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01:酒栄璃亜夢はかく語りき
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酒栄璃亜夢が私の名前。
私は自分の名前が好きではなかった。
りあむって。
漢字も難しいし、何より夢という字がもう嫌い。夢なんてない。
まだ小学生のとき、学校の宿題で自分の名前の由来を家族に訊いてくるというものがあった。
母に訊くと、彼女は一言「可愛いから」と答えた。
当時は何も思わなかった。
母から可愛いと思われることは当然で何より嬉しいことだった。
それが母からの愛だと信じて疑わなかった。
疑っていなかった……。
中学生になってどれくらいの頃だったか。
母と喧嘩をした。
怒られることは今までもあった。
でも喧嘩というのは初めてだったかもしれない。
私は中学生になって、前よりも大人になったつもりだった。
小学生のときよりも、世界が広がって家よりも外へ目を向けたい気持ちが強かった。
だから色々口出ししてくる母に反発したんだと思う。
お互いに強い口調で言い合いして、私が「もういい!」と叫んで一瞬その場が静かになったのをよく覚えている。
母はそんな私に大きく深い深い溜息をつくとこう言ったのだ。
「可愛くない」
そう言うと、母は部屋を出て行った。
その言葉は、今までのどんな罵声や非難よりも私に突き刺さった。
どんなに怒られても、どんなに悲しませても、母が私を『可愛い』と思う気持ちだけは絶対だと思ってた。
何があっても、私は『可愛い娘』。
そうであると思ってた。
でもこの日、この瞬間、私はあの人にとって『可愛い娘』ではなくなった。
可愛くない私は、娘としての、『璃亜夢』として価値がなくなった。
そう思った。
私は自分の名前が好きではなかった。
りあむって。
漢字も難しいし、何より夢という字がもう嫌い。夢なんてない。
まだ小学生のとき、学校の宿題で自分の名前の由来を家族に訊いてくるというものがあった。
母に訊くと、彼女は一言「可愛いから」と答えた。
当時は何も思わなかった。
母から可愛いと思われることは当然で何より嬉しいことだった。
それが母からの愛だと信じて疑わなかった。
疑っていなかった……。
中学生になってどれくらいの頃だったか。
母と喧嘩をした。
怒られることは今までもあった。
でも喧嘩というのは初めてだったかもしれない。
私は中学生になって、前よりも大人になったつもりだった。
小学生のときよりも、世界が広がって家よりも外へ目を向けたい気持ちが強かった。
だから色々口出ししてくる母に反発したんだと思う。
お互いに強い口調で言い合いして、私が「もういい!」と叫んで一瞬その場が静かになったのをよく覚えている。
母はそんな私に大きく深い深い溜息をつくとこう言ったのだ。
「可愛くない」
そう言うと、母は部屋を出て行った。
その言葉は、今までのどんな罵声や非難よりも私に突き刺さった。
どんなに怒られても、どんなに悲しませても、母が私を『可愛い』と思う気持ちだけは絶対だと思ってた。
何があっても、私は『可愛い娘』。
そうであると思ってた。
でもこの日、この瞬間、私はあの人にとって『可愛い娘』ではなくなった。
可愛くない私は、娘としての、『璃亜夢』として価値がなくなった。
そう思った。
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