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第7話『嚆矢濫觴⑥-コウシランショウ-』
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「良いヤツかそうでないかは兎も角、俺は三つ目の話が引っ掛てる」
宮紡准教授はそう言いながら難しい顔をする。
西澤顕人は「三つ目ってどれのことですか」とポットのお茶を自分のカップに注ぐ。
滝田晴臣は長机に項垂れていたが、不意に身体を起こして壁際にあるスチール棚の一番下の段からポテトチップスの袋を引っ張り出して戻ってくる。
今しがた今川焼きを五つも食べたのにまだ食べるのか、と顕人は思うが、これが晴臣の通常運転なのだと自分に言い聞かせ晴臣には特に何も言わず宮准教授の話を聞く。
「二十三日の放課後の話。なんだっけ、あれ」
「『ペッパーハプニング』ですか?」
「そうそれ」
宮准教授は頷くと、晴臣がパーティー開きをしたポテトチップスを摘む。
「そもそもどうしてメモ用紙のヤツは室江崇矢に回避させるような指示をしたんだって話」
宮准教授の言葉に顕人と晴臣は顔を見合わせる。
「それは室江先輩が粉胡椒吸ったらまた喘息みたいな症状が出るかもしれないから、それを避けるために・・・」
「やっぱりメモ用紙の主は良い人説」
顕人の言葉に晴臣は大きく頷く。しかし宮准教授は「もっと考えろよー」と嘆く。
「実際に被害に遭ったヤツのことだけど考えろ。粉胡椒かけられてくしゃみをさせられて、それで?」
「それでって?」
宮准教授の言葉が何を言わんとしているのか、顕人にもわからない。晴臣の顔を見るけど端から考える気がないのか、サクサクとポテトチップスを頬張るだけだ。
顕人は宮准教授の、それで、の後を考えるが、答えは出てこない。
「・・・何も無かっただろ? まあ、服が汚されたって怒ってるヤツは多いだろうけど。少なくとも体調不良や救急車が呼ばれたって報告も学校には上がってない。今のところ質の悪い悪戯止まり。緊急性も低いから自治会の連中も、先に放置自転車の件にかかってて、この件の調査は本格的には始めてない。とは言え結構な人数がやられたって話だから、やった連中を特定するつもりではあるらしいけどな」
「てか、サモエド管理中隊、まだ動いてなかったんですね。いつもこういう事に対して行動早いのに」
「函南は自転車よりそっちの件に首突っ込みたがってたぞ。三日前くらいで食堂で嘆いてた」
函南、とは文学部三年の女子生徒だ。
たまにこの部屋で遭遇する先輩なのだが、彼女は『サモエド管理中隊』に所属している。何故あの団体に所属することを決めたか、顕人は一度聞いてみたことがある。
彼女は満面の笑みで「名前が良かったから」と言っていたのを忘れない。
あの名称につられる人間がこんな身近にいるとは思わなかったと心底震え上がった。
まあしかし、彼女のような人間が少なからずいるのだ、あの名前を命名した人は鼻が高いだろう。
実際のところ、命名者がこの名前にしたことを海よりも深く反省しているのだが、それついて語られるのはまだ先のことだろう。
「実際、あの一件は放置自転車ほど問題視されてないわけだ。だってそうだろ、ただ粉胡椒をかけられるだけだ」
「まあそうですね・・・」
「じゃあ、メモ用紙のヤツはどうして室江を回避させたかって話に戻ってくる」
「だからそれは喘息を」
「どうしてソイツは室江の喘息の話を知ってるんだ?」
「あー・・・」
「お前たちは比較的この部屋で室江と交友がある方だけど今まで胡椒が結果的に喘息を誘引させたって話は聞いたか?」
「いえ」
顕人には覚えがなかった。晴臣もないようで「今日初めて聞きました」と答える。
「俺も初めて聞いた。食事でも普通に胡椒かかったもの食べてたし、誰がそんなことがあったなんて思う?」
「確かに」
「でも、メモ用紙のヤツは知ってた。つまり以前室江からその話を聞いていた可能性が高い。実は身近な人間かもな」
「可能性その一のストーカー説が濃くなってきましたね」
「えっ、良い人説は?」
「ハルはそれを推せばいいだろ? 俺はストーカー説にケンタの新作フレーバーを二個賭ける」
顕人がそう言うと、晴臣はそれまで話の流れに着いてこれず脱落気味だったが、とあるファストフードチェーン店の名前を出した瞬間、目の色が変わる。
「じゃあ僕は良い人説にマックの新作バーガーのセットを賭ける」
そんないよいよ妙な流れになってきたが宮准教授は当事者である室江がいないのをいい事に「不謹慎だな」と笑うばかりで止めることはない。
「でももう一つ重要なことを忘れてるぞ。可能性その二だ」
宮准教授は指を二本立てて、顕人と晴臣に見せる。
「そもそもメモ用紙の主は、何処で『ペッパーハプニング』の計画を知ったか、だ。何日の何時に、何処でやるか、そういう計画を知っていたことになる。『ペッパーハプニング』も自治会の連中の裏をかいてるし、事前に計画されてたことなんだろうな。つまりさっきの可能性その二に戻ってくる」
「室江先輩へ嫌がらせしている複数人がいて、その内の誰かが先輩に同情して助け舟を出してたってことですか?」
「だけどこの可能性は、つまり、嫌がらせをしている『かもしれない』連中と、今回の『ペッパーハプニング』を引き起こした連中がイコールで繋がることになるかもしれない。突拍子もない話だが、俺はそれにミスドのドーナツ五個賭ける」
「先生も不謹慎じゃないですか」
顕人は苦笑いを浮かべるが、内心満更でもない気分だった。何て不謹慎。この場に室江がいないことに顕人は胸を撫で下ろす。
「先生の推理では、可能性その二が一番有力なんですか?」
晴臣は一人殆ど食べてしまっていたポテトチップスの袋を小さく畳みながら訊く。小さくした袋を、さっきまでの掃除で集めた埃がいっぱいになったので閉じられていたゴミ袋の結び目の隙間から捩じ込む。ついでに空になった今川焼きの箱も小さく畳んでゴミ袋へ捩じ込んでいく。ゴミ袋が破れても知らないぞと横目で見ながら顕人はお茶を飲む。
宮准教授も同じようにお茶を飲みながら、だけど詰まらなさそうな顔で「だから俺は『推理するタイプ』の准教授じゃないって言ってるだろ」と辟易する。
「まあここまであーだこーだ言っといて何だが、あんまり深入りすんなよ」
宮准教授はまだ中身の入っているカップを片手に立ち上がると、事務机の方へ移動する。机の上に置かれていたノートパソコンを開いたので、恐らく何か仕事を始めるのだろう。それは、用がないならそろそろ出て行け、の合図だ。まあ、そのまま居座っても特に何も言ってこないが、仕事を始めると以降の雑談に参加する頻度ががくっと減る。
「深入りって? 先生は今回の話、追究しないんですか?」
晴臣が聞くが、宮准教授はノートパソコンの画面を見つめたまま口を開く。
「そもそも頼まれてないだろ。室江もさっきの話でこれ以上追究したくないだろうし。アイツも滝田と同じで、あのメモ用紙のヤツを『良い人』で終わらせたいみたいだしな。知りたくないことをわざわざ調べなくてもいいんだよ」
宮准教授はその言葉を最後に黙ってしまう。
顕人と晴臣がメモ用紙の主について色々想像を語るが、全く話に乗ってこなかった。聞き流しているのか、仕事に集中して本当に聞いていないか。
今回は恐らく後者だろう。
お茶を飲みきってポットとカップを片付け、ゴミ袋を持って部屋を出て行く際に声をかけたが宮准教授の反応はなかった。
二人は、ノートパソコンに向き合ったまま黙々とキーボードを叩く宮准教授の部屋を出ると、顔を見合わせて笑う。
「ハルは乗るだろ? 新作フレーバー二つ」
「乗るよ、新作バーガーセット」
そう言って、二人は何かを企むような含みのある笑みを浮かべる。
二人は退屈していたのだ。
二年の前期が始まってもうすぐ一ヶ月。新しい生活に慣れて、少し気分が空虚になってきていた。要は何か『刺激のあること』を探していたのだ。
そこにやってきた室江の相談。奇妙なメモ用紙に、差出人への三つの可能性。
それだけで二人の興味を引くのに充分だった。
「取り敢えず、どうするの?」
「室江先輩にもう一回話聞きに行くか? 好き勝手に動くし、一応先輩には調べることの許可も貰わないと」
「そうだね」
二人は嬉々として笑うと、まずはゴミ袋を収集所に捨てに行くこととした。
宮紡准教授はそう言いながら難しい顔をする。
西澤顕人は「三つ目ってどれのことですか」とポットのお茶を自分のカップに注ぐ。
滝田晴臣は長机に項垂れていたが、不意に身体を起こして壁際にあるスチール棚の一番下の段からポテトチップスの袋を引っ張り出して戻ってくる。
今しがた今川焼きを五つも食べたのにまだ食べるのか、と顕人は思うが、これが晴臣の通常運転なのだと自分に言い聞かせ晴臣には特に何も言わず宮准教授の話を聞く。
「二十三日の放課後の話。なんだっけ、あれ」
「『ペッパーハプニング』ですか?」
「そうそれ」
宮准教授は頷くと、晴臣がパーティー開きをしたポテトチップスを摘む。
「そもそもどうしてメモ用紙のヤツは室江崇矢に回避させるような指示をしたんだって話」
宮准教授の言葉に顕人と晴臣は顔を見合わせる。
「それは室江先輩が粉胡椒吸ったらまた喘息みたいな症状が出るかもしれないから、それを避けるために・・・」
「やっぱりメモ用紙の主は良い人説」
顕人の言葉に晴臣は大きく頷く。しかし宮准教授は「もっと考えろよー」と嘆く。
「実際に被害に遭ったヤツのことだけど考えろ。粉胡椒かけられてくしゃみをさせられて、それで?」
「それでって?」
宮准教授の言葉が何を言わんとしているのか、顕人にもわからない。晴臣の顔を見るけど端から考える気がないのか、サクサクとポテトチップスを頬張るだけだ。
顕人は宮准教授の、それで、の後を考えるが、答えは出てこない。
「・・・何も無かっただろ? まあ、服が汚されたって怒ってるヤツは多いだろうけど。少なくとも体調不良や救急車が呼ばれたって報告も学校には上がってない。今のところ質の悪い悪戯止まり。緊急性も低いから自治会の連中も、先に放置自転車の件にかかってて、この件の調査は本格的には始めてない。とは言え結構な人数がやられたって話だから、やった連中を特定するつもりではあるらしいけどな」
「てか、サモエド管理中隊、まだ動いてなかったんですね。いつもこういう事に対して行動早いのに」
「函南は自転車よりそっちの件に首突っ込みたがってたぞ。三日前くらいで食堂で嘆いてた」
函南、とは文学部三年の女子生徒だ。
たまにこの部屋で遭遇する先輩なのだが、彼女は『サモエド管理中隊』に所属している。何故あの団体に所属することを決めたか、顕人は一度聞いてみたことがある。
彼女は満面の笑みで「名前が良かったから」と言っていたのを忘れない。
あの名称につられる人間がこんな身近にいるとは思わなかったと心底震え上がった。
まあしかし、彼女のような人間が少なからずいるのだ、あの名前を命名した人は鼻が高いだろう。
実際のところ、命名者がこの名前にしたことを海よりも深く反省しているのだが、それついて語られるのはまだ先のことだろう。
「実際、あの一件は放置自転車ほど問題視されてないわけだ。だってそうだろ、ただ粉胡椒をかけられるだけだ」
「まあそうですね・・・」
「じゃあ、メモ用紙のヤツはどうして室江を回避させたかって話に戻ってくる」
「だからそれは喘息を」
「どうしてソイツは室江の喘息の話を知ってるんだ?」
「あー・・・」
「お前たちは比較的この部屋で室江と交友がある方だけど今まで胡椒が結果的に喘息を誘引させたって話は聞いたか?」
「いえ」
顕人には覚えがなかった。晴臣もないようで「今日初めて聞きました」と答える。
「俺も初めて聞いた。食事でも普通に胡椒かかったもの食べてたし、誰がそんなことがあったなんて思う?」
「確かに」
「でも、メモ用紙のヤツは知ってた。つまり以前室江からその話を聞いていた可能性が高い。実は身近な人間かもな」
「可能性その一のストーカー説が濃くなってきましたね」
「えっ、良い人説は?」
「ハルはそれを推せばいいだろ? 俺はストーカー説にケンタの新作フレーバーを二個賭ける」
顕人がそう言うと、晴臣はそれまで話の流れに着いてこれず脱落気味だったが、とあるファストフードチェーン店の名前を出した瞬間、目の色が変わる。
「じゃあ僕は良い人説にマックの新作バーガーのセットを賭ける」
そんないよいよ妙な流れになってきたが宮准教授は当事者である室江がいないのをいい事に「不謹慎だな」と笑うばかりで止めることはない。
「でももう一つ重要なことを忘れてるぞ。可能性その二だ」
宮准教授は指を二本立てて、顕人と晴臣に見せる。
「そもそもメモ用紙の主は、何処で『ペッパーハプニング』の計画を知ったか、だ。何日の何時に、何処でやるか、そういう計画を知っていたことになる。『ペッパーハプニング』も自治会の連中の裏をかいてるし、事前に計画されてたことなんだろうな。つまりさっきの可能性その二に戻ってくる」
「室江先輩へ嫌がらせしている複数人がいて、その内の誰かが先輩に同情して助け舟を出してたってことですか?」
「だけどこの可能性は、つまり、嫌がらせをしている『かもしれない』連中と、今回の『ペッパーハプニング』を引き起こした連中がイコールで繋がることになるかもしれない。突拍子もない話だが、俺はそれにミスドのドーナツ五個賭ける」
「先生も不謹慎じゃないですか」
顕人は苦笑いを浮かべるが、内心満更でもない気分だった。何て不謹慎。この場に室江がいないことに顕人は胸を撫で下ろす。
「先生の推理では、可能性その二が一番有力なんですか?」
晴臣は一人殆ど食べてしまっていたポテトチップスの袋を小さく畳みながら訊く。小さくした袋を、さっきまでの掃除で集めた埃がいっぱいになったので閉じられていたゴミ袋の結び目の隙間から捩じ込む。ついでに空になった今川焼きの箱も小さく畳んでゴミ袋へ捩じ込んでいく。ゴミ袋が破れても知らないぞと横目で見ながら顕人はお茶を飲む。
宮准教授も同じようにお茶を飲みながら、だけど詰まらなさそうな顔で「だから俺は『推理するタイプ』の准教授じゃないって言ってるだろ」と辟易する。
「まあここまであーだこーだ言っといて何だが、あんまり深入りすんなよ」
宮准教授はまだ中身の入っているカップを片手に立ち上がると、事務机の方へ移動する。机の上に置かれていたノートパソコンを開いたので、恐らく何か仕事を始めるのだろう。それは、用がないならそろそろ出て行け、の合図だ。まあ、そのまま居座っても特に何も言ってこないが、仕事を始めると以降の雑談に参加する頻度ががくっと減る。
「深入りって? 先生は今回の話、追究しないんですか?」
晴臣が聞くが、宮准教授はノートパソコンの画面を見つめたまま口を開く。
「そもそも頼まれてないだろ。室江もさっきの話でこれ以上追究したくないだろうし。アイツも滝田と同じで、あのメモ用紙のヤツを『良い人』で終わらせたいみたいだしな。知りたくないことをわざわざ調べなくてもいいんだよ」
宮准教授はその言葉を最後に黙ってしまう。
顕人と晴臣がメモ用紙の主について色々想像を語るが、全く話に乗ってこなかった。聞き流しているのか、仕事に集中して本当に聞いていないか。
今回は恐らく後者だろう。
お茶を飲みきってポットとカップを片付け、ゴミ袋を持って部屋を出て行く際に声をかけたが宮准教授の反応はなかった。
二人は、ノートパソコンに向き合ったまま黙々とキーボードを叩く宮准教授の部屋を出ると、顔を見合わせて笑う。
「ハルは乗るだろ? 新作フレーバー二つ」
「乗るよ、新作バーガーセット」
そう言って、二人は何かを企むような含みのある笑みを浮かべる。
二人は退屈していたのだ。
二年の前期が始まってもうすぐ一ヶ月。新しい生活に慣れて、少し気分が空虚になってきていた。要は何か『刺激のあること』を探していたのだ。
そこにやってきた室江の相談。奇妙なメモ用紙に、差出人への三つの可能性。
それだけで二人の興味を引くのに充分だった。
「取り敢えず、どうするの?」
「室江先輩にもう一回話聞きに行くか? 好き勝手に動くし、一応先輩には調べることの許可も貰わないと」
「そうだね」
二人は嬉々として笑うと、まずはゴミ袋を収集所に捨てに行くこととした。
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ここまで読んでいただきありがとうございます。
一応シリーズ一本目ですので、その内二本目を書き始められればと思っております。
一応シリーズ一本目ですので、その内二本目を書き始められればと思っております。
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