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魔王の復活です
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❊❊ 二時間前 ❊❊
シュワワン
「何処かで 結界が張られたか?」
マレアスは執務室で仕事をしながら呟いた。
横で助手をしているラファエルが答える。
「そのようですね。
これは妹のアデライドのようです。
今日はリリアン様とお茶会だと聞いております。
結界を張るなどと、令嬢二人で何やら悪巧みですかね。」
フフフッ っとラファエルが笑う。
「そうだね、どんな悪巧みをしていたのか 後でゆっくりと詳しく聞き出そうか。」
此方も 楽しそうに笑う。
『この光の結界の感じ、懐かしい!
力強い彼女の魔法の波動だな。
ゆっくりと堪能させてもらおう。』
やはり病んでる感は否めない。
ゆったりと仕事を続けながら、懐かしい彼女の魔力の波動に浸り 遠い過去の彼女を思い出す。
出会いは、もう何百年も前の事なので はっきりとは覚えていない。
確か 精霊の森の入口近くだったと思う。
怪我をした小さな狼を拾ったのが切っ掛けだった。
その小さな狼は 勇者を気に入ったのかずっと着いて来た。
そして気が付けば その小さな狼は聖獣に育っていた。
やがて聖獣は人型になり 勇者の愛する者になり、家族になった。
幸せだった。
思えばあの時が一番幸せだった様な気がする。
そんな時、彼女の故郷である精霊の森が 魔王に侵略された。
私たちはみんなを守るために 魔王と戦う事を選んだ。
勇者の力と聖獣の浄化の力を使い魔王と戦ったが、所詮勇者は人間だった。
浄化の力で弱っていた魔王は、勇者に的を絞って攻撃しようとした。
彼女は勇者を庇い、浄化と癒しの力を元に 命を引き換えにして魔王を封印した。
別れの言葉も覚悟も無く、突然彼女は居なくなった。
「いつまでもずっと愛してる。
何度生まれ変わろうと 彼女を見つけ出してみせる。」
勇者のその言葉は 呪いのように、記憶を持ったまま何度も生まれ変わる。
魔王と彼女の存在が消えた時から
ずっと ずっと ずっと……
------ パリン ------
結界の壊れる音と共に、一瞬 嫌な気配がする。
間髪入れず、アデライドの所に瞬間移動するが間に合わなかった。
床に空いた黒い渦に 二人は飲み込まれた。
この気配には覚えがある。
弱いけれど、魔王の気配だった。
またやられた!
しかし、今回はまだ大丈夫。
アデライドの気配はちゃんとある。
ラファエルを呼び寄せて、状況の説明と推測を言う。
「アデライドとリリアンが何者かに連れ攫われた。残った気配の残滓から、魔王が復活したのかもしれない。」
「まさか……!
それならば、場所の特定と討伐隊をすぐに……。」
「いや。 国を混乱させたく無い。
俺とラファエルの二人で行く!」
「私と二人でですか?」
「俺と、二人分の聖獣の力があれば大丈夫だろう?」
「あ~っとぉ …
薄々分かってはいましたけど、その仰り方だともうバレてますか。
私とアデライドが聖獣になれることが!
いつから ?!」
「最初からだけど 問題無い。
倒すだけなら俺だけでも大丈夫なんだが、精霊の森の中は聖獣に案内してもらう方が迷わずにすむからな。」
「精霊の森…ですか?」
「そうだ。
魔王と攫われた二人はそこに居る。
そこが、魔王の封印されていた場所だからな。」
「な……何故…そんな事を知って…?」
「急ぐぞ」
☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆
転移魔法陣で精霊の森の入口に出る。
『嗚呼 懐かしい。』
生まれ変わったら 必ず一度は訪れる所。
聖獣の彼女に初めて出会った所。
でも今は、森が闇に包まれている。
かろうじて闇に呑まれず逃げて来た精霊や妖精達が、心配そうに森を見ている。
その中の一人が魔法陣で現れた二人に気づいた。
《人間だ。》
《でも なんか違うような。》
《あーっ!
見た目は違うけど、いつもの勇者様だよ。》
《本当だ。勇者様だ。》
《勇者様。前の時みたいに魔王をどうにかしてよ。》
《今日は、違う聖獣を連れてるんだね。》
《魔王をやっつけてよ。》
《魔王は森の奥だよ。》
妖精達は、様々に好き勝手話しかけて来る。
「大丈夫だ。
今から倒しに行って来る。」
マレアスが普通に妖精達と話している。
ラファエルは、自分が妖精達の声を聞くことが出来る事に驚いたけれど、マレアスが当たり前のように会話している事にもっと驚いた。
「どうなってるんだ…」
ラファエルが呟いた。
「説明は後だ。
思ったより闇が深い。
聖獣になって アデライドの匂いを追ってくれ。」
「分かりました。」
ラファエルはくるりと宙を回転すると聖獣に変わる。
そして、二人は闇の森に足を踏み入れた。
シュワワン
「何処かで 結界が張られたか?」
マレアスは執務室で仕事をしながら呟いた。
横で助手をしているラファエルが答える。
「そのようですね。
これは妹のアデライドのようです。
今日はリリアン様とお茶会だと聞いております。
結界を張るなどと、令嬢二人で何やら悪巧みですかね。」
フフフッ っとラファエルが笑う。
「そうだね、どんな悪巧みをしていたのか 後でゆっくりと詳しく聞き出そうか。」
此方も 楽しそうに笑う。
『この光の結界の感じ、懐かしい!
力強い彼女の魔法の波動だな。
ゆっくりと堪能させてもらおう。』
やはり病んでる感は否めない。
ゆったりと仕事を続けながら、懐かしい彼女の魔力の波動に浸り 遠い過去の彼女を思い出す。
出会いは、もう何百年も前の事なので はっきりとは覚えていない。
確か 精霊の森の入口近くだったと思う。
怪我をした小さな狼を拾ったのが切っ掛けだった。
その小さな狼は 勇者を気に入ったのかずっと着いて来た。
そして気が付けば その小さな狼は聖獣に育っていた。
やがて聖獣は人型になり 勇者の愛する者になり、家族になった。
幸せだった。
思えばあの時が一番幸せだった様な気がする。
そんな時、彼女の故郷である精霊の森が 魔王に侵略された。
私たちはみんなを守るために 魔王と戦う事を選んだ。
勇者の力と聖獣の浄化の力を使い魔王と戦ったが、所詮勇者は人間だった。
浄化の力で弱っていた魔王は、勇者に的を絞って攻撃しようとした。
彼女は勇者を庇い、浄化と癒しの力を元に 命を引き換えにして魔王を封印した。
別れの言葉も覚悟も無く、突然彼女は居なくなった。
「いつまでもずっと愛してる。
何度生まれ変わろうと 彼女を見つけ出してみせる。」
勇者のその言葉は 呪いのように、記憶を持ったまま何度も生まれ変わる。
魔王と彼女の存在が消えた時から
ずっと ずっと ずっと……
------ パリン ------
結界の壊れる音と共に、一瞬 嫌な気配がする。
間髪入れず、アデライドの所に瞬間移動するが間に合わなかった。
床に空いた黒い渦に 二人は飲み込まれた。
この気配には覚えがある。
弱いけれど、魔王の気配だった。
またやられた!
しかし、今回はまだ大丈夫。
アデライドの気配はちゃんとある。
ラファエルを呼び寄せて、状況の説明と推測を言う。
「アデライドとリリアンが何者かに連れ攫われた。残った気配の残滓から、魔王が復活したのかもしれない。」
「まさか……!
それならば、場所の特定と討伐隊をすぐに……。」
「いや。 国を混乱させたく無い。
俺とラファエルの二人で行く!」
「私と二人でですか?」
「俺と、二人分の聖獣の力があれば大丈夫だろう?」
「あ~っとぉ …
薄々分かってはいましたけど、その仰り方だともうバレてますか。
私とアデライドが聖獣になれることが!
いつから ?!」
「最初からだけど 問題無い。
倒すだけなら俺だけでも大丈夫なんだが、精霊の森の中は聖獣に案内してもらう方が迷わずにすむからな。」
「精霊の森…ですか?」
「そうだ。
魔王と攫われた二人はそこに居る。
そこが、魔王の封印されていた場所だからな。」
「な……何故…そんな事を知って…?」
「急ぐぞ」
☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆
転移魔法陣で精霊の森の入口に出る。
『嗚呼 懐かしい。』
生まれ変わったら 必ず一度は訪れる所。
聖獣の彼女に初めて出会った所。
でも今は、森が闇に包まれている。
かろうじて闇に呑まれず逃げて来た精霊や妖精達が、心配そうに森を見ている。
その中の一人が魔法陣で現れた二人に気づいた。
《人間だ。》
《でも なんか違うような。》
《あーっ!
見た目は違うけど、いつもの勇者様だよ。》
《本当だ。勇者様だ。》
《勇者様。前の時みたいに魔王をどうにかしてよ。》
《今日は、違う聖獣を連れてるんだね。》
《魔王をやっつけてよ。》
《魔王は森の奥だよ。》
妖精達は、様々に好き勝手話しかけて来る。
「大丈夫だ。
今から倒しに行って来る。」
マレアスが普通に妖精達と話している。
ラファエルは、自分が妖精達の声を聞くことが出来る事に驚いたけれど、マレアスが当たり前のように会話している事にもっと驚いた。
「どうなってるんだ…」
ラファエルが呟いた。
「説明は後だ。
思ったより闇が深い。
聖獣になって アデライドの匂いを追ってくれ。」
「分かりました。」
ラファエルはくるりと宙を回転すると聖獣に変わる。
そして、二人は闇の森に足を踏み入れた。
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