黒き死神が笑う日

神通百力

文字の大きさ
上 下
115 / 211

生きるために

しおりを挟む
 私は目を覚ますと、ダンボールをどかして体を起こした。私には住む家がなく、公園で寝起きしているのだ。この公園には私と同じように住む家がない少年少女が多く暮らしている。
 ふと一人の少女が八百屋のおじさんに声をかけ、店の奥に入っていくのが見えた。きっと店の奥では事に及んでいるはずだ。食べ物を得るために自分の体を売っているのだ。
 ここでは自分の体を売らないと生きていくことはできない。そうしないと食べ物を恵んでもらえない。私も何度か体を売ったことがある。私の体は穢れきっている。
 突然お腹が鳴った。私は公園の向かいにあるパン屋に向かう。
「何でも言うことを聞くから、食べ物を恵んでくれる?」
 開店の準備をしていたパン屋のおじさんに声をかける。パン屋のおじさんにはいつも食べ物を恵んでもらっている。もちろん体を売るのと引き換えにだ。
「ああ、いいよ。さあ、奥へおいで」
 私はおじさんに連れられて店の奥に行く。おじさんに言われるがままに服を脱いだ。
 三十分間も事に及び、私は菓子パンを恵んでもらった。おじさんは満足そうな笑みを浮かべている。
 私はおじさんに礼を述べると、公園に戻り、菓子パンを頬張った。おじさんの作る菓子パンは本当に美味しい。喉の渇きを癒すために、公園の水をがぶ飲みする。
 水をがぶ飲みしていると、突然肩を掴まれた。私は驚いて背後を振り返った。ガラの悪そうな三人の男が突っ立っている。
「君、可愛いね。どうだい、俺たちとやらないか?」
 言うや否や三人の男は私の服を剥いできた。一時間もの間、犯され続けた。誰も私を助けようとはしなかった。それも当然だ。誰も面倒事に関わりたくないのだ。私だってシカトするだろう。治安も何もあったもんじゃない。この街は腐っているのだから。
 三人の男は満足そうに帰っていった。私は服を着直すと、ダンボールに包まって横になった。
 二回もやる羽目になるとは思わなかったが、良しとする。私の体はとっくに汚れているのだし。

 ――どうせ、明日も体を売るのだから。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

由紀と真一

廣瀬純一
大衆娯楽
夫婦の体が入れ替わる話

男性向け(女声)シチュエーションボイス台本

しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。 関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください ご自由にお使いください。 イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...