56 / 211
黒い雨
しおりを挟む
僕は道路の真ん中で突っ立っていた。
本来なら、邪魔になるところだけど、今に限っては邪魔にならない。
僕は空を見上げる。雨が降っていた。いや、これは正確ではない。これが本当に雨なのかどうか僕には判断できないのだから。
その雨は夜よりも黒く暗闇よりも黒かった。黒を体現したかのような色合いだ。
止む気配がまるでしない。いつ降り止むのか全くと言っていいほど、見当がつかない。
もしかしたら、降り止まないのかもしれない。一年中降り続けるのかもしれない。
僕は――否、僕たちはもう太陽を拝めないのかもしれない。晴れた日にはもう出逢えない。そんな予感がする。
僕は辺りを見回した。
自動車が見事なまでに腐敗している。
数十箇所に穴が空き、その部分から腐敗が進行している。軽く触れただけで、すぐに崩れてしまいそうなほどに腐っていた。
それでなのか、鉄で構成されているはずなのに、柔らかそうに見えてしまう。
原因はこの黒い雨で間違いないだろう。きっと腐らせる成分が含まれているに違いない。
僕は自動車の運転席を見る。
肉体を腐敗させ、女性が死体となっていた。
道路や歩道には女性と同じく死体となっている老若男女が腐るほど転がっていた。肉体を腐敗させて。
異臭が辺りに漂っている。これが死体の臭いなのだろうか。
僕の身体も徐々にだけど、腐敗が進行している。間もなく僕も死体となって、道路に転がることだろう。
ふいに何かが崩れる音がする。
音のした方向に顔を向けると、建物が崩壊していた。建物を支える柱が、この雨によって腐ってしまい、崩れてしまったのだろう。
視界がぼやけてきた。意識が朦朧とする。
天からお迎えがきたようだ。もうちょっと生きたかったな。
人類はこの黒い雨によって、絶滅するのだろうか。
本来なら、邪魔になるところだけど、今に限っては邪魔にならない。
僕は空を見上げる。雨が降っていた。いや、これは正確ではない。これが本当に雨なのかどうか僕には判断できないのだから。
その雨は夜よりも黒く暗闇よりも黒かった。黒を体現したかのような色合いだ。
止む気配がまるでしない。いつ降り止むのか全くと言っていいほど、見当がつかない。
もしかしたら、降り止まないのかもしれない。一年中降り続けるのかもしれない。
僕は――否、僕たちはもう太陽を拝めないのかもしれない。晴れた日にはもう出逢えない。そんな予感がする。
僕は辺りを見回した。
自動車が見事なまでに腐敗している。
数十箇所に穴が空き、その部分から腐敗が進行している。軽く触れただけで、すぐに崩れてしまいそうなほどに腐っていた。
それでなのか、鉄で構成されているはずなのに、柔らかそうに見えてしまう。
原因はこの黒い雨で間違いないだろう。きっと腐らせる成分が含まれているに違いない。
僕は自動車の運転席を見る。
肉体を腐敗させ、女性が死体となっていた。
道路や歩道には女性と同じく死体となっている老若男女が腐るほど転がっていた。肉体を腐敗させて。
異臭が辺りに漂っている。これが死体の臭いなのだろうか。
僕の身体も徐々にだけど、腐敗が進行している。間もなく僕も死体となって、道路に転がることだろう。
ふいに何かが崩れる音がする。
音のした方向に顔を向けると、建物が崩壊していた。建物を支える柱が、この雨によって腐ってしまい、崩れてしまったのだろう。
視界がぼやけてきた。意識が朦朧とする。
天からお迎えがきたようだ。もうちょっと生きたかったな。
人類はこの黒い雨によって、絶滅するのだろうか。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
お尻たたき収容所レポート
鞭尻
大衆娯楽
最低でも月に一度はお尻を叩かれないといけない「お尻たたき収容所」。
「お尻たたきのある生活」を望んで収容生となった紗良は、収容生活をレポートする記者としてお尻たたき願望と不安に揺れ動く日々を送る。
ぎりぎりあるかもしれない(?)日常系スパンキング小説です。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixabay並びにUnsplshの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名などはすべて仮称です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる