう息はピッタリだ。二人同時に敵を叩けば、相応のダメージが入る。
「ズドーン! 」
相変わらず凄い音がする。
しかし、その轟音ほどの手応えはなかった。サンドディザスターの黒紫の体には傷がついていないのだ。
「おいおい、どういうことだ? 」
「思った以上に硬いみたいですね。」
サンドディザスターは、怯む様子も見せなかった。
「ボーッとしてたら危ないですよ! 今私たちは見えてるんですから! 」
「しまっ……!! 」
その場から離脱しようといたころには、すでに薙ぎ払われようという大アゴが俺の側まで迫っていた。
とっさに大剣で体をカバーしたが、大アゴで俺は吹き飛ばされてしまった。
「ゴワァ! 」
俺はそのまま凄まじい速度で洞窟の壁面にぶち当たった。
「大丈夫ですか! 」
「う、ううん。」
意識が飛びそうになった。とんでもない攻撃だ。HPは半分以上が削られていた。
「とりあえず『隠密』で身を隠して! 」
俺はミヤビに言われるがままに『隠密』を使って洞窟の端のミヤビのもとまで戻った。
「思ったよりヤバいな‥…。」
「さすがは12,000ゴールドの特別指定モンスターですね。」
ミヤビは道具屋で買い込んでいたキズ薬を渡してくれた。それを受け取ってすぐに使った。
「どうです? 」
「少し癒えてきたような感じだよ。ポカポカする。」
RPGをやるたびに浮かび上がる「普通色々な怪我するのに全部同じ薬とか呪文とかで治るわけなくね? 」という疑問を、力技で納得させられるような感覚。
全身から痛みが暖かさに乗って飛んでいく。
「これすごいよ。」
HPが八割あたりまで回復した。
だが依然として強大なサンドディザスターは目の前にいる。ダメージもほとんど入ってはいないだろう。
「普通に攻撃するんじゃダメだろうね。」
「弱点を狙いますか。」
先程はただ胴体を考え無しに攻撃しただけだった。
だがモンスターには、普通の生き物同様に弱点が存在している。
「コイツの弱点は? 」
「頭じゃないですか? それ以外は全部外殻に覆われています。」
頭か。真正面から切り込むのはかなり胆力がいる。
二本の大アゴの間に入って攻撃しなければならない。
「流石に弱点を突けばダメージが入ると思いますがね。」
「結構な危なさじゃない? 」
「けど、もうやるしかないでしょう。」
サンドディザスターの大アゴは静かに口を開いている。
ミヤビは『隠密』を使ったまま、迷いなくアゴの間へと入り込んだ。
「ほら! ロータスさんも早く! 」
俺は促されたが、彼女ほど躊躇なくはいけなかった。
「おいおい! そんなにズカズカ行っても大丈夫なのかい? 」
「どうせぶっ叩くんですから、どう近づいても一緒ですよ。」
ミヤビは杖を大きく振りかぶった。
俺も動かないサンドディザスターの顔面の真前まできた。顔面は俺たちの背丈以上にデカい。
「じゃあ早速いきますよ。」
「いやいや! 心の準備ってもんがあるだろ。」
「はい? 何を怖がってるんですか? 」
「君はあの攻撃を喰らっていないからそんなことが言えるんだ! 」
「でもやらなくちゃいけないことは同じです。」
ミヤビに促されて俺も大剣を振り上げた。
「おありゃあ! 」
手慣れた攻撃は正確にサンドディザスターの頭を打った。
「ギャアオオオオオオ!!! 」
今度は効いた! サンドディザスターは、けたたましい鳴き声を上げた。
「お! 効いたじゃないですか! 」
「よかった! これで効かなかったらお手上げだもんな。」
だが、次の瞬間だった。
「グォォォォォ!! 」
サンドディザスターが体を唸らせだした。
「ちょっとちょっと! なんなんですか? 」
「分からないよ! でもヤバいよこれ……うわあ! 」
サンドディザスターが暴れ出した! 俺たちはそれに巻き込まれ、周りの土ごと巻き上げられた。
体が強烈に上へと引っ張られる。
「体が千切れそうだ! 」
「私たち、宙に浮いてますよ! 」
ふと見下ろすと、下にはさっきまで歩いていた砂漠が広がっていた。
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