アンダーグラウンド ~下層世界より~

核の暴力とも言われた第三次大戦から二十余年。
人々は地上に住むことを断念し、各地の地中深くに構築した螺旋隧道型地下人工都市(らせんずいどうがた ちかじんこうとし)――ジオフロントに移住した。

しかし、消耗一方のフロントにはすべての人間を生かすほどの余裕は無い。

ここ、第十三区地中都市――通称"ブルート"は比較的恵まれているほうだが、とうとう選択の時が訪れようとしていた。

食料問題、衛生問題。

そして何より地上から流れ込む強酸性の雨が、ジオフロントが水没しないように稼働するポンプを痛めつける。

故障すれば替えはきかない。煤煙の出せないジオフロントでは、機械工業はとうの昔に無くなっていた。

このままの稼働を続ければあと数年と持たずに、このジオフロント全てが水没する。
しかし稼働率を下げれば――螺旋のトンネルの下層部に住む、身分の低い者達を見捨てることになるとはいえ――大多数の人間は助かることになる。

ようするに命の選別だ。

残酷だろうか。しかし、この政策がとられなければ、このジオフロントは近いうちに全滅となるだろう。

そして、その時はやってきた。

今夜零時。フロントの最下層、「第二十二層」一帯が閉鎖・入水(じゅすい)する。数多くの下層民を、置き去りにして。

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★一部、閑話等は変更することがありますが、カクヨムにて連載中のものと基本的には同内容となります。

★不定期更新ではありますが、なるべくマメに更新してまいりますので、宜しくお願い致します。
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