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一章 アンバランスな盗賊爆誕!
二話 大剣担いだ盗賊なんて相手にされません!
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大剣を背負って武器屋を出ると、俺はすぐに注目を集め始めた。俺が今着ているのは、初期装備とはいえれっきとした盗賊の装備である。
それを着ているというのに大剣を担いでいるというのは、はっきり言ってあり得ないのである。
本当に、どういうことなのだろうか。バグだとは思うのだけれど、さっきから何も通達がこない。ひとまずこのままプレイを続けてみよう。
プレイヤーたちは、個人で活動することもあるものの、基本的にはギルドに加入して、その上でパーティーを組んで活動する。俺も今からそのギルドに加入するという流れだ。
ギルドはエリアにつき一つ存在しており、よって俺が加入するギルドは今いるエリアのギルドだ。地図を見てみると、町の最北端にあるようだから、すぐに向かった。
一際大きな建物が見えてきた。あの白い建物がギルドだ。ギルドはそのエリアの象徴として町に置かれている側面がある。なので、基本的には町で最も立派な建物だというわけだ。
中には人が大勢いた。この全員がゲームのプレイヤーだ。みんな現実に存在する人間と考えるとちょっと変な感じ。
そこでも奇怪な身なりをしている俺はやはり注目された。話しかけられることはなかったけども。まあ怪しい奴にはそりゃ声はかけんわな。
俺は受付を見つけてそこに行った。受付の中にはお姉さんがいて、応対してくれた。
「あの、ここのギルドに加入したいのですが。」
「はい、いいですよ。ここの書類に必要事項を記入していってください。」
差し出された紙には諸々のことを書き込む空欄がある。プレイヤー名や職業は現れたボタンを押すと自動で入力された。
他にもいろいろ聞かれたが、特段問題なく答えていく。
残ったのは所属パーティー欄だった。これはどうしたらいいのだろう。まだ仲間なんているはずもないし……
俺がなかなか記入しないことに気づいたお姉さんは親切に聞いてきてくれた。
「もしかして、まだ参加するパーティーが決まってないんですか? 」
「う、うん。実はね……」
「ならいいですよ、空欄のままで。決まったらまた来てください! 」
お姉さんはそう言うと、完成した俺のギルドカードを手渡してくれた。
ギルドに加入できたのはよかったものの、パーティーが決まらないんじゃいろいろと困ってしまう。
しかし俺はバグのせいで大剣しか使えない。盗賊の強みは俊敏性なのに、それを全否定するような装備をしている俺を誰がパーティーに加えてくれるというのだろうか。
とはいえ人は大勢いるので、俺は自分を売り込んでまわった。誰かしら優しい人はいないだろうかと。
まあ、そう上手くいくわけはないのだが。もう十数組に聞いて回っただろうか。このゲームは随分民度がいいようで、暴言を吐かれたりすることはなかった。だがみんな、やんわりと断っていくのである。
断られたとしても、憎んだりするような気持ちは全くない。俺が向こうの立場だったとしても、こんな盗みたいのかぶっ殺したいのかよく分からない奴をパーティーに入れたくはない。
それでも一人はやっぱり困る。戦力的にも不利だし、何よりせっかくのオンラインを楽しめない。どうにか振り向いてもらえる方法はないものか。
俺は一人広場まで戻ってきて、噴水のふちに腰掛けながら考えていた。はたからみたらますます変なやつだろうな。
ぼんやり考えるのが十分くらい続いただろうか。俺の目には町の外が映っていた。広い平原が見える。爽やかそうだ。
「あ、そうだ。」
とりあえずレベルを上げてしまえば、他人の俺を見る目はちょっと変わるのではないだろうか。
このゲームのレベルのシステムは他のRPGと同じで、敵を倒すことで経験値を手に入れて、レベルを上げていくというものだ。
すなわち、俺が今すべきことは一つ。町の外に出て敵を倒すことである。そうと決まればいざ行かん、平原へと。
町の門は特に制限とかはないらしく、簡単に出てくることができた。今の俺のレベルはもちろん1。戦う相手を選ばなければ簡単に死んでしまう。
説明書には、歩いていれば自然に敵とエンカウントすると書いてあった。この一本道をそのまま行けば遭遇できるのだろう。
二十歩も歩く前に敵は飛び出してきた。突然何の前触れもなく、目の前に出てくるから、ちょっと心臓に悪い。
現れたのはウサギの魔物だった。名前が表示されているので読んでみると、「グラスラビット」。
ウサギは俺のことを見るなり突進してきた。頭に何かがついているわけでもないが、かなりの勢いだ。ぶつかると結構痛そう。
だがそこは大剣のよさが出る。避けずとも大剣を前に出しておけばガードできるのだ。一旦走り出してスピードにのったウサギは簡単に止まることはできない。ウサギは大剣の腹に勢いよくぶつかると、逆に自分がダメージを受けていた。
脳みそがゆれてしまったからか、ウサギは動けなくなってしまった。いわゆるスタン状態である。これにトドメをさすのは少々気が引けるが、経験値のためだ。仕方がない。
動かない相手に大剣を振り下ろすのは簡単だった。止まっている的に真っ直ぐ振り下ろすのだから、外すわけがない。
「おりゃ! 」
俺は渾身の力で一撃を叩き込んだ。
グロい画になってしまうことを覚悟したものの、そこはやはり全年齢対象のゲームである。倒れたウサギは電子データがバラけていくような演出で消えていってしまった。
それを着ているというのに大剣を担いでいるというのは、はっきり言ってあり得ないのである。
本当に、どういうことなのだろうか。バグだとは思うのだけれど、さっきから何も通達がこない。ひとまずこのままプレイを続けてみよう。
プレイヤーたちは、個人で活動することもあるものの、基本的にはギルドに加入して、その上でパーティーを組んで活動する。俺も今からそのギルドに加入するという流れだ。
ギルドはエリアにつき一つ存在しており、よって俺が加入するギルドは今いるエリアのギルドだ。地図を見てみると、町の最北端にあるようだから、すぐに向かった。
一際大きな建物が見えてきた。あの白い建物がギルドだ。ギルドはそのエリアの象徴として町に置かれている側面がある。なので、基本的には町で最も立派な建物だというわけだ。
中には人が大勢いた。この全員がゲームのプレイヤーだ。みんな現実に存在する人間と考えるとちょっと変な感じ。
そこでも奇怪な身なりをしている俺はやはり注目された。話しかけられることはなかったけども。まあ怪しい奴にはそりゃ声はかけんわな。
俺は受付を見つけてそこに行った。受付の中にはお姉さんがいて、応対してくれた。
「あの、ここのギルドに加入したいのですが。」
「はい、いいですよ。ここの書類に必要事項を記入していってください。」
差し出された紙には諸々のことを書き込む空欄がある。プレイヤー名や職業は現れたボタンを押すと自動で入力された。
他にもいろいろ聞かれたが、特段問題なく答えていく。
残ったのは所属パーティー欄だった。これはどうしたらいいのだろう。まだ仲間なんているはずもないし……
俺がなかなか記入しないことに気づいたお姉さんは親切に聞いてきてくれた。
「もしかして、まだ参加するパーティーが決まってないんですか? 」
「う、うん。実はね……」
「ならいいですよ、空欄のままで。決まったらまた来てください! 」
お姉さんはそう言うと、完成した俺のギルドカードを手渡してくれた。
ギルドに加入できたのはよかったものの、パーティーが決まらないんじゃいろいろと困ってしまう。
しかし俺はバグのせいで大剣しか使えない。盗賊の強みは俊敏性なのに、それを全否定するような装備をしている俺を誰がパーティーに加えてくれるというのだろうか。
とはいえ人は大勢いるので、俺は自分を売り込んでまわった。誰かしら優しい人はいないだろうかと。
まあ、そう上手くいくわけはないのだが。もう十数組に聞いて回っただろうか。このゲームは随分民度がいいようで、暴言を吐かれたりすることはなかった。だがみんな、やんわりと断っていくのである。
断られたとしても、憎んだりするような気持ちは全くない。俺が向こうの立場だったとしても、こんな盗みたいのかぶっ殺したいのかよく分からない奴をパーティーに入れたくはない。
それでも一人はやっぱり困る。戦力的にも不利だし、何よりせっかくのオンラインを楽しめない。どうにか振り向いてもらえる方法はないものか。
俺は一人広場まで戻ってきて、噴水のふちに腰掛けながら考えていた。はたからみたらますます変なやつだろうな。
ぼんやり考えるのが十分くらい続いただろうか。俺の目には町の外が映っていた。広い平原が見える。爽やかそうだ。
「あ、そうだ。」
とりあえずレベルを上げてしまえば、他人の俺を見る目はちょっと変わるのではないだろうか。
このゲームのレベルのシステムは他のRPGと同じで、敵を倒すことで経験値を手に入れて、レベルを上げていくというものだ。
すなわち、俺が今すべきことは一つ。町の外に出て敵を倒すことである。そうと決まればいざ行かん、平原へと。
町の門は特に制限とかはないらしく、簡単に出てくることができた。今の俺のレベルはもちろん1。戦う相手を選ばなければ簡単に死んでしまう。
説明書には、歩いていれば自然に敵とエンカウントすると書いてあった。この一本道をそのまま行けば遭遇できるのだろう。
二十歩も歩く前に敵は飛び出してきた。突然何の前触れもなく、目の前に出てくるから、ちょっと心臓に悪い。
現れたのはウサギの魔物だった。名前が表示されているので読んでみると、「グラスラビット」。
ウサギは俺のことを見るなり突進してきた。頭に何かがついているわけでもないが、かなりの勢いだ。ぶつかると結構痛そう。
だがそこは大剣のよさが出る。避けずとも大剣を前に出しておけばガードできるのだ。一旦走り出してスピードにのったウサギは簡単に止まることはできない。ウサギは大剣の腹に勢いよくぶつかると、逆に自分がダメージを受けていた。
脳みそがゆれてしまったからか、ウサギは動けなくなってしまった。いわゆるスタン状態である。これにトドメをさすのは少々気が引けるが、経験値のためだ。仕方がない。
動かない相手に大剣を振り下ろすのは簡単だった。止まっている的に真っ直ぐ振り下ろすのだから、外すわけがない。
「おりゃ! 」
俺は渾身の力で一撃を叩き込んだ。
グロい画になってしまうことを覚悟したものの、そこはやはり全年齢対象のゲームである。倒れたウサギは電子データがバラけていくような演出で消えていってしまった。
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