これからもずっと一緒に

神通百力

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これからもずっと一緒に

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 夫は靴箱を支えにし、靴ベラを使って靴を履いた。夫が靴を履き終わったことを確認し、私はカバンを渡した。夫はカバンを受け取ると私の頬にキスをした。
「行ってくるよ」
「行ってらっしゃい、あなた」
 夫を見送った後、私はすぐに寝室に戻り、バスローブに着替えた。夫の前では一度も着たことがない。私がバスローブを持っていることさえ知らないだろう。
 私はリビングで最愛の人が来るのを待った。
 今でも夫は最愛の人だが、私には他にも最愛の人がいる。夫は私にはもったいないくらいに優しくてステキな人だ。しかし、あまりにも優しすぎて刺激が足りないのだ。夜の営みの時も私が痛がらないようにしてくれている。でも、私としてはもっと激しくしてほしい。夫との営みはつまらない。
 ドキドキしながら待っているとインターホンが鳴った。私は小躍りしながらドアを開けた。
「やあ、義姉さん」
しゅうくん、いらっしゃい」
 秀くんはドアを閉めると、いきなり私を抱きしめた。驚いていると、ディープキスをされた。秀くんの舌が私の舌に絡みついてくる。なんだか興奮してきて私は秀くんの唾液を啜った。
「今日はいつもより積極的だね、秀くん」
「積極的にもなるさ。昨日まで兄さんは休みだったからね。三日間も義姉さんに会えなくて寂しかったよ」
「ふふ、私も寂しかったよ」
 私は秀くんの腕に絡みつき、一緒にリビングに向かった。秀くんは夫の弟であり、私の不倫相手だ。
 半年前にあまりの物足りなさに自分で慰めているところを秀くんに見られたのだ。そのことがきっかけで私と秀くんは不倫の関係になった。秀くんに見られて本当に良かった。刺激的な日々を過ごせるのだから。
 この半年の間でお互いの体について知り尽くしている。私はどこを攻めれば秀くんが気持ちよくなるのかを知っている。秀くんもどこを攻めれば私が気持ちよくなるのかを知っている。お互いの性感帯を把握しているのだ。
 私はこの三日間で溜まりに溜まった性欲を秀くんにぶつけた。秀くんとの営みは心の底から楽しむことができる。夫では感じられない気持ちよさがある。
 気付けば夕方になっていた。半日間も事に及んでいたのだ。
 そろそろ夫が帰ってくる時間だ。私は着替えて急いで夕飯の支度をした。
 秀くんと一緒にテレビを観ながら待っていると、夫が帰ってきた。
「来てたのか、秀」
「やあ、兄さん。お仕事お疲れ様」
「今日は泊まってくんだろ?」
「うん、そのつもりだよ」
 夫は秀くんに会えて嬉しそうだった。
 食事をテーブルに並べる間、夫と秀くんは来月に旅行に出かけようかと話している。本当に仲の良い兄弟だ。大好きな秀くんと夫との旅行はきっと楽しいだろう。夫との営みはつまらないが、心の底から愛しているのだ。
 私は食事中に左足を夫の足に、右足を秀くんの足に絡ませた。二人の温もりを感じたかったからだ。その瞬間、二人とも微笑んでくれたのが嬉しかった。

 ――これからもずっと三人でいようね。
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