黒き死神が笑う日

神通百力

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犯人は誰?

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 私が今するべき行動はなんだろう。
 アパートに帰って自分の部屋に入ったら、見覚えのある人が死んでいた。
 警察に通報だろうが、あいにく私は電話を持っていない。通報しようにもできない。
 犯人は誰かということから、考えよう。まず私は一人暮らしだ。で、合鍵は作っていない。私以外にこの部屋の鍵を持っている者はいない。
 だとすると考えられる可能性は一つ。犯人は大家さん。大家さんならば、マスターキーを使えばどの部屋であろうと入ることはできる。
 問題はなぜ私の部屋なのかだ。私の部屋番号は『101』。つまり管理人室から一番近い位置にあるということ。そして私と大家さんは折り合いが悪い。
 死んでる人とも折り合いが悪かった。よく口論してるのを見かけたことがある。
 どういう経緯でそうなったか分からないが、おそらく大家さんは誤ってこの人を殺害してしまった。どうしようか悩んだ末に折り合いが悪かった私に罪をなすりつけようとした。私が留守の時に、マスターキーで部屋の鍵を開けて死体を放置した。で、鍵を閉めた。そうした理由は死体の発見を遅らせて死亡推定時刻をずらそうとしたからだ。単なる推測でしかないが。
 さてと、警察署に駆け込むか。

 ☆☆

 刑事に私の推理を話した。すると、刑事は頷き、部下と思われる人に指示を下した。
 事件は瞬く間に収束を見せた。
 大家さんは任意同行で警察署に赴き、自分が犯人であることを認めた。その日の朝方ごろ、被害者の大声で喋る声が聞こえ、大家さんは近所迷惑だ、と言い、口論になり誤って殺したという事らしい。その後の行動は私の推測どおりだった。刑事が教えてくれた。 
 さっさと引越しをしよう。もうこれ以上面倒ごとに巻き込まれたくないんでね。 
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