魔法少女レルク

神通百力

文字の大きさ
上 下
2 / 3

謎の女

しおりを挟む
 私は魔法少女レルク。魔法王国スレグナからこの人間界にやってきた。 
 蟋蟀お兄ちゃんと出会って数週間が経った。 
 訓練のおかげで人を殺す技術が少しずつだけど上がってきた。 
 大好きだよ蟋蟀お兄ちゃん。こんなこと恥ずかしくて言えないけど。 
「レルクおいで」 
 蟋蟀お兄ちゃんが手招きしている。 
「ん? 何、蟋蟀お兄ちゃん?」 
 蟋蟀お兄ちゃんの元に向かった。 
「レルク」 
 抱きしめられ、頭を撫でられた。 
「ああん!」 
 喘ぎ声が口から漏れた。 
「うん。撫でられた時の反応じゃないよな。それ」 
「え? そうなの」 
「反応としては、『あう』あるいは『はう』とかじゃないか」 
「『へへ、お主も悪やのうお代官様』は?」 
「確実に違うよなそれ。悪者が言うセリフだぞ」 
「じゃあ、この『私の靴を舐めなさい。跪きなさい』は?」 
「どっかの女王が言いそうなセリフだな。知らないけど」 
「ねぇ。蟋蟀お兄ちゃん。何して遊ぶ?」 
「そうだな。何がいいレルク?」 
「う~ん。盗み!」 
「そうか。よし、盗みに行こうかレルク」 
「うん!」 
 私たちは外へ出て、家を物色した。 
 一際大きい家を見つけ、そこに盗みに入ることにした。 
「入るぞ、レルク」 
「うん。蟋蟀お兄ちゃん」 
 中に入り、見た物は。 
 刀、ライフル銃、槍、斧、薙刀、ナイフ、鎌が立て掛けられていた。 
 この家の主はコレクターなのだろうか? 
「金目になりそうなのがあるね、蟋蟀お兄ちゃん」 
「そうだな、レルク」 
 ガタッと音がし床が開いた。 
『! 隠し扉?』 
「おや? 泥棒かな君たちは?」 
 現れたのは、目が描かれてるアイマスクを装着し、胸にさらしを巻きつけショートパンツを穿いていて露出度の高い服装をしている黒髪で長髪の女性だった。
「見つかった」 
「ど、どうしよう」 
「とりあえず、自己紹介しようか。ワタシの名は強靭黄金きょうじんこがね。よろしく」 
「俺の名は、嘴蟋蟀」 
「私は、レルク」 
「いい名だね。嘴蟋蟀、聞いたことのある名だ。『変態殺人鬼蟋蟀』の通り名を持っている人だよね」 
「そうだ。『殺し屋職人黄金』の通り名を持つやつだなお前」 
 変態って言われてるのに、素通りだ蟋蟀お兄ちゃん。格好いい。 
「そうだよ。ここで会ったのも何かの縁。殺し合いをしよう」 
 言い終わったと同時に立て掛けてあった刀を取り踏み込んだ。 
「! はぁ!!」 
 蟋蟀お兄ちゃんは、回し蹴りを放ち、相手の刀を蹴り飛ばした。 
「! やるね」 
 今度はライフル銃を手に取って撃ってきた。 や、やばい。 
「む!」 
「結界魔法、帝王エンペラーの結界バリアー!!」 
 突如、マントを纏い、兜を被った人物が現れ銃弾を受け止めた。 
『え?』 
「ここは、人間界か」
 回りを見回しながら、帝王様が呟く。 
「そうだよ帝王様」                       
「我が主よ。様付けせんでもよい」 
「でも」 
「可愛いな主は」 
「はう!」 
 顔が赤くなった。 
「これが魔法かレルク」 
 こちらを見つめながら、蟋蟀お兄ちゃんが言った。
「そうだよ蟋蟀お兄ちゃん。すごい?」 
「すごいぞレルク」 
「へへ~」 
 頭を撫でてくれた。照れくさいけど、うれしい。
「魔法だって? どういうことか説明してくれるとうれしいな」 
 黄金は、不気味に笑う。背筋がゾクッとした。
「レルクは、魔法少女なんだ」 
「へぇ。そりゃすごいね」 
「あのね蟋蟀お兄ちゃん。私の魔法は、帝王エンペラーといって帝王様を呼び出すことができるんだよ」 
「魔法王国で我が魔法を会得したのは、主だけだ」
「レルクだけが使えるのかこの魔法」
「うん。会得難易度SSSランクの超高度魔法なんだ」
 胸を張って言った。……小さいけど。
「SSSランクか。もう一回なでなでしてやろう。おいでレルク」
「うん!」
 蟋蟀お兄ちゃんの元に行って、もう一回頭をなでなでしてもらった。うれしいなヘヘッ。
「さてとバトルを再開しようじゃないか。殺人鬼、魔法少女、帝王。うん素晴らしい組み合わせだ勝てるかな?」
 黄金は、ライフル銃を床に置いて薙刀を手にした。
「はぁ!」
 床を踏みしめて、こちらに跳んできた。
薙刀乱撃なぎなたらんげきい」
 超高速で私たちに乱撃を放ってきた。
「帝王様!」
「ああ」
帝王エンペラーの剣ソード
 帝王様の手に突如、剣が現れて乱撃を受け止め弾き飛ばした。
「ぐっ」
 黄金は壁にぶつかり呻き声を発した。
「う~ん強いな。どうしようかな」 
 ざわっと空気が変わった。 
『!』 
 この感じ、まさか。 
「こ、これは!?」 
 その時、お腹が鳴る音が聞こえた。 
「あ~お腹がすいたな。ワタシの負けだよ。腹が減っては戦は出来ぬだからね」 
「そうか。もっとやりたかったんだがな」 
「先刻お主から魔力を感じたんだが魔法使いか?」 
 帝王様が問いかける。
「う~ん近くもなければ遠くもないって所かな」 
「どういうこと?」 
「ようするにワタシは、魔法使いでもなければ人間でもない第三の存在なんだよ」 
「ふ~ん。じゃあお前は一体何者なんだ」 
 蟋蟀お兄ちゃんあくびしてる。何者か興味ないのかな。 
「興味なさそうだね」 
「まあな。強ければ正体なんてどうでもいい。ただレルクが気になってるようだから聞いただけだ」 
 蟋蟀お兄ちゃん優しい。 
「じきにわかるよ。じきにね」
「じきに分かるのか。帰るかレルク」
「うん!」
「では我も帰るとしよう」
「じゃあね帝王様」
「あぁ」
「またな殺し屋」
「うん、またね殺人鬼」
 私たちは殺し屋と別れ家に帰った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

魔法少女の異世界刀匠生活

ミュート
ファンタジー
私はクアンタ。魔法少女だ。 ……終わりか、だと? 自己紹介をこれ以上続けろと言われても話す事は無い。 そうだな……私は太陽系第三惑星地球の日本秋音市に居た筈が、異世界ともいうべき別の場所に飛ばされていた。 そこでリンナという少女の打つ刀に見惚れ、彼女の弟子としてこの世界で暮らす事となるのだが、色々と諸問題に巻き込まれる事になっていく。 王族の後継問題とか、突如現れる謎の魔物と呼ばれる存在と戦う為の皇国軍へ加入しろとスカウトされたり…… 色々あるが、私はただ、刀を打つ為にやらねばならぬ事に従事するだけだ。 詳しくは、読めばわかる事だろう。――では。 ※この作品は「小説家になろう!」様、「ノベルアップ+」様でも同様の内容で公開していきます。 ※コメント等大歓迎です。何時もありがとうございます!

美咲の初体験

廣瀬純一
ファンタジー
男女の体が入れ替わってしまった美咲と拓也のお話です。

豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜

自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで150万PV達成! 理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」 これが翔の望んだ力だった。 スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!? ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。

太陽神は創造神の手に余る異世界で破壊神になるらしいので見物に行くことになった道中記

餅狐様
ファンタジー
この物語は道中記。 とある男が経験する奇妙で不思議な道中記。 彼女との別れから全ては始まる。 パーティは全て伝説……いや、神話級のメンバー。 そして、導かれた先に座すは別天津神と呼ばれる伝説の神々。 その頂点に座するあの方の依頼に驚きを隠せないながらも強制転移で異世界へと旅立ち、その依頼をこなす事になるのだが……そんな世界で繰り広げられる夢も希望もない道中記を聞いて欲しい。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

異世界楽々通販サバイバル

shinko
ファンタジー
最近ハマりだしたソロキャンプ。 近くの山にあるキャンプ場で泊っていたはずの伊田和司 51歳はテントから出た瞬間にとてつもない違和感を感じた。 そう、見上げた空には大きく輝く2つの月。 そして山に居たはずの自分の前に広がっているのはなぜか海。 しばらくボーゼンとしていた和司だったが、軽くストレッチした後にこうつぶやいた。 「ついに俺の番が来たか、ステータスオープン!」

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...