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四章 W5・砂漠エリアです!
十六話 杖の力で物理専門から脱却です!
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『ファイアロッド』、これはもしかしたら俺たちの救世主になるかもしれない。振りかざせば、魔法が使えない盗賊の俺たちでも、低級の火属性魔法と同じような攻撃ができるようになるのだから。
俺自身、自分の大剣のことは二の次だった。
「これ買おうよ! これがあればさっきのサソリとだって戦える。」
「もちろんですよ! 買わないわけがないです。お金は山ほどありますからね。」
ミヤビは迷うことなくポチった。
渡された杖はうねった木の先に火のような赤い玉がついているというデザイン。オーソドックスな感じの杖だった。
ミヤビは気に入っているようだった。
「ロータスさんも早く武器選んでくださいよ。私、早くこの杖試したいですから。」
ソワソワしている彼女の横で、俺は大剣の一覧を開いた。
大剣には特殊能力のついたものはなかった。そもそも火力に全振りしているという大剣の特性上仕方のないことではあるのだが。
俺はリストの中で一番攻撃力の高い『サンドストーム』を買った。3,500ゴールドは、普通のプレイヤーには中々の高価なのだが、俺たちが金銭面で困ることはない。
二人して武器を新調することができたので、次は防具かと思ったが、ミヤビが杖を早く試したいというので、俺たちは町の外にでた。
オアシスの力は半端ないらしく、町から出たとたんに暑くなった。
「うわあ、ここまで再現しなくてもいいのに……。」
「いいじゃない、リアルで。」
しかし、こんなに暑いのに汗だけは出ないのは違和感がある。まあゲームで脱水症状なんて洒落にならないしな。
歩き回ると、一頭のラクダが現れた。最初はただのラクダが歩いているだけだと思っていたが、ラクダの上にモンスター名が表示されたので、敵であることが分かった。
モンスター名は「オイルタンク」。見た目は完全にヒトコブラクダだ。
オイルタンクは俺たちに気づくと、すぐに臨戦態勢をとった。見た目に反して好戦的なようだ。
ミヤビは真っ先に動いた。
「それっ! 」
杖をオイルタンクに向けて振りかざすと、杖の先の玉から炎の玉が飛び出た。
「おお! 本当に出た! 」
メロンほどの大きさの炎の玉は一直線にオイルタンクめがけて飛んでいった。
火の玉はオイルタンクに命中すると、その体を包み込んだ。
「ギャオ! 」
ダメージもしっかり入っている。
「ちょっと可哀想ですけどね。どうせなら一撃で殺ってあげたいです。」
「さらっと怖いよ。」
火は持続ダメージが入るようだった。いつまでもほったらかしにするのも可哀想なので、俺がトドメを刺した。
俺の『サンドストーム』もなかなかの威力だった。最初からこの一撃で倒せたほどのダメージが出る。
もしかしたらあのサソリだってこれで倒せてしまうんじゃないかとさえ思ってしまう。
オイルタンクは結局一発も攻撃せずに倒れてしまった。
「ほんとはどんな戦い方をするんでしょうね? 」
「油を出してくるんじゃない? 油だし。」
「そんなに安直じゃないでしょ。」
狙っているのはラクダなんかじゃない。あの鉄サソリだ。あれを倒せるかどうかが大事なんだ。
サソリを探すべく、砂漠の中を歩き回る。
「そういえば、サソリって毒あるのかな? 」
「あるんじゃないですかね? 」
「でも全く解毒薬なんて持ってきてないよ。」
解毒薬や傷薬などの回復アイテムは、普通は町の道具屋で買う。
しかし俺たちは、『隠密』があるからどうせ被弾しないだろうということで、これらの道具を全く買っていなかった。
「当たらなければいいんですよ。」
ミヤビは今もこう言っている。
歩き回ってから、四度目の戦闘だった。
「こいつですよ! メタリックのサソリ。」
鉄サソリは単体で現れた。
サソリはすぐに俺たちに威嚇した。
「そんなにアピールしなくても、すぐに殺してあげますよ。」
ミヤビは杖を振りかざした。
炎の玉が杖から飛び出して、まるでそれ自身が意思を持っているかの如く、うなりながらサソリに襲いかかった。
サソリは火の玉をかわせなかった。
「ボフゥ! 」
鉄サソリは全身が火に包まれた。
「ピギャア!! 」
打撃ではびくともしなかったサソリが、今度は明らかに苦しみ始めた。
「効いてますよ! すごいです! 」
「杖の力でも魔法みたいに効くんだね。」
サソリは激しく燃え上がっている。
鉄という名前の割には、熱にはそんなに強くないようだ。サソリは火に悶えてのたうち回っている。
「あまり苦しめたくないな……。」
「優しいんですね。」
「おりゃ! 」
トドメを刺そうと、俺は大剣を振り下ろしたが、やはり物理は効かなかった。
炎の持続ダメージはすぐにサソリの体力を全て削り切ってしまい、倒れてしまった。鉄サソリは、物理防御力が極端に高い代わりに体力は少ないようだ。
俺たちはそのあとも、砂漠をしばらく歩き回ったが、特にかわったこともなく、街に戻った。
オアシスの町の広場は騒がしくなっていた。
「何でしょうか? 人が集まっています。」
「行ってみよう。」
人混みの中心には、掲示板があった。
みんなが注目しているのは、一枚の貼り紙。
『エリア限定イベント開催!! 』
俺自身、自分の大剣のことは二の次だった。
「これ買おうよ! これがあればさっきのサソリとだって戦える。」
「もちろんですよ! 買わないわけがないです。お金は山ほどありますからね。」
ミヤビは迷うことなくポチった。
渡された杖はうねった木の先に火のような赤い玉がついているというデザイン。オーソドックスな感じの杖だった。
ミヤビは気に入っているようだった。
「ロータスさんも早く武器選んでくださいよ。私、早くこの杖試したいですから。」
ソワソワしている彼女の横で、俺は大剣の一覧を開いた。
大剣には特殊能力のついたものはなかった。そもそも火力に全振りしているという大剣の特性上仕方のないことではあるのだが。
俺はリストの中で一番攻撃力の高い『サンドストーム』を買った。3,500ゴールドは、普通のプレイヤーには中々の高価なのだが、俺たちが金銭面で困ることはない。
二人して武器を新調することができたので、次は防具かと思ったが、ミヤビが杖を早く試したいというので、俺たちは町の外にでた。
オアシスの力は半端ないらしく、町から出たとたんに暑くなった。
「うわあ、ここまで再現しなくてもいいのに……。」
「いいじゃない、リアルで。」
しかし、こんなに暑いのに汗だけは出ないのは違和感がある。まあゲームで脱水症状なんて洒落にならないしな。
歩き回ると、一頭のラクダが現れた。最初はただのラクダが歩いているだけだと思っていたが、ラクダの上にモンスター名が表示されたので、敵であることが分かった。
モンスター名は「オイルタンク」。見た目は完全にヒトコブラクダだ。
オイルタンクは俺たちに気づくと、すぐに臨戦態勢をとった。見た目に反して好戦的なようだ。
ミヤビは真っ先に動いた。
「それっ! 」
杖をオイルタンクに向けて振りかざすと、杖の先の玉から炎の玉が飛び出た。
「おお! 本当に出た! 」
メロンほどの大きさの炎の玉は一直線にオイルタンクめがけて飛んでいった。
火の玉はオイルタンクに命中すると、その体を包み込んだ。
「ギャオ! 」
ダメージもしっかり入っている。
「ちょっと可哀想ですけどね。どうせなら一撃で殺ってあげたいです。」
「さらっと怖いよ。」
火は持続ダメージが入るようだった。いつまでもほったらかしにするのも可哀想なので、俺がトドメを刺した。
俺の『サンドストーム』もなかなかの威力だった。最初からこの一撃で倒せたほどのダメージが出る。
もしかしたらあのサソリだってこれで倒せてしまうんじゃないかとさえ思ってしまう。
オイルタンクは結局一発も攻撃せずに倒れてしまった。
「ほんとはどんな戦い方をするんでしょうね? 」
「油を出してくるんじゃない? 油だし。」
「そんなに安直じゃないでしょ。」
狙っているのはラクダなんかじゃない。あの鉄サソリだ。あれを倒せるかどうかが大事なんだ。
サソリを探すべく、砂漠の中を歩き回る。
「そういえば、サソリって毒あるのかな? 」
「あるんじゃないですかね? 」
「でも全く解毒薬なんて持ってきてないよ。」
解毒薬や傷薬などの回復アイテムは、普通は町の道具屋で買う。
しかし俺たちは、『隠密』があるからどうせ被弾しないだろうということで、これらの道具を全く買っていなかった。
「当たらなければいいんですよ。」
ミヤビは今もこう言っている。
歩き回ってから、四度目の戦闘だった。
「こいつですよ! メタリックのサソリ。」
鉄サソリは単体で現れた。
サソリはすぐに俺たちに威嚇した。
「そんなにアピールしなくても、すぐに殺してあげますよ。」
ミヤビは杖を振りかざした。
炎の玉が杖から飛び出して、まるでそれ自身が意思を持っているかの如く、うなりながらサソリに襲いかかった。
サソリは火の玉をかわせなかった。
「ボフゥ! 」
鉄サソリは全身が火に包まれた。
「ピギャア!! 」
打撃ではびくともしなかったサソリが、今度は明らかに苦しみ始めた。
「効いてますよ! すごいです! 」
「杖の力でも魔法みたいに効くんだね。」
サソリは激しく燃え上がっている。
鉄という名前の割には、熱にはそんなに強くないようだ。サソリは火に悶えてのたうち回っている。
「あまり苦しめたくないな……。」
「優しいんですね。」
「おりゃ! 」
トドメを刺そうと、俺は大剣を振り下ろしたが、やはり物理は効かなかった。
炎の持続ダメージはすぐにサソリの体力を全て削り切ってしまい、倒れてしまった。鉄サソリは、物理防御力が極端に高い代わりに体力は少ないようだ。
俺たちはそのあとも、砂漠をしばらく歩き回ったが、特にかわったこともなく、街に戻った。
オアシスの町の広場は騒がしくなっていた。
「何でしょうか? 人が集まっています。」
「行ってみよう。」
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みんなが注目しているのは、一枚の貼り紙。
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