黒き死神が笑う日

神通百力

文字の大きさ
上 下
87 / 211

代償

しおりを挟む
「お前は俺を裏切った。絶対に許さない」
「ご、ごめんなさい」
 美代みよは目尻に涙を浮かべて謝ってきた。許してとばかりに俺に抱きついてくる。
「謝れば許されると思っているのか? 俺にプロポーズしておいて、お前は若い男と浮気したんだ。その代償は重いぞ」
 俺は美代を突き放し、画鋲を隙間なく並べた椅子に座らせた。美代は苦痛に歪んだ表情を浮かべて椅子から立ち上がろうとしたが、無理矢理抑えつけた。尻に小さな穴が空いただろうな。
「い、痛いよ。お願いだからやめて」
 美代の言葉を無視し、漬物石を太ももに載せる。画鋲の根元まで尻に食い込ませようとあらかじめ買っておいた。美代は悲鳴を上げ、俺をギロリと睨み付けてくる。
 なぜ美代は俺を睨みつけるのだろうか? 俺はただ浮気の代償を与えているに過ぎない。俺は何も悪いことはしていないのだから、睨み付けられる筋合いはない。
「俺を睨みつけるとはいい度胸だな。お前の反抗的な態度には腹が立つな」
 俺は美代の首を絞めたが、数秒ほどで手を放した。美代が息を整えたのを確認し、また首を絞めた。今度も数秒ほどで手を放した。首を絞め続けたら、殺してしまう可能性がある。その事態を避けるために、数秒ほどで手を放している。息を整えさせているのもそのためだ。
 首を絞めては放す行為を繰り返していると、チョロチョロと音がした。音がした方向を見てみる。床がびっしょりと濡れていた。どうやら失禁したようだ。
 俺は美代のズボンを脱がし、床を拭いてもう一度穿かせた。わざわざ雑巾を取りに行くのが面倒だからな。
「びちゃびちゃで気持ち悪い」
 美代はまたもや俺を睨みつけてきたが、すぐに顔を真っ赤にして俯いた。怒っているのか、照れているのかが分からない。どちらにしろ俺を睨みつけたことには変わりない。
 俺はポケットからライターとタバコを取り出した。ライターに火を灯し、タバコに火を点けた。
 美代の瞼を上に引っ張り、タバコを左目に押し付けた。
「あ、熱い! や、やめて!」
 美代は叫ぶが、構わずにタバコをグッと押し付けた後、鼻に差し込んだ。それから新しいタバコに火を点け、右目にも押し付けた。
「あぁあああああ、何も見えない! 真っ暗だよ!」
 タバコを押し付けたからか、美代は失明してしまったようだ。
「お前一人では日常生活に支障をきたすだろう。だが、安心するがいい。もう浮気しないと誓ってくれれば、俺がお前の目になってやる」
「……私は目が見えなくなったんだよ? この状態で浮気できるとでも?」
 美代は声を震わせていた。体も震えているが、漬物石の重さに耐えかねているだけかもしれない。
「誓うのか? それとも誓わないのか? 誓わないのなら、俺はもうお前に何もしない」
「そ、それは困る! 私だけではどうにもならない。生きていけない。浮気しないと誓うから、私の目になって! 私の世話をして!」
 美代の言葉を信じ、太ももから漬物石をどかせて床に座らせた。尻に刺さっている画鋲もすべて取ってやる。
「ああ、お前の目になろう。おじいちゃんおばあちゃんになってもお前の世話をしてやるよ」
 俺は美代を抱きしめ、キスをした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》

小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です ◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ ◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます! ◆クレジット表記は任意です ※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください 【ご利用にあたっての注意事項】  ⭕️OK ・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用 ※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可 ✖️禁止事項 ・二次配布 ・自作発言 ・大幅なセリフ改変 ・こちらの台本を使用したボイスデータの販売

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...