黒き死神が笑う日

神通百力

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引越し

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「引越し管理局の者です。権利書を貰いに来ました」
「お待ちしていました。どうぞ、権利書です」
 私は引越し管理局の人に土地の権利書を渡した。管理局の人は権利書を確認すると、同意書にサインするように促した。私は促されるままに同意書にサインした。これで土地の売却は完了だ。
「こちらが新しい権利書になります。ここにサインをお願いできますか?」
「分かりました」
 私は権利書にサインした。管理局の人はサインを確認すると、権利書を渡してきた。私は新しい土地の権利書を受け取った。
「これでディナス地区の土地の一部があなたのものになりました。すぐにでも引越しができますよ」
「ありがとうございます」
 私はお礼を言った。管理局の人はペコリと頭を下げると、帰っていった。
 家の中に入ると、権利書を引き出しに仕舞う。それからリビングの壁に向かった。
 壁には小さな扉が付いている。扉を開け、中からハンドルを引き出した。真ん中のボタンを押すと、家が少し揺れた。床下にはタンクが敷き詰められている。ハンドルのボタンを押すことでタンクから空気が放出され、家が浮上するのだ。
 私はハンドルを操作し、ディナス地区を目指す。
 それにしても本当に引越しは面倒だ。引越し自体は家ごと移動できるから面倒くさくはない。ただ手続きが面倒なのだ。
 まず引越し管理局に連絡し、土地の権利書を取りに来てもらわなければならない。その際に希望の土地を伝えて権利書を持ってきてもらう。それから同意書にサインして土地を売却する。そして権利書にサインして新しい土地を手に入れる。これでようやく引越しができるのだ。
 ディナス地区が見えてきた。ハンドルを操作し、手に入れた土地に着陸する。引越し完了だ。
 前の地区は田舎なのに対し、ディナス地区は都会だから生活面で不便な事はないだろう。新生活が楽しみだ。
 私はワクワクしながら、散歩に出かけた。
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