134 / 211
訪れた機会
しおりを挟む
「先生、体操服が盗まれました」
「何だって? それで蒲野の体操服は見つかったのか?」
「どうして蒲野さんの体操服だと思ったのですか?」
三守はニヤリと笑う。俺はなんてバカなんだ。うっかり口を滑らせてしまうなんて。
「普通は私の体操服が盗まれたと思いますよね? それなのに先生は蒲野さんと言いました。先生は蒲野さんの体操服が盗まれたことを知っていた。つまり犯人は先生ですね?」
三守は俺の目をじっと見つめてきた。俺はその視線に耐えられず、ゆっくりと頷いた。
「実を言いますと、先生を尾行していたので、蒲野さんの体操服を盗むところは目撃していたんです。なので先生が犯人なのは最初から分かっていました。だから先生のところに来たんです」
まさか盗むところを三守に見られていたとはな。ん? 待てよ? 先生を尾行していたと言わなかったか? 三守は何で俺を尾行していたんだ?
「何で俺を尾行した?」
「それは先生のことが好きだからです。告白する機会を伺うために尾行していたんです。ようやく告白の機会が訪れました」
三守はそう言って腕を絡ませてくる。ほんの少し頬が赤くなっていた。
「私と付き合ってください。言っておきますけど、先生に拒否権はありませんよ。もし拒否したら先生が犯人だってバラしますから」
「……分かった。三守と付き合うよ」
俺に残された選択肢は一つだけだった。もしバラされたりしたら、俺の教師人生は終わってしまう。それは何としてでも避けたい。
「先生、もう体操服を盗んだりしないでくださいね。盗むなら私のだけにしてください。私のならどんな物でも盗んでいいですから。あ、でも命は盗まないでくださいね。先生と一緒に過ごせなくなりますから」
三守は満面の笑みを浮かべる。俺にはその笑顔がとても恐ろしかった。
「先生、大好き」
三守はニヤニヤしながら、俺に抱きついてきた。
俺は顔を引きつらせながらも、三守を抱きしめる。
――俺はもう三守には逆らえない。
「何だって? それで蒲野の体操服は見つかったのか?」
「どうして蒲野さんの体操服だと思ったのですか?」
三守はニヤリと笑う。俺はなんてバカなんだ。うっかり口を滑らせてしまうなんて。
「普通は私の体操服が盗まれたと思いますよね? それなのに先生は蒲野さんと言いました。先生は蒲野さんの体操服が盗まれたことを知っていた。つまり犯人は先生ですね?」
三守は俺の目をじっと見つめてきた。俺はその視線に耐えられず、ゆっくりと頷いた。
「実を言いますと、先生を尾行していたので、蒲野さんの体操服を盗むところは目撃していたんです。なので先生が犯人なのは最初から分かっていました。だから先生のところに来たんです」
まさか盗むところを三守に見られていたとはな。ん? 待てよ? 先生を尾行していたと言わなかったか? 三守は何で俺を尾行していたんだ?
「何で俺を尾行した?」
「それは先生のことが好きだからです。告白する機会を伺うために尾行していたんです。ようやく告白の機会が訪れました」
三守はそう言って腕を絡ませてくる。ほんの少し頬が赤くなっていた。
「私と付き合ってください。言っておきますけど、先生に拒否権はありませんよ。もし拒否したら先生が犯人だってバラしますから」
「……分かった。三守と付き合うよ」
俺に残された選択肢は一つだけだった。もしバラされたりしたら、俺の教師人生は終わってしまう。それは何としてでも避けたい。
「先生、もう体操服を盗んだりしないでくださいね。盗むなら私のだけにしてください。私のならどんな物でも盗んでいいですから。あ、でも命は盗まないでくださいね。先生と一緒に過ごせなくなりますから」
三守は満面の笑みを浮かべる。俺にはその笑顔がとても恐ろしかった。
「先生、大好き」
三守はニヤニヤしながら、俺に抱きついてきた。
俺は顔を引きつらせながらも、三守を抱きしめる。
――俺はもう三守には逆らえない。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる