創作した世界に転生しましたがなにかおかしいです

ruka

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「お待たせ、ミラン。会えなくて寂しかったよ、あとミラン…おしっこしたかったなら言ってくれれば一緒に行けたのに……」

い、行くわけあるか!
なんでトイレに行ったことバレてるのだろう…
若干戸惑いつつも、ついでに着替えてきたのか、ピシリとしてるお父様に改めて容姿を見る。

品のいいキッチリとした妥協の許しそうもない洋服に、銀縁の眼鏡。眼鏡の奥には色気の溢れた美形がそこにいる。
…そんなお父様からこんなに恥ずかしい言葉を掛けられ続けているとは………


「ん?ふふ、そんなに見つめられるとドキドキするよ」


うう………

お父様に骨抜きにされてる……




「じゃあ食事にしよう。2人きりだからミランはお父様のお膝の上で食べようか」

お父様はニコニコと微笑みながらいつの間にか入っていた執事に椅子を引かれ座り、両手を広げている…………え??

「これは昔からやってる決まり事だよね?」


ええ………そうだっけ………………
さすがに…………

いやキスまでしといてって言われるんだろうけど……


「まああの頃…直近で2人きりで食べたのは3歳の時だけどね」

「それは覚えてないわ……」


あまりのことに声に出てた…。


「ほら、早く。お父様の事大好きなミランは断る理由、ないでしょ?」


あ、あるよ!と、年頃だし…お父様ヘンタイだし……って今更………と思いつつもつい足がお父様の元へ向いてく。


断れない…………



「ふふふ…いーこいーこ。ミランは本当にいい子で可愛いなあ……よいしょ」

近付くと抱き締められストンっと膝の上に座らされた。
お父様の近さに緊張しながらも待っていると食事が用意されていく…これを執事に見られてるのだと思うと恥ずかしくて仕方ない……。

「いただきます」
「い、いただきます!」

既に用意されてたスープやパンを前に手を合わせる。お腹は空いた…時折お父様が抱き締める以外は大丈夫だったし早く食べよう…

「ミラン、あーんして」

く、口調砕けてませんかね??!あ、あーんが待っていたとは……

「ほら、あーん」

「じ、自分で食べれるわ!お父様…」

「お父様の手からは受け取ってくれないの…?」





ううっ………






「あ、あーん……」

…………負けた



嬉しそうに食べさせるお父様に満更でもなくなりつつ、徐々に朝御飯のお皿が空になっていく。

「お父様にも食べさせて?」


で、ですよね~…


もう腹を括って手頃なパンをちぎる。


「お父様…あ、あーん?」

「あーーん。」
 


ぱくっ
ペロペロ……




お父様の綺麗な口が開き、食べたかと思うとパンを掴んでいた手をからめとられペロペロと舐められる。

「あっちょっお父様っ!!」

咄嗟に手を引っ込めるが力が強くて引っ込められない。

「ふふ、どうしたの?パンを食べただけだよ?ほら、ミランの手に…付いてたから」

ぺろっとまた手を舐められる。

「っ~~~!!」

「ふふ、舐められるの好きみたいだね、ミラン。かわいい……ほら、あーんしてあげる。それとも…また食べさせてくれる?」

「っ、や……お父様、食べさせて!」

さっきの舌の感覚が熱々と残り、恥ずかしくなって咄嗟に反対の選択肢を選ぶ。

「ああっミラン……またお父様を煽って……」

はぁ、と息を荒らげ始めたお父様…誘導尋問なのに……
また変なことを口走らせないように結局さっさと残りのスープを口に入れた。
私も聞かされるのは恥ずかしいが…執事さんに聞かれるのはもっと恥ずかしい……もう既にこの状況はとてもいたたまれない……




やっと食べ終わると食後のお茶をついでもらい、一息つけるようなる。……膝の上だからまったく一息つけないけど。



「この後の予定はどうするの?お父様」

「ん、ふふ。そうだねぇ…これからから夕方まで執務室に行こうかと思うんだ。ミランも着いてきて欲しくて…いいかい?あ、お父様しかいないよ、執務室は」

おっ、なんだかとても以外だ。お仕事は休んで3日間いるのかと思っていたけど違ったみたい…。仕事多いのかな?
…ん?でもお母様たちに任せるとか言ってなかったっけ……?まあ呼べるぐらいだしいいか


「うん、いいわよ。執務室入ったことないし!」

「よかった…ちょっと不満だったんだ、ミランのためにもっと休みたかったんだけど……飽きさせないように頑張るね」

「う、ほどほどにね?」

なんだか嫌な予感がして釘をさしとく。お父様ははにかんだ。……イケメンだ……私は騙されてる…。


「ふふ、ああでも3日目はピクニックに行こう!屋敷の奥に泉があるんだよ。」

「わあピクニック!!!!楽しみ!!!」

屋敷は本当に広い。そのため何がどこにあるのやら状態だ。12歳まで屋敷の外に出てないのに閉塞的に感じないのはこれのおかげだと思う。
川遊びから山登り、もちろんお部屋で遊べるカード遊びまでやれるのだから最強である。
………とんでもない豪邸だと思う。管理が大変そうだ。


「ミランに喜んでもらえてお父様嬉しい……」


ぎゅーっと抱き締められて頬擦りをされる。朝の擦られていたことを思い出し、視線をなんとなく泳がしてると近くの執事さんと目が合う。
恥ずかしくてかあっと赤くなってしまった。

「ん?ミラン…赤くなって……ああ、…ふふ、お父様とラブラブしてるとこ見られて恥ずかしいけど嬉しいってお顔してるね、かわいい……妬いちゃうし見せたくなくて閉じ込めたくなっちゃう…………けど……うん…これはこれで………」

あああお父様が道を広げようとしてる?!?
目があっただけでクビは可哀想だしやめさせるけどっ変な趣味に…って今も充分変だけど!


「お、おおお父様!食べたし執務室に早く行こう??」

「ふふ、もちろん!……片付けを頼む。そうだな…ノアール、お前1人で昼食を執務室に持ってこい。あと少し付き合ってもらうぞ」

「…は。承知いたしました」


ノアール、と呼ばれた執事さんはお父様より少し若いぐらい…20代後半あたりかな?で黒髪黒目、一見地味に見えるがよく見るとかなりの美男子だ。髪を茶色いリボンで束ねている。
朝食の用意はノアールさんの他に何人かいたけれど、お昼は1人で持ってこさせるらしい…付き合いも謎だ。……変な趣味を阻止できなかった線が濃厚だ…。


「ほら、ミラン。こちらにお手をどうぞ」

「はい、お父様」


若干怖くなりつつも、どこぞの王子…とまではいかないどこぞの美宰相様のようなお父様に手をひかれ執務室へと向かった。
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