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## 19 お便秘聖獣の恥ずかしい告白

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フローラの活躍もあり、順調にガルディアナ・マレアの腹の中を進んでいた俺達だったが、やがて水位が下がり始め、これ以上は船で進むのは危険だという話になった。

「ここからは徒歩で進みましょう」

俺達は船を降り、ガルディアナ・マレアの体内の通路を歩き始めた。周囲はぬるぬるとした粘液で覆われており、足元が滑りやすい。不快な感触に、ルナは顔をしかめる。

「うぅ……気持ち悪いです……」

「頑張って、ルナ。もう少しで黒幕の居場所に辿り着けるはずだから」

俺はルナを励ました。しばらく進むと、大きな空洞のような場所に辿り着いた。

「ここが、ガルディアナ・マレアの中心部でしょうか……?」

「この広い空洞は……、胃、かなぁ……?」

ハルが辺りを見回す。薄暗い空洞の中央には、人影のようなものが倒れていた。

「誰かいる?」

ルナが恐る恐る近づいていくと、人影はゆっくりと起き上がった。それは、青い髪の美しい少女だった。彼女は弱々しい声で言った。

「私は……ガルディアナ・マレア……。正確には、この聖獣であるクジラ、ガルディアナ・マレアの精神体となる精霊です……」

俺は咄嗟に『分析』スキルを発動させた。



「名前:ガルディアナ・マレア
年齢:[計測失敗](100歳以上?)
性別:女性
身長:156cm
スリーサイズ:B101 W68 H 95
種族:精霊
Lv:88
HP:6555/58742
MP:22004/32568
力:385
魔力:432
精神力:495
スキル:潮汐操作Lv10、自然治癒Lv10、聖なる守りLv7
特殊能力:水中呼吸、超音波、くいしんぼう
祝福:無し
呪い:肉体分離、便秘気味」

くいしんぼうのクジラだけあってムチムチのわがままボディだ。俺はついついドキドキしてしまう。

特に便秘気味というだけあってパンパンに張ったお腹であるにもかかわらず、へそ出しの露出度の高い衣装であるものだから、エロさがとても生々しい。

(これは……ゴクリ……)

俺は思わずマレアの巨乳とプリッとしたお尻、そしてむっちりとしたお腹に視線を釘付けにしてしまう。そんな俺の挙動に気づいたルナとハルは、嫉妬半分諫言半分で俺の頬を抓った。

「もう!ご主人様ったらまた他の女の子のこと見てる!」

「マレア様は我が国の守護聖獣です!いやらしい目でみないでください!」

「い、痛っ!……ご、ごめん」

俺は慌てて謝った。フローラは心配そうにマレアに近づいた。

「マレア様、大丈夫ですか? 何かお困りですか?」

マレアは苦しそうな表情で答えた。

「……お腹が……苦しい……」

「お腹……?まさか……」

俺はマレアの分析データにあった「便秘気味」という呪いを思い出した。

「もしかして、便秘ですか……?」

俺は恐る恐る尋ねた。マレアは顔を真っ赤にして俯いた。

「……はい……」

「便秘? 便秘って、どういうことですか?」

ルナが不思議そうに尋ねる。マレアは顔を赤らめて説明した。

「あ、あの……簡単に言うと、お通じが来ていない状態です……」

「ああ! うんちが出てないってことですね!」

ルナが無邪気な大声を出すと、マレアのただでさえ真っ赤だった顔が更に赤く染まる。

「ルナさん!言い方!」

フローラが慌てて諫めるが、ルナはきょとんとしている。

無自覚にマレアを辱めてしまったことをルナは自覚していないようだった。

ハルは真剣な表情でマレアに寄りそう。

「マレア様、ご安心ください。必ずあなたを苦しみから解放します」

「……ありがとうございます……」

マレアは感謝の言葉を口にしたが、その表情は依然として苦しげだった。

「あの……実は……」

マレアは躊躇しながら口を開いた。

「暴れていたのも……便秘で体調が万全じゃなかったところに、悪い魔術師につけこまれて洗脳の呪いをかけられてしまい、身体のコントロールを奪われてしまったせいなんです……。普段ならあのような魔術師に不覚を取ったりはしないのですが……」

「なるほど……。それで宮殿を襲ってしまったんですね」

ハルは納得したように言った。

「便秘もその魔術師のせいですか? 許せません! 女の子にそんな卑劣な呪い……!」

フローラは憤慨する。女性として思う所があるようだ。

「べ、便秘の原因はただの食べ過ぎで……。呪いは関係ないです……。ごめんなさい……」

マレアは顔を赤らめる。どうやら日頃からくいしんぼうの女性らしい。

巨乳が揺れる。むっちりとした太ももが擦れ合う。それがこのわがままボディを作り出しているということか。

「食べ過ぎで、こんなに苦しい思いをして……。その末に身体を乗っ取られて暴れちゃうなんて、私、本当に馬鹿ですね……」

ハルは優しくマレアの肩に手を置いた。

「大丈夫ですよ、マレア様。誰でも失敗はあります。気にしないでください」

「ありがとうございます……」

マレアは感謝の言葉を口にしたが、その表情は依然として苦しげだった。

「便秘って、どうやれば直るんだ?」

「腸のマッサージとか、薬とか、浣腸みたいな手もありますけど、それよりもまず基本は安静にすることですね」

「安静、か……。見た所、先ほどからマレアのHPは減り続けています。魔術師の呪いで暴れ続けているせいでしょう。安静とは程遠い状況です。むしろ優先的に解決しなければならないのはそちらかもしれませんね。やっぱり魔術師を倒して身体のコントロールを取り戻さないと……」

俺がそう告げると、マレアはハッとしたように顔を上げた。

「そ、そうなんです! 今もその魔術師は、私の腸の中に潜んでいて、そこからずっと呪いをかけ続けているんです……」

ルナが真剣な表情で頷く。

「ご主人様、その魔術師を倒しましょう!」

「ああ」

俺は頷いた。

「マレア様、安心してください。必ずあなたを苦しみから解放します」

「ありがとうございます!ここからもう少し進んで行けば、魔術師のいる場所に辿り着くはずです。私は苦しくて戦えないので、どうかお願いします」

マレアは感謝の言葉と共に、俺達に頭を下げた。そして、

「た、ただ……。その前に……」

マレアは再び顔を赤らめ、もじもじし始めた。

「……その前に、一つお願いがあるのですが……」

「お願い……? 何でしょうか?」

ハルが尋ねた。マレアはさらに顔を赤らめ、小さな声で言った。

「……これ以上、私の体内の奥深く……腸の方へ……進むには……」

マレアは言葉を詰まらせた。

「……松明の灯りを消して欲しいんです」

「松明の灯りを消す……? どうしてですか?マレアちゃんのお腹の中は真っ暗なのに、灯りが無かったら怖くて進めないです!」

ルナが不思議そうに尋ねた。

「暗くて大変かもしれませんが、照明は魔法的な光とか、そういう類のものでなんとかして頂けたら……」

マレアはますます顔を赤らめ、もごもごと言った。

「でないと……。が、ガスが……」

「ガス……?」

今度はフローラが首を傾げた。

「腸にはガスがいっぱい……。つまり……、お、おなら、です……」

マレアはついに、女性としてとても恥ずかしい言葉を口にしてしまった。

「お、……おなら……」

フローラの顔が、みるみるうちに赤くなっていく。ハルもまた、驚きを隠せない様子だった。

「ま、まさか……おならに、火がついちゃうかもしれないから……?」

ハルが恐る恐る尋ねると、マレアは小さく頷いた。

「……はい」

マレアは顔を真っ赤にして俯いた。

「……もし、松明の火が……おならに引火したら……大爆発を起こしてしまうかもしれないんです……」

「大爆発……!?」

一同は恐怖で震え上がった。

「わ、私、ガルディアナ・マレアは……、くいしんぼうで、はしたない、オマヌケ聖獣です……。マレアのお腹の中には、た、たくさんの……」

マレアは羞恥に必死に耐えながら、女性としての尊厳に関わる恥ずかしい言葉を必死に少しずつ紡ぎ出してゆく。

「お、おならと……。……うんち、が……。詰まっています……。もし爆発したら……、大変なことになってしまうんです……。私の、く、くっさいおならと、き、きたないうんちのせいで……、皆さまにご迷惑をおかけしてごめんなさい……。だ、だから……」

マレアはもはや涙を流し顔を上げることができないでいる。

「……だから……火気厳禁ということで……。お願いします……」

マレアが恥ずかしさに耐えながら必死に懇願を終えると、一同は沈黙した。

俺も、ルナも、フローラも、ハルも、そして周囲の近衛兵や船乗りたちも、全員がとても気まずそうな顔をしている。

傍から見ればただのくいしんぼうクジラでも、精神体は若い女性の姿だ。

そんな彼女が自分のおならやうんちについて、顔を真っ赤にしながら、俺や近衛兵ら複数の男性にも聞かれている状況で具体的に自らの口で説明する……。

今の彼女の心理状態に想いを馳せると、少しいけない感情を抱いてしまうのは否めない。

しかし、変な羞恥プレイみたいな無駄にエロい言い方する必要はあったのだろうか……?

「わかりました」

俺は静かに言った。

「松明の灯りを消しましょう」

「フローラ、ハル、火気の伴わないな魔法的な光源を作れるか?簡単なもので構わないから」

俺の言葉に二人が頷く。

「……ありがとうございます……」

マレアは感謝の言葉と共に、再び俺達に頭を下げた。

「……本当に……ありがとうございます……」

こうして、俺達は松明の灯りを消し、魔法の光だけを頼りに、マレアの腸内へと進んでいくことになった。
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