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企業秘密
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薄暗い路地を五分ほど歩いたところにそのラーメン屋はあった。看板はペンキが剥がれ落ち、ボロボロだったが、かろうじてラーメン屋の文字は読むことができた。
外観とは裏腹に内装は綺麗だった。隅々まで清掃されているのが分かるほど壁や床がピカピカに磨かれている。店内はカウンター席だけであり、五脚の丸椅子が並べられている。
現在、店内には一人の男性客がいた。男性客は丸椅子に座り、ラーメンを啜っている。
「いや~、店長の作るラーメンは本当に美味しい。とくに麺が他の店にはない味なんだよね。これはこの店でしか味わえないよ」
「それはどうもありがとうございます」
店長はペコリと頭を下げた。
「それにスープも美味しい。いったい何の出汁を使っているんだい? 鶏かな? 豚かな?」
「それは企業秘密なので教えられません。申し訳ないです」
「いや、いいんだよ。また来るよ。ごちそうさん」
男性客はお金をカウンターに置き、店長に手を振って帰った。
店長はお金をレジに入れた。カウンターを拭いた後、奥の厨房に入っていく。
鍋の蓋を開け、底からかき混ぜた。中には濃厚なスープと大量の肉が入っている。この肉は鶏でも豚でもない。人間の肉で出汁を取っている。
続いて店長は麺に肉を練り込む作業にかかる。もちろん人間の肉である。
店長は深夜まで作業に取り掛かり、仕込みを終えた。
☆☆
「私は今、隠れ家として人気のラーメン屋さんにやってきています! 他店では味わえないラーメンだそうですが、出汁は何を使っているんですか?」
「企業秘密です」
インタビュアーの質問に店長はニッコリと微笑んだ。
外観とは裏腹に内装は綺麗だった。隅々まで清掃されているのが分かるほど壁や床がピカピカに磨かれている。店内はカウンター席だけであり、五脚の丸椅子が並べられている。
現在、店内には一人の男性客がいた。男性客は丸椅子に座り、ラーメンを啜っている。
「いや~、店長の作るラーメンは本当に美味しい。とくに麺が他の店にはない味なんだよね。これはこの店でしか味わえないよ」
「それはどうもありがとうございます」
店長はペコリと頭を下げた。
「それにスープも美味しい。いったい何の出汁を使っているんだい? 鶏かな? 豚かな?」
「それは企業秘密なので教えられません。申し訳ないです」
「いや、いいんだよ。また来るよ。ごちそうさん」
男性客はお金をカウンターに置き、店長に手を振って帰った。
店長はお金をレジに入れた。カウンターを拭いた後、奥の厨房に入っていく。
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続いて店長は麺に肉を練り込む作業にかかる。もちろん人間の肉である。
店長は深夜まで作業に取り掛かり、仕込みを終えた。
☆☆
「私は今、隠れ家として人気のラーメン屋さんにやってきています! 他店では味わえないラーメンだそうですが、出汁は何を使っているんですか?」
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