【完結】ラスボスヤンデレ悪役令息(仮)に転生。皆に執着溺愛され過ぎて世界滅亡エンドの危機です

日月ゆの

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はじまりの10歳

7. 誤変換はバグですか?1

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 嘘やろ。

 僕は思わず、そう心の中で漏らしました。

 世の中って奇跡的な偶然ってあるみたい。

 僕がレオと初顔合わせした日、神様に会ったお部屋にいたのってたぶん、30分も経っていなかったはず。

 それが、1日半意識不明。当日の夜に目が覚めたと思っていたのにね。

 さらにそれだけでもびっくりなのに、僕は毒を飲んで倒れたことになっていた。
 僕が落としたカップに入っていた紅茶に毒が混入されていた……らしいよ。もれなくレオの紅茶にも。 
 物騒なお話しだよね。
 あの日は紅茶よりもお菓子を食べていたし、僕がクレイドルだから、毒は効きにくいから良かったよ。
 
 うーん。ゲームの世界だからこんな偶然が重なったのかな。それとも神様の仕業?
 とりあえずお父様が取り乱し、レオがあんなに憔悴していた理由は悟ったよね。
 誰にも今目の前に出現しているウインドウのことや、コスプレ好き神様に会ったことなんて言えない。
 
 信じてももらえない。

 日本の義務教育の成果である『空気を読む』が染み着いた僕は、ただただ唖然と説明を聞くことしか出来なかったんだ。
 あ、毒の犯人さんは捕まったらしいけど、誰も詳しく教えてくれない。それにこれ以上エリアスや執事長から聞き出そうにもとってもきれいな微笑みを返されるだけなのはわかりきってきるので、僕は聞けません。とっても物騒だよねぇ……。

「あのさ、王宮に行ったらダメ?」
「ラズ様。また自ら毒を飲みに行くおつもりですか?」
 
 何回この会話を繰り返したかな。
 さすがゲームの世界。
 王宮に行く=毒を飲む。

 専属従者に尋ねても、執事長に尋ねても彼らの中で、同じ様に誤変換される。さらにお父様は突然難聴になる。王宮の単語だけ聞き取れない難聴ってありえるかな? 
 皆の発想が飛躍し過ぎているから、これってバグとかなのかな?
 あっ! 王宮のあの黒と金の厨二病ちっくな装飾が魔王城みたいだからかな。
 でもそれだと僕は困るんだよ。
 例のウインドウに次の指示が表示されているんだ。
 
 今の僕は公爵家のお屋敷から出られないのにさ。
 別に毒の後遺症で体が動かないとか、足が悪いとかでも無いんだよ。
 どう説明したら良いのかわからないけど、絶えず背後に専属従者のエリアスがいる。
 ゲーム画面の勇者パーティさながらピッタリ付いてくる。接着剤とか引力でもあったかなくらい。

 少しでも門、玄関に近付こうものなら。

「エリアスは本当にあの時、胸が潰れるほど心配しました。いっそのことその罪深い王子と相討ちでもしてラズ様の仇を……」

 これだよ。
 普段はお父様2号くらいに無表情で冷静沈着。鉄仮面って執事長に裏で言われているくらいの彼。 
 夏でも涼しげクールなエリアスが、ハンカチで目元を拭い、弱々しい声で言うんだ。
  泣き落とし? それとも本当に心配してくれているのかな、と罪悪感で困って足を止めるともうダメなの。
 お屋敷の皆がぞろぞろと僕の周りに示し合わせたように集まって来ちゃう。どこかの劇団だったくらい統率取れた団体行動です。
 美味しいお菓子が出来たとか料理長に誘われたり、お庭に新しいお花が咲いたとか口々に話しかけられてさ。

 皆がわざわざお仕事で忙しい中お誘いしてくれているのに、断るのも悪いから、ついコクンて頷いちゃう。
 毎日それの繰り返し。
 次々出現するウインドウの指示で、『毎日何しているの?』『会えないと寂しいな』を言わないといけないのに。あ、『他の子とも遊んでたりするの?』も。

 苦肉の策でレオ宛に毎日お手紙を送って、レオも律儀にお見舞いのお花やプレゼントと一緒にお返事くれるからクリアできたけど限界だ。
 次の指示が『Lv2step1「僕のこと考えてくれていた?」』と婚約者の目を見て聞き、嘘をついていないか確認しよう!』

 このまま会わないとまた、あの死にかける状態になっちゃうから。僕はある作戦を決行することにしたっ!
 
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