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1章:魔女

5.食料(?)

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 意識が戻った僕が見たものは、地球から消えた時とは逆に自分の首から下に光の粒子が集まって段々と身体を構築していくという何とも奇妙な光景だった。そして光の粒子がしっかりと身体を作ると、全身麻酔が解けるように身体の感覚が戻ってくる。

「これ気持ち悪いな」

「うん」

 隣で僕と同じように光の粒子から人の姿に戻ったレイナの感想に同意する。

「森の中かよ。これのどこが良い所なんだっての」

 キョロキョロと辺りを見回すレイナに釣られて僕も周りを見渡すと、目に入るのは木と草ばかり。
 森か山か分からないが、少なくとも近隣に人が通りそうな気配は無い。
 どう考えてもスタート地点としては外れに該当するこの場所をチョイスした女神に文句の一つも言いたくなる気持ちは理解できる。

「うーん……どうしようか?」

「とりあえず飲み水と食料の確保、あとは安全そうな寝床ってとこか」

「異世界転移っていうより完全にサバイバルだよね」

「モンスターに襲われるよりはマシって感じ」

 レイナと話している最中、少し遠くで草むらが揺れるのが目に付いた。特に強い風が吹いているわけでもないので、自然に揺れたわけではないだろう。

「レイナ、あっちの草むらに何かいる」

 声のトーンを一段落として報告すると、レイナからも合わせるように小声で返事が返ってくる。

「マジ?鹿とかなら捕まえて食料にするか。ユウトって熊ぐらいいける?」

「倒せるとは思うけど」

 人間以外と闘ったことがないから自信は持てないが、多分なんとかなる。

「よし!とりあえず食料確……保?」

 晩御飯が見付かってウキウキのレイナがいきなり声を潜めた理由は、草むらから出てきたのが人型の生物でとても食料になりそうに無かったから。その生き物は二メートルを優に超える体躯に鈍色の肌、腰に申し訳程度の布を巻いて筋肉で盛り上がっている太い腕には丸太のような木片を担いでいる。
 どう見ても人間ではないが、野生動物とも一線を画すそれ。

「レイナ、フラグって知ってる?」

「伏線のことだろ。一瞬で回収しちまったなこれ」

 僕の質問に答えるレイナの声が聞こえてくる。声に釣られて上を見るとそこには桃源郷が広がっていた。雪のような白い肌と黒いショーツ。華奢な細い足が付け根に近くなるにつれて女性特有の柔らかさを醸し出し、大事な部分を隠している黒いパンツが軽く食い込んで秘部の形を伝えている。
 いつまでも見ていたい光景なのだけど、そういうわけにもいかないので木の上で器用にヤンキー座りしているレイナのパンツを見ながら声を掛けた。

「あの、レイナさん?」

「何で敬語なんだよ。アタシ邪魔になりそうだからここから見とくわ。……それとも逃げる?」

「……倒すよ」

 返事をするのに一瞬間が開いたのは、軽く煽ってきたレイナの顔と股間がエロ過ぎただけで他意は全くない。

「ちょ、ユウト。ソイツのチンコ見てよ、マジでエグイんだけど」

 レイナに言われてさっきのモンスターを見ると、凄まじい大きさに肥大化した棒が申し訳程度に隠していた股間の布をハッキリと押し上げて、玉袋がチラチラと見える程になっており、口からは獲物を見付けたと言わんばかりに比喩ではなく本当に涎を垂らし、ニヤついている口元からは鋭い歯が覗いている。
 馬より太いであろう勃起に無意識の内に後ずさりしてしまうが、同じ雄として気持ちは分からないでもない。
 その証拠に僕の股間も軽く膨らんでいる。

「ソイツ、ユウト見ておっ起ててんのヤバくない?」

「え゛嘘」

「ホント。アタシの方見てないもんソイツ」

 確かに目の前のモンスターはずっと僕の方を凝視しており、木の上のレイナには一瞥もくれていない。そして勃起している肉棒の先端部分の布が濡れているのを見た時、恐怖に近い感覚が僕を包んだ。

 前言撤回、同じ雄として君と気持ちは分かり合えない。

「コイツは絶対ここで倒す」

 そう宣言した僕は、モンスターに向かって駆け出した。

「頑張れ~アタシのボディガード♡」



「よっと……死んでんの?」

 モンスターが仰向けに地に伏したのを確認したレイナは、スカートを浮かび上がらせながら体操選手ばりの着地を決めて僕の隣に降り立った。

「気失ってるだけだよ」

 日本人の感覚としてはモンスターだろうと命を奪うのには抵抗がある。意識を奪って逃げる時間を稼げれば十分かもしれないけど、気持ち悪かったので意識を失う前に多めに殴っておいた。

「ふーん」

「ちょっとレイナ、あんまり近づくと危ないって」

 生返事をしながら気を失っているモンスターに近づくレイナを咎めたが、意に介したよう様子もなく足を進めていく。

「間近で見るとホントにデカ過ぎでしょこれ」

 仰向けになっているモンスターは僕と闘っている最中か倒れた際かは分からないが、股間を隠していた布がズレて剥き出しの状態で意識を失っている。その股間は相変わらず硬さを保っており、近づいたレイナは鈍色のソレに手を伸ばした。

「熱っ!……しかも何これ、鉄かってぐらい硬いんだけど」

 レイナはモンスターの勃起したチンコの竿の部分を両手で包もうとしているが、一周するにはレイナの手があと二つ程は足りないだろう。

「試しに扱いてみっか♡」

 好奇心に駆られたらしいレイナが二度三度と両手に力を込めて大きく上下に擦ると、

「えっ!ちょ」

 慌てたレイナが手を離すと同時に、夥しい量の白い液体が噴水のように辺りに降り注いだ。

「あっぶな」

 凄い速さで僕の隣に戻ってきたレイナは、自分が汚れなかったことに安堵したらしい。

「レイナさぁ……」

 レイナを責める雰囲気で名を呼ぶが、本音を言うと続く言葉は『僕にもして欲しい』だったりする。レイナの手で射精させてもらうとか羨ましすぎる。正直な所見ているだけで興奮した。

「悪い悪い、ちょっと興味あってさ」

「いきなり起きたらどうするの」

「その時はユウトが守ってくれるっしょ。うっわ……臭いもエグ♡」

「……レイナ、早くここから離れよう」

 辺りに飛び散った白濁液特有の臭いを嗅いで恍惚の表情を浮かべているレイナに対して、今すぐにでも自分のペニスを鼻先に突き出して臭いを上書きしてやりたいが、そんなことできるはずがない。

「オッケ。さっき木の上に登った時に丘っぽいのが見えたからとりあえずそこ行こっか。川とか見付かるかもしれないし」

 サッとエロい表情を切り替えて森の中を先導していくレイナの後ろを僕は慌てて付いていった。
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