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## 18 お便秘クジラの食道探検
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「ガルディアナ・マレアの腹の中に、操っている黒幕が居るように見える」
俺の言葉に、一同は驚きの声を上げた。
「お腹の中……?そんな馬鹿な……」
ハルは目を丸くしている。ルナも信じられないといった様子で俺を見つめた。
「だから船を出してあの腹の中に入って、黒幕を倒せば……」
「ご主人様……そんなこと、できるんですか……?」
「術師の黒幕が中に居るということは、あの腹の中は人間が生存可能な環境になってるということだ。やってみる価値はあると思う」
俺は提案した。イザベラは腕を組み、考え込むような表情をした。
「確かに、可能性としてはゼロではないわね。でも、危険じゃないの? 最悪、みんなクジラの餌よ」
フローラも心配そうに言った。
「ご主人……本当に大丈夫ですか……? 怖いです……」
「大丈夫だ。俺の『分析』スキルで危険は回避できるはずだ」
俺は自信満々に言った。ルナは不安そうに眉をひそめた。
「でも……もし、何かあったら……」
「大丈夫だよ、ルナ」
俺はルナの頭を優しく撫でる。
傍らでハルは決意を固めたように言った。
「私も行きます。『分析』様と共に、ガルディアナ・マレアを救い出しましょう」
「陛下!?」
侍女長が驚きの声を上げた。
「しかし、陛下が危険な目に遭うなど……」
「ガルディアナ・マレアは我が国の守護聖獣。それが操られて問題を起こしているというのなら、私には責任を持って対処する義務があります」
ハルは毅然とした態度で言った。ルナも負けじと前に出た。
「私も行きます!ご主人様を一人で行かせるわけにはいきません!」
「ルナ……」
俺はルナの決意に胸を打たれた。
「私も行きます!ご主人を守るのが私の役目ですから」
フローラも力強く言った。
「イザベラとヒナギクはここに残って、結界の維持をお願いしたい。万が一、ガルディアナ・マレアがまた暴れ出した場合、結界がなければ宮殿が危険だ」
「そうね。私達は結界の維持に専念しましょう」
イザベラは頷いた。
「陛下だけを行かせるのは不本意ですが……。仕方ありませんね。その代わり、近衛兵を何人か付けましょう。船を動かす人間も必要です」
ヒナギクも渋々とではあるが頷く。
結局、俺、ルナ、フローラ、ハル、それに近衛兵と船乗りが数名の、合わせて20名ほどのメンバーで、クジラの元へと乗り込むことになった。
「ご主人様、見てください!クジラさん、なんだかとっても弱ってるみたい……」
小型帆船がガルディアナ・マレアの巨体に近づくにつれ、ルナの言葉通り、その異様なまでの大人しさが際立ってきた。あれだけの大潮を起こし、宮殿を襲っていた獰猛さとはまるで別物だ。深く閉ざされた巨大な眼は虚ろで、時折かすかに上がる潮吹きも弱々しい。
「確かに、まるで病人みたいですね。呪いをかけられて、自分の意思とは関係なく暴れさせられてるせいで、相当体力を消耗してるのかも……」
フローラの言葉に、ルナは悲しげな表情で頷いた。
「かわいそうに……早く助けてあげたいです……」
ガルディアナ・マレアの口は固く閉じられている。どうすれば中に入れるのかと皆が思案していると、ハルが口を開いた。
「ガルディアナ・マレアは、本来はとても温厚な聖獣です。もし私たちに敵意がないことを理解してくれれば、きっと口を開けてくれるはずです」
ハルは船首に立ち、ガルディアナ・マレアに向かって語りかけた。
「おお、ガルディアナ・マレアよ。我々はあなたを救うために来たのです。どうか、我々をあなたの体内へと導いてください」
ハルの祈りが通じたのか、ガルディアナ・マレアはゆっくりと口を開けた。その口は巨大な洞窟のように大きく、容易に船が入れるほどの大きさだった。
「さあ、行きましょう!」
ハルが先陣を切って船をクジラの口の中へと進ませる。ルナ、フローラ、近衛兵、船乗りたちも後に続いた。
ガルディアナ・マレアの口の中は、生臭い潮の匂いと、得体の知れない粘液で満ちていた。船が進むにつれて、周囲は徐々に暗くなっていき、ついには完全な暗闇に包まれた。船乗りが松明で辺りを照らすと、そこはまるで巨大な洞窟の内部のようだった。壁面には、まだ消化されてない魚や海藻などがこびりついており、不気味な光景が広がっている。
「うわぁ……なんだか気持ち悪いですね……」
ルナは顔をしかめた。フローラも同意するように頷いた。
「確かに、あまり気持ちの良い場所ではありませんね……」
ハルは気丈に振る舞っていたが、やはり少し不安そうな様子だった。
「まあ、生き物の内臓の中だしな……。まだ食道ってところか?」
しばらく進むと、行く手を阻むように、小型の魚系モンスターの群れが現れた。
「敵襲です!」
近衛兵が叫んだ。
種族:フィッシャーマン
Lv:8
HP:500/500
MP:50/50
力:88
魔力:62
精神力:35
スキル:水魔法Lv5
特殊能力:噛み付き、粘液
「私が行きます!」
フローラは大きなスコップを手に、船から飛び降りた。
「フローラ!」
俺が声をかけようとした時には、既に彼女はモンスターの群れの中に飛び込んでいた。フローラはスコップを軽々と振り回し、次々とモンスターを倒していく。その姿は、まるで戦場の女神のようだった。
「すごい……フローラさん、本当に強いんですね……。私も加勢したい所なのですが、私が行ったらかえって足手まといになってしまいそうです」
ハルは感嘆の声を上げた。ルナもフローラの戦いぶりを食い入るように見つめていた。
俺はフローラの戦いぶりを見ながら、ある疑問が浮かんだ。一通りの雑魚を倒し終えて前線から戻って来たフローラに声をかける。
「なあ、フローラ。君は剣士なのに、どうしてその剣を抜かないんだ?」
俺はフローラの腰に下げられた剣を指差した。フローラはニヤリと笑って答えた。
「私のこのスコップは、森の妖精族に伝わる聖なるアーティファクトだから、剣よりもずっと攻撃力が高いんです」
フローラは誇らしげにスコップを掲げた。
「聖なるアーティファクト……? へえ、すごいスコップなんだね。ちょっと触らせてもらってもいい?」
俺は何気なく手を伸ばしたが、フローラはものすごい勢いでスコップを俺の手から遠ざける。
「だ、ダメです!これは妖精族しか扱えない聖なる道具なんです!たとえご主人でも、触らせるわけにはいきません!」
フローラは慌ててスコップを背中に隠した。
「ご、ごめん」
俺は苦笑しながら謝った。
「でも、そんなすごいスコップがあるなら、剣要らなくない?」
「いえ、このスコップは打撃武器なので、斬撃が必要な相手には効果が薄いんです。例えば、分厚い脂肪に覆われたモンスターや、スライム系のモンスターには、斬撃の方が有効ですよね。そういうモンスターを相手にする為には、剣も必要なんです」
フローラは真剣な表情で説明した。
「ああ、なるほど」
俺は納得した。
次に現れたのはぷるぷるスライムの集団だった。彼らは体をプルプルと震わせながら、こちらに迫ってくる。
種族:ぷるぷるスライム
Lv:12
HP:800/800
MP:70/70
力:10
魔力:100
精神力:55
スキル:水魔法Lv5
特殊能力:粘液、打撃耐性◎
「ぷるぷるスライムは打撃が効きにくい相手です。気を付けてください!」
ハルが警告する。
「お任せください!」
フローラは再びスコップを構えた。そしてぷるぷるスライムの群れへと勢いよく突撃し、あっという間に全てのスライムを殴り倒して帰って来た。
「え、なんで剣使わないの?」
「相手の打撃耐性の高さを考慮しても、その辺の古道具屋で買ったなまくらの中古の剣の斬撃よりは、妖精族のアーティファクトであるこのスコップの打撃の方が与えられるダメージが大きいと判断しました」
フローラは冷静に説明する。
「やっぱり剣要らないじゃん……」
「いえ、世の中には打撃が完全無効のモンスターというのも意外と居るのです。そういう敵にはたとえ我が一族の秘宝といえどダメージが通りませんので、その為には斬撃武器を備える必要があるんです」
フローラは真剣な表情で説明した。
その直後、フローラの言葉がフラグになったかのように打撃完全無効のモンスター『ぬるぬるマスター』が現れた。
種族:ぬるぬるマスター
Lv:20
HP:2000/2000
MP:300/300
力:150
魔力:150
精神力:150
スキル:水魔法Lv6
特殊能力:粘液、触手、打撃完全無効
巨大なナメクジのような姿で、体をぬるぬると動かしながら襲いかかってくる。
「ぬるぬるマスターは、あらゆる打撃攻撃を無効化します!打撃以外の攻撃で対応してください!」
ハルが指示を出した。
「了解です!」
フローラは腰に下げていた庭師道具のバッグから剪定用の小さなハサミを取り出した。
「え、なんでハサミ?剣は?」
俺は呆然とした。
「このハサミはアーティファクトとまでは行きませんが私が庭師として最高の仕事をする為に購入した最高級品で抜群の切れ味を誇ります。その辺の古道具屋で買ったなまくらの中古の剣とは比べ物になりません」
フローラは自信満々に言った。
「やっぱり剣いらないじゃん……」
俺はため息をついた。フローラの戦闘スタイルは、俺の常識をはるかに超えていた。
フローラは小さなハサミを器用に操り、ぬるぬるマスターの弱点である目を正確に突き刺した。ぬるぬるマスターは悲鳴を上げ、消滅した。
「ふう……なんとか倒せました」フローラはホッとしたように息を吐いた。
俺は、フローラの戦いぶりを見ながら、改めて彼女の分析データを確認した。
名前:フローラ
身長:153cm
体重:43kg
スリーサイズ:B79 W56 H81
スキル:剣術Lv4、園芸Lv7、結界Lv3、魔物知識Lv5
特殊能力:植物操作、自然回復促進
(剣術って、なんなんだろうな……?)
俺は首を傾げた。フローラの戦闘スタイルは、まだまだ謎が多い。
俺の言葉に、一同は驚きの声を上げた。
「お腹の中……?そんな馬鹿な……」
ハルは目を丸くしている。ルナも信じられないといった様子で俺を見つめた。
「だから船を出してあの腹の中に入って、黒幕を倒せば……」
「ご主人様……そんなこと、できるんですか……?」
「術師の黒幕が中に居るということは、あの腹の中は人間が生存可能な環境になってるということだ。やってみる価値はあると思う」
俺は提案した。イザベラは腕を組み、考え込むような表情をした。
「確かに、可能性としてはゼロではないわね。でも、危険じゃないの? 最悪、みんなクジラの餌よ」
フローラも心配そうに言った。
「ご主人……本当に大丈夫ですか……? 怖いです……」
「大丈夫だ。俺の『分析』スキルで危険は回避できるはずだ」
俺は自信満々に言った。ルナは不安そうに眉をひそめた。
「でも……もし、何かあったら……」
「大丈夫だよ、ルナ」
俺はルナの頭を優しく撫でる。
傍らでハルは決意を固めたように言った。
「私も行きます。『分析』様と共に、ガルディアナ・マレアを救い出しましょう」
「陛下!?」
侍女長が驚きの声を上げた。
「しかし、陛下が危険な目に遭うなど……」
「ガルディアナ・マレアは我が国の守護聖獣。それが操られて問題を起こしているというのなら、私には責任を持って対処する義務があります」
ハルは毅然とした態度で言った。ルナも負けじと前に出た。
「私も行きます!ご主人様を一人で行かせるわけにはいきません!」
「ルナ……」
俺はルナの決意に胸を打たれた。
「私も行きます!ご主人を守るのが私の役目ですから」
フローラも力強く言った。
「イザベラとヒナギクはここに残って、結界の維持をお願いしたい。万が一、ガルディアナ・マレアがまた暴れ出した場合、結界がなければ宮殿が危険だ」
「そうね。私達は結界の維持に専念しましょう」
イザベラは頷いた。
「陛下だけを行かせるのは不本意ですが……。仕方ありませんね。その代わり、近衛兵を何人か付けましょう。船を動かす人間も必要です」
ヒナギクも渋々とではあるが頷く。
結局、俺、ルナ、フローラ、ハル、それに近衛兵と船乗りが数名の、合わせて20名ほどのメンバーで、クジラの元へと乗り込むことになった。
「ご主人様、見てください!クジラさん、なんだかとっても弱ってるみたい……」
小型帆船がガルディアナ・マレアの巨体に近づくにつれ、ルナの言葉通り、その異様なまでの大人しさが際立ってきた。あれだけの大潮を起こし、宮殿を襲っていた獰猛さとはまるで別物だ。深く閉ざされた巨大な眼は虚ろで、時折かすかに上がる潮吹きも弱々しい。
「確かに、まるで病人みたいですね。呪いをかけられて、自分の意思とは関係なく暴れさせられてるせいで、相当体力を消耗してるのかも……」
フローラの言葉に、ルナは悲しげな表情で頷いた。
「かわいそうに……早く助けてあげたいです……」
ガルディアナ・マレアの口は固く閉じられている。どうすれば中に入れるのかと皆が思案していると、ハルが口を開いた。
「ガルディアナ・マレアは、本来はとても温厚な聖獣です。もし私たちに敵意がないことを理解してくれれば、きっと口を開けてくれるはずです」
ハルは船首に立ち、ガルディアナ・マレアに向かって語りかけた。
「おお、ガルディアナ・マレアよ。我々はあなたを救うために来たのです。どうか、我々をあなたの体内へと導いてください」
ハルの祈りが通じたのか、ガルディアナ・マレアはゆっくりと口を開けた。その口は巨大な洞窟のように大きく、容易に船が入れるほどの大きさだった。
「さあ、行きましょう!」
ハルが先陣を切って船をクジラの口の中へと進ませる。ルナ、フローラ、近衛兵、船乗りたちも後に続いた。
ガルディアナ・マレアの口の中は、生臭い潮の匂いと、得体の知れない粘液で満ちていた。船が進むにつれて、周囲は徐々に暗くなっていき、ついには完全な暗闇に包まれた。船乗りが松明で辺りを照らすと、そこはまるで巨大な洞窟の内部のようだった。壁面には、まだ消化されてない魚や海藻などがこびりついており、不気味な光景が広がっている。
「うわぁ……なんだか気持ち悪いですね……」
ルナは顔をしかめた。フローラも同意するように頷いた。
「確かに、あまり気持ちの良い場所ではありませんね……」
ハルは気丈に振る舞っていたが、やはり少し不安そうな様子だった。
「まあ、生き物の内臓の中だしな……。まだ食道ってところか?」
しばらく進むと、行く手を阻むように、小型の魚系モンスターの群れが現れた。
「敵襲です!」
近衛兵が叫んだ。
種族:フィッシャーマン
Lv:8
HP:500/500
MP:50/50
力:88
魔力:62
精神力:35
スキル:水魔法Lv5
特殊能力:噛み付き、粘液
「私が行きます!」
フローラは大きなスコップを手に、船から飛び降りた。
「フローラ!」
俺が声をかけようとした時には、既に彼女はモンスターの群れの中に飛び込んでいた。フローラはスコップを軽々と振り回し、次々とモンスターを倒していく。その姿は、まるで戦場の女神のようだった。
「すごい……フローラさん、本当に強いんですね……。私も加勢したい所なのですが、私が行ったらかえって足手まといになってしまいそうです」
ハルは感嘆の声を上げた。ルナもフローラの戦いぶりを食い入るように見つめていた。
俺はフローラの戦いぶりを見ながら、ある疑問が浮かんだ。一通りの雑魚を倒し終えて前線から戻って来たフローラに声をかける。
「なあ、フローラ。君は剣士なのに、どうしてその剣を抜かないんだ?」
俺はフローラの腰に下げられた剣を指差した。フローラはニヤリと笑って答えた。
「私のこのスコップは、森の妖精族に伝わる聖なるアーティファクトだから、剣よりもずっと攻撃力が高いんです」
フローラは誇らしげにスコップを掲げた。
「聖なるアーティファクト……? へえ、すごいスコップなんだね。ちょっと触らせてもらってもいい?」
俺は何気なく手を伸ばしたが、フローラはものすごい勢いでスコップを俺の手から遠ざける。
「だ、ダメです!これは妖精族しか扱えない聖なる道具なんです!たとえご主人でも、触らせるわけにはいきません!」
フローラは慌ててスコップを背中に隠した。
「ご、ごめん」
俺は苦笑しながら謝った。
「でも、そんなすごいスコップがあるなら、剣要らなくない?」
「いえ、このスコップは打撃武器なので、斬撃が必要な相手には効果が薄いんです。例えば、分厚い脂肪に覆われたモンスターや、スライム系のモンスターには、斬撃の方が有効ですよね。そういうモンスターを相手にする為には、剣も必要なんです」
フローラは真剣な表情で説明した。
「ああ、なるほど」
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「ぷるぷるスライムは打撃が効きにくい相手です。気を付けてください!」
ハルが警告する。
「お任せください!」
フローラは再びスコップを構えた。そしてぷるぷるスライムの群れへと勢いよく突撃し、あっという間に全てのスライムを殴り倒して帰って来た。
「え、なんで剣使わないの?」
「相手の打撃耐性の高さを考慮しても、その辺の古道具屋で買ったなまくらの中古の剣の斬撃よりは、妖精族のアーティファクトであるこのスコップの打撃の方が与えられるダメージが大きいと判断しました」
フローラは冷静に説明する。
「やっぱり剣要らないじゃん……」
「いえ、世の中には打撃が完全無効のモンスターというのも意外と居るのです。そういう敵にはたとえ我が一族の秘宝といえどダメージが通りませんので、その為には斬撃武器を備える必要があるんです」
フローラは真剣な表情で説明した。
その直後、フローラの言葉がフラグになったかのように打撃完全無効のモンスター『ぬるぬるマスター』が現れた。
種族:ぬるぬるマスター
Lv:20
HP:2000/2000
MP:300/300
力:150
魔力:150
精神力:150
スキル:水魔法Lv6
特殊能力:粘液、触手、打撃完全無効
巨大なナメクジのような姿で、体をぬるぬると動かしながら襲いかかってくる。
「ぬるぬるマスターは、あらゆる打撃攻撃を無効化します!打撃以外の攻撃で対応してください!」
ハルが指示を出した。
「了解です!」
フローラは腰に下げていた庭師道具のバッグから剪定用の小さなハサミを取り出した。
「え、なんでハサミ?剣は?」
俺は呆然とした。
「このハサミはアーティファクトとまでは行きませんが私が庭師として最高の仕事をする為に購入した最高級品で抜群の切れ味を誇ります。その辺の古道具屋で買ったなまくらの中古の剣とは比べ物になりません」
フローラは自信満々に言った。
「やっぱり剣いらないじゃん……」
俺はため息をついた。フローラの戦闘スタイルは、俺の常識をはるかに超えていた。
フローラは小さなハサミを器用に操り、ぬるぬるマスターの弱点である目を正確に突き刺した。ぬるぬるマスターは悲鳴を上げ、消滅した。
「ふう……なんとか倒せました」フローラはホッとしたように息を吐いた。
俺は、フローラの戦いぶりを見ながら、改めて彼女の分析データを確認した。
名前:フローラ
身長:153cm
体重:43kg
スリーサイズ:B79 W56 H81
スキル:剣術Lv4、園芸Lv7、結界Lv3、魔物知識Lv5
特殊能力:植物操作、自然回復促進
(剣術って、なんなんだろうな……?)
俺は首を傾げた。フローラの戦闘スタイルは、まだまだ謎が多い。
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