17 / 45
四章 W5・砂漠エリアです!
十七話 砂漠イベントです!
しおりを挟む
エリア限定のイベントの告知に、プレイヤーたちは色めきたった。俺たちも無論例外ではない。
「エリア限定イベント『ハンターズナイト in W5』開催決定!! 」
「絶対参加しましょうよ! これ! 」
「そうだね! 内容は書いてある? 」
「ええとですね。」
貼り紙の下の方には、イベントの内容について書いてあった。
イベントの内容は、簡単に言うとモンスターの討伐だ。ここにきてオーソドックスなイベントである。
「砂漠内にいるモンスター全てが対象なようです。」
「へえ、しかもポイント制みたいだね。」
「特別指定モンスターはそれぞれ個別のポイントが設けられてるみたいですけど、それ以外は一律で10ポイントですよ。」
「じゃあさっきの鉄サソリみたいなのはコスパが悪いってことですね。」
「そうだね。そこら辺も考えないといけないのか。」
イベントの開催は明日の21時だった。
今日はもうすることがないということで、翌日の18時を集合時間に決めてから解散した。
翌日、俺は仕事を手早く済ませてからログインした。原稿になにか問題があったとしても、俺はもうゲームの中だ。
決められた18時に広場でミヤビと集合した。にしても、彼女は一体どんな生活をしているのだろうか?
俺はこの通りだから、ゲームにもしょっちゅうログインできるのだけれど、彼女はどうしてこんなにたくさんゲームができるのだろうか?
「どうしました? ロータスさん。」
「ああ、いや。なんでもないよ。」
3時間も前乗りしたのは、下見のためだ。俺たちはまだ砂漠全体を見てはいない。このままでイベントに臨んでは、不利になってしまう。
情報が大切なのは、前回のイベントでも思い知っているので、その教訓を活かすのだ。
砂漠に出ると、ほかのプレイヤーがチラホラと見えた。彼らもおそらくはイベントに参加する予定なのだろう。
「ライバルですかね。今のうちに消してしまえたらいいのに。」
「おいおい、怖いよ! 」
「冗談ですよ、冗談。」
冗談とは言いながらミヤビは背中の杖に手をかけていた。
砂漠の端の方を目指して歩いてみた。どこまでも広陵で、代わり映えのない景色。地図が無ければすぐに迷ってしまいそうだ。
その間遭遇するモンスターたちはざっと六種類程度。「オイルタンク」、「鉄サソリ」、「化けコブラ」は戦ったことがあったが、他にもいたのだ。
一つは「サンドフィッシュ」。人の体の大きさほどの魚のモンスターだ。砂の中を素早く泳ぎ回るので割と厄介。
二匹目は「サボテンドール」。歩くサボテンのモンスターだ。見た目通りの物理系なので、俺たちとの相性は結構良さそうである。
三匹目は「デザートワーム」だ。こいつはレアな部類らしく、俺たちが歩く間に一回しか遭遇しなかった。その割には何かの特徴があるわけでもなかった。
ひとしきり砂漠をまわり終えた。
「こんなもんでしょうかね。」
「まあこんだけ周れば遭遇してないモンスターはいないんじゃないかな。」
「でも、特別指定が一匹も現れなかったのは疑問ですね。」
イベントの告知には、特別指定モンスターの出現が示唆されていた。
しかし、俺たちが砂漠を歩いている間、影さえも見ることはなかった。
「もしかしたら、イベント本番にならないと遭遇しない仕様なんじゃないかな? 」
周りのプレイヤーたちも、特別指定とは遭遇していないようだった。
オアシスの町に戻る頃には、20時半になっていた。
「割と時間かかりましたね。」
「下見してたら遅刻しましたなんて笑えないからね。」
広場を見れば、すでに準備を整えているパーティーが何組かあった。
広場のヤシの木のもとで座って待っているプレイヤーもいた。
「今回は競争になるんだね。」
「上位十パーティーに賞品だそうです。」
「賞品って? 」
掲示板の告知の下の方を見ると、賞品の内容について書かれてあった。
「10,000ゴールド、『砂漠の涙』」
と、書かれてある。
「この、『砂漠の涙』ってのは何なんでしょうね。」
「多分装備品だろうね。どんな見た目でどんな効果なのかは全く分からないけど。」
『砂漠の涙』の説明は一切無かった。
もうすぐ21時になるところ。日はもう遠くに落ちてしまい、空は紺色。アラビアンナイトの世界だ。
広場には参加パーティーが一同に会した。人数は百余人。パーティー数にして30程度か。
賞品を貰うためには上位三分の一に入らなければならない。
21時になって、広場の中央に案内ドラゴンが現れた。
「お待たせ、プレイヤーのみんな! 今からエリア限定イベント『ハンターズナイト in W5』を開催するよ! 」
「「「オオオオオ!!! 」」」
広場は盛り上がっていた。
俺たちはなまじ早く広場に着いていたがために、この広場のど真ん中にいた。
「凄まじい熱気だね。」
「みんな楽しみだったんでしょうね。」
案内ドラゴンは説明を始めた。
「今回のイベントについて簡単なルール説明だよ。今回は、みんなにはモンスターの討伐ポイントで競ってもらう。討伐ポイントについてはイベントルールを開いてもらえばいつでも見ることができるよ! 」
書かれてあったことと同じだ。
「スタート地点はこの広場。時間は21時10分から22時10分までの1時間! ポイント上位十組のパーティーにはステキな賞品があるよ! 僕からの説明はそのくらいかな? みんなの健闘を祈っているよ! 」
そう言い残して、案内ドラゴンは消えた。
「エリア限定イベント『ハンターズナイト in W5』開催決定!! 」
「絶対参加しましょうよ! これ! 」
「そうだね! 内容は書いてある? 」
「ええとですね。」
貼り紙の下の方には、イベントの内容について書いてあった。
イベントの内容は、簡単に言うとモンスターの討伐だ。ここにきてオーソドックスなイベントである。
「砂漠内にいるモンスター全てが対象なようです。」
「へえ、しかもポイント制みたいだね。」
「特別指定モンスターはそれぞれ個別のポイントが設けられてるみたいですけど、それ以外は一律で10ポイントですよ。」
「じゃあさっきの鉄サソリみたいなのはコスパが悪いってことですね。」
「そうだね。そこら辺も考えないといけないのか。」
イベントの開催は明日の21時だった。
今日はもうすることがないということで、翌日の18時を集合時間に決めてから解散した。
翌日、俺は仕事を手早く済ませてからログインした。原稿になにか問題があったとしても、俺はもうゲームの中だ。
決められた18時に広場でミヤビと集合した。にしても、彼女は一体どんな生活をしているのだろうか?
俺はこの通りだから、ゲームにもしょっちゅうログインできるのだけれど、彼女はどうしてこんなにたくさんゲームができるのだろうか?
「どうしました? ロータスさん。」
「ああ、いや。なんでもないよ。」
3時間も前乗りしたのは、下見のためだ。俺たちはまだ砂漠全体を見てはいない。このままでイベントに臨んでは、不利になってしまう。
情報が大切なのは、前回のイベントでも思い知っているので、その教訓を活かすのだ。
砂漠に出ると、ほかのプレイヤーがチラホラと見えた。彼らもおそらくはイベントに参加する予定なのだろう。
「ライバルですかね。今のうちに消してしまえたらいいのに。」
「おいおい、怖いよ! 」
「冗談ですよ、冗談。」
冗談とは言いながらミヤビは背中の杖に手をかけていた。
砂漠の端の方を目指して歩いてみた。どこまでも広陵で、代わり映えのない景色。地図が無ければすぐに迷ってしまいそうだ。
その間遭遇するモンスターたちはざっと六種類程度。「オイルタンク」、「鉄サソリ」、「化けコブラ」は戦ったことがあったが、他にもいたのだ。
一つは「サンドフィッシュ」。人の体の大きさほどの魚のモンスターだ。砂の中を素早く泳ぎ回るので割と厄介。
二匹目は「サボテンドール」。歩くサボテンのモンスターだ。見た目通りの物理系なので、俺たちとの相性は結構良さそうである。
三匹目は「デザートワーム」だ。こいつはレアな部類らしく、俺たちが歩く間に一回しか遭遇しなかった。その割には何かの特徴があるわけでもなかった。
ひとしきり砂漠をまわり終えた。
「こんなもんでしょうかね。」
「まあこんだけ周れば遭遇してないモンスターはいないんじゃないかな。」
「でも、特別指定が一匹も現れなかったのは疑問ですね。」
イベントの告知には、特別指定モンスターの出現が示唆されていた。
しかし、俺たちが砂漠を歩いている間、影さえも見ることはなかった。
「もしかしたら、イベント本番にならないと遭遇しない仕様なんじゃないかな? 」
周りのプレイヤーたちも、特別指定とは遭遇していないようだった。
オアシスの町に戻る頃には、20時半になっていた。
「割と時間かかりましたね。」
「下見してたら遅刻しましたなんて笑えないからね。」
広場を見れば、すでに準備を整えているパーティーが何組かあった。
広場のヤシの木のもとで座って待っているプレイヤーもいた。
「今回は競争になるんだね。」
「上位十パーティーに賞品だそうです。」
「賞品って? 」
掲示板の告知の下の方を見ると、賞品の内容について書かれてあった。
「10,000ゴールド、『砂漠の涙』」
と、書かれてある。
「この、『砂漠の涙』ってのは何なんでしょうね。」
「多分装備品だろうね。どんな見た目でどんな効果なのかは全く分からないけど。」
『砂漠の涙』の説明は一切無かった。
もうすぐ21時になるところ。日はもう遠くに落ちてしまい、空は紺色。アラビアンナイトの世界だ。
広場には参加パーティーが一同に会した。人数は百余人。パーティー数にして30程度か。
賞品を貰うためには上位三分の一に入らなければならない。
21時になって、広場の中央に案内ドラゴンが現れた。
「お待たせ、プレイヤーのみんな! 今からエリア限定イベント『ハンターズナイト in W5』を開催するよ! 」
「「「オオオオオ!!! 」」」
広場は盛り上がっていた。
俺たちはなまじ早く広場に着いていたがために、この広場のど真ん中にいた。
「凄まじい熱気だね。」
「みんな楽しみだったんでしょうね。」
案内ドラゴンは説明を始めた。
「今回のイベントについて簡単なルール説明だよ。今回は、みんなにはモンスターの討伐ポイントで競ってもらう。討伐ポイントについてはイベントルールを開いてもらえばいつでも見ることができるよ! 」
書かれてあったことと同じだ。
「スタート地点はこの広場。時間は21時10分から22時10分までの1時間! ポイント上位十組のパーティーにはステキな賞品があるよ! 僕からの説明はそのくらいかな? みんなの健闘を祈っているよ! 」
そう言い残して、案内ドラゴンは消えた。
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説

Free Emblem On-line
ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。
VRMMO『Free Emblem Online』
通称『F.E.O』
自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。
ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。
そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。
なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。

神速の冒険者〜ステータス素早さ全振りで無双する〜
FREE
ファンタジー
Glavo kaj Magio
通称、【GKM】
これは日本が初めて開発したフルダイブ型のVRMMORPGだ。
世界最大規模の世界、正確な動作、どれを取ってもトップレベルのゲームである。
その中でも圧倒的人気な理由がステータスを自分で決めれるところだ。
この物語の主人公[速水 光]は陸上部のエースだったが車との交通事故により引退を余儀なくされる。
その時このゲームと出会い、ステータスがモノを言うこの世界で【素早さ】に全てのポイントを使うことを決心する…
【14万PV感謝!!】異世界で配合屋始めたら思いのほか需要がありました! 〜魔物の配合が世界を変える〜
中島菘
ファンタジー
電車で刺された男・タイセイは気づけば魔物が人間と共に堂々と道の真ん中を闊歩するような異世界にいた。身分も何もかもない状態になってしまい、途方に暮れる彼だったが、偶然取り組み始めた配合による小魚の新種の作成を始めた。
配合というアイデアは、画期的なアイデアで、ある日彼が転生した大都市ホルンメランの美少女首長がそれに目をつけ、タイセイを呼び出す。
彼女との出会いをきっかけとして、タイセイの異世界生活は大きく動き出しはじめた!
やがてタイセイの数奇な運命は異世界全体を巻き込んでいく……

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO
無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。
名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。
小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。
特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。
姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。
ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。
スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。
そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。

VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?
ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚
そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

沢山寝たい少女のVRMMORPG〜武器と防具は枕とパジャマ?!〜
雪雪ノ雪
ファンタジー
世界初のフルダイブ型のVRゲーム『Second World Online』通称SWO。
剣と魔法の世界で冒険をするVRMMORPGだ。
このゲームの1番の特徴は『ゲーム内での3時間は現実世界の1時間である』というもの。
これを知った少女、明日香 睡月(あすか すいげつ)は
「このゲームをやれば沢山寝れる!!」
と言いこのゲームを始める。
ゲームを始めてすぐ、ある問題点に気づく。
「お金がないと、宿に泊まれない!!ベットで寝れない!!....敷布団でもいいけど」
何とかお金を稼ぐ方法を考えた明日香がとった行動は
「そうだ!!寝ながら戦えばお金も経験値も入って一石三鳥!!」
武器は枕で防具はパジャマ!!少女のVRMMORPGの旅が今始まる!!
..........寝ながら。

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる