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人間ボウリング
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ここは何十年も使われていない廃墟となったボウリング場。あちこちにひびが入っている。
粗方祐斗はここを住処としていた。
祐斗は椅子に座り、新聞に読み耽っていた。記事には行方不明者が相次ぐと書かれている。
祐斗は新聞から目を離した。正面の小さな机に行方不明者の生首が置いてあるのを視界に捉えた。祐斗は生首を見て思う。――不細工すぎるだろ、と。もともと不細工だったのか、それとも運悪く不細工な表情になっている時に死んだのか。どっちだったか思い出せない。くだらないことだな、と思考を停止させる。
レーンには両手両足を根元から切断され、だるまみたいになった人間が十人並べられている。その背後には包丁が上に向かって固定されている。辛うじて生きているが、逃げ出すことは不可能だ。全員恐怖に怯えた表情をしている。涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃだ。そこそこの顔立ちをした女を選んだが、不細工に成り下がった。それにしても汚い。便器を連想してしまうくらい汚い顔だ。
それと高さがバラバラだ。同じくらいの背丈の者を拉致するべきだっただろうか。まあ、いいだろう。
祐斗は立ち上がり、ローションがたっぷり入ったバケツを手に取る。レーンへと近づき、ローションを流した。
生首は完全な円形ではないため、ローションを流さないとレーンを転がらない。
祐斗はゴム手袋をし、生首の鼻に二本の指を突っ込んだ。そして親指を口の中に突っ込む。
祐斗は構え、少し走ると、生首を投げた。生首は勢いよく、レーンの上を転がる。
『ひぃっ!』
女らは悲鳴を上げる。その悲鳴がやかましく、祐斗はムッとする。
生首はピンに見立てた女にぶつかる。女は後ろにいた二人の女にぶつかって倒れる。女は胸を包丁で貫かれて、生涯を終えた。二人の女も同様に胸を包丁で貫かれて絶命した。
『――――――――っ!』
残りの七人はその光景を見て、唇をわなわなと震わせる。
「いいねぇ。人が死ぬ光景を眺めるのは最高に愉しい」
恍惚とした表情を浮かべ、祐斗は死体を眺めている。
「あはははははははははははははははははははっ! ふぅ」
祐斗は高らかに笑い終えた後、舌なめずりをする。その直後、祐斗はブッとオナラをした。
「……よ、よ~し、続きを始めるか!」
気合を入れて祐斗は誤魔化そうとした。だが、女らは怯えた表情を一転させ、冷めた視線で祐斗を見つめていた。
「……切り替え早えな、おい」
祐斗はポツリと呟いた。
気を取り直し、祐斗は靴底の裏にトゲのついた靴を履いてから、生首を回収し、死体を隣のレーンに放り投げる。それから生首を投げた。
生首は端にいる二人の女にぶつかった。二人の女は倒れ、包丁で胸を貫かれて絶命する。
祐斗は死体を隣のレーンに放り投げた。死体は放り投げられた死体の上に重なる。
生首は血液で汚れていた。祐斗はレーンを見る。血の海ができていた。
そうやって祐斗は次々と生首を女にぶつけていった。
残り二人。また誘拐してこよう。人間ボウリングは最高に愉しいから。
祐斗は生首を最後に残った二人の女目掛けて投げた。二人は絶命する。
☆☆
廃墟となったボウリング場の前。
二十二人の中年の男女が険しい表情で立っていた。誘拐された者たちの両親である。
中年の男女たちは廃墟となったボウリング場へ突入した。
レーンには死体が積んであり、小さな机には生首が置かれていた。そして椅子には男が座っていた。
「やっと見つけた。誘拐犯よ、覚悟しろ」
その中の一人が怒りを含んだ声音で呟いた。
「もしかして、こいつらの両親? 初めまして、誘拐犯の粗方祐斗だ」
男――粗方祐斗は死体を指差しつつ、立ち上がる。
「それで、俺に何の用だ?」
祐斗は中年の男女たちに問いかけ、それが合図になったかのように中年の男女たちは隠し持っていた武器を次々と取り出した。
「やべぇ……どうしよう」
祐斗は表情を引きつらせた。
☆☆
代表して一人の中年が、祐斗の生首を持った。それを胴体目掛けて投げる。
祐斗の生首は勢いよく転がって、自らの胴体に衝突した。
粗方祐斗はここを住処としていた。
祐斗は椅子に座り、新聞に読み耽っていた。記事には行方不明者が相次ぐと書かれている。
祐斗は新聞から目を離した。正面の小さな机に行方不明者の生首が置いてあるのを視界に捉えた。祐斗は生首を見て思う。――不細工すぎるだろ、と。もともと不細工だったのか、それとも運悪く不細工な表情になっている時に死んだのか。どっちだったか思い出せない。くだらないことだな、と思考を停止させる。
レーンには両手両足を根元から切断され、だるまみたいになった人間が十人並べられている。その背後には包丁が上に向かって固定されている。辛うじて生きているが、逃げ出すことは不可能だ。全員恐怖に怯えた表情をしている。涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃだ。そこそこの顔立ちをした女を選んだが、不細工に成り下がった。それにしても汚い。便器を連想してしまうくらい汚い顔だ。
それと高さがバラバラだ。同じくらいの背丈の者を拉致するべきだっただろうか。まあ、いいだろう。
祐斗は立ち上がり、ローションがたっぷり入ったバケツを手に取る。レーンへと近づき、ローションを流した。
生首は完全な円形ではないため、ローションを流さないとレーンを転がらない。
祐斗はゴム手袋をし、生首の鼻に二本の指を突っ込んだ。そして親指を口の中に突っ込む。
祐斗は構え、少し走ると、生首を投げた。生首は勢いよく、レーンの上を転がる。
『ひぃっ!』
女らは悲鳴を上げる。その悲鳴がやかましく、祐斗はムッとする。
生首はピンに見立てた女にぶつかる。女は後ろにいた二人の女にぶつかって倒れる。女は胸を包丁で貫かれて、生涯を終えた。二人の女も同様に胸を包丁で貫かれて絶命した。
『――――――――っ!』
残りの七人はその光景を見て、唇をわなわなと震わせる。
「いいねぇ。人が死ぬ光景を眺めるのは最高に愉しい」
恍惚とした表情を浮かべ、祐斗は死体を眺めている。
「あはははははははははははははははははははっ! ふぅ」
祐斗は高らかに笑い終えた後、舌なめずりをする。その直後、祐斗はブッとオナラをした。
「……よ、よ~し、続きを始めるか!」
気合を入れて祐斗は誤魔化そうとした。だが、女らは怯えた表情を一転させ、冷めた視線で祐斗を見つめていた。
「……切り替え早えな、おい」
祐斗はポツリと呟いた。
気を取り直し、祐斗は靴底の裏にトゲのついた靴を履いてから、生首を回収し、死体を隣のレーンに放り投げる。それから生首を投げた。
生首は端にいる二人の女にぶつかった。二人の女は倒れ、包丁で胸を貫かれて絶命する。
祐斗は死体を隣のレーンに放り投げた。死体は放り投げられた死体の上に重なる。
生首は血液で汚れていた。祐斗はレーンを見る。血の海ができていた。
そうやって祐斗は次々と生首を女にぶつけていった。
残り二人。また誘拐してこよう。人間ボウリングは最高に愉しいから。
祐斗は生首を最後に残った二人の女目掛けて投げた。二人は絶命する。
☆☆
廃墟となったボウリング場の前。
二十二人の中年の男女が険しい表情で立っていた。誘拐された者たちの両親である。
中年の男女たちは廃墟となったボウリング場へ突入した。
レーンには死体が積んであり、小さな机には生首が置かれていた。そして椅子には男が座っていた。
「やっと見つけた。誘拐犯よ、覚悟しろ」
その中の一人が怒りを含んだ声音で呟いた。
「もしかして、こいつらの両親? 初めまして、誘拐犯の粗方祐斗だ」
男――粗方祐斗は死体を指差しつつ、立ち上がる。
「それで、俺に何の用だ?」
祐斗は中年の男女たちに問いかけ、それが合図になったかのように中年の男女たちは隠し持っていた武器を次々と取り出した。
「やべぇ……どうしよう」
祐斗は表情を引きつらせた。
☆☆
代表して一人の中年が、祐斗の生首を持った。それを胴体目掛けて投げる。
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