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第二夜
年代記『五公国記 盆地の王と獅子の歌姫』
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殺気立ったパリスの街を小さな影が通り抜けている。下層の住人はメルシゴナ反乱によって緊張感が高まっていたが、それだけに行動の規制がかかり整然として見えていた。
昼前であったが先ほどまで朝市も行われている。メルシゴナ氏族の商売が止められたため生活品の入手が限られていたこともあり、非都市民から購入することが多くなったためであった。道行く人通りはかなり多く慌ただしい。どの顔も険しく、猜疑心が色濃く表れていた。
ビョークは通り過ぎる人の波に逆らわず、飲まれるように下層の市場が開かれる広場に向かっていた。ザウストラの工場も今は閉鎖されている。ヴェスは市場の近くにある長屋に寝床があると工場の前でたむろしていた工員に聞きつけビョークはそちらに向かっている。ここ二日間ほど姿を見ていないと言われたが、そこはカズンズの言葉を信じて長屋へと足を向けた。
ヴェスのいるという長屋は下層民の中でも比較的裕福な者たちが住む共同住宅であった。若い夫婦や子供が多いが、それだけにビョークの出立は目立っている。長屋の入り口でしばらく様子を見ていたが、埒があかないと判断し、ビョークは足を踏み入れた。
場末で都市民が住んでいない長屋にもパリスの混乱の影響があるようで、みなどこか警戒しているようであった。ビョークの姿をみな目で追っている。少し年増の女が声をかけてくる。どこか咎めるような探るような声色がこもっていた。
「あんたどこからきなすった?だれか探してで?」
酷いタトラキア訛のある言葉が女の口から発せられる。ビョークはパリス生活が長いため、パリス周辺の言語には慣れている。パリス住民はパリス公用語を話すが、かなり強い訛がまじることは避けられなかった。
「ヴェスさんという方がこちらにお住いと伺いまして探しにまいりました。私は広場の西側で薬草などを扱っているビョークと申します」
年増女は怪訝そうな顔を隠さない。探るような視線をビョークに見せる。顔にすぐ出るあたり隠し事は出来ない質なのであろう。
「確かにいるけどヴェス坊やになんかようあるん?」
明らかに探りを入れられる。しかしビョークは淀みなく応えた。
「先日、五日ほど前でした。店の前でローハンからきたという旦那衆に難癖をつけられましてね。そのときにヴェスさんに助けていただいたのです。そのおりにはお名前を伺いそびれたのですが、方々探しましてザウストラの工房でこちらにお住いと教えていただきました。お助けいただいたお礼も言えませんでしたのでそのために」
年増女は少し間抜けな表情になって頷いている。口が半開きなのはビョークの話すパリス語が淀みなく訛もなかったからであった。どうやら相手の素性が下層民とは少々違うと感じたのかすぐに表情が明るくなった。
「そういう事かい。ああ今ヴェスさんなら家にいるよ。っていうか随分酷い顔になって帰ってきてね。二日ほどウンウン唸ってたけど今はずいぶんよくなってるみたいさ。ほらザウストラの工房止まっちまったろ? あれの日に顔晴らして戻ってきたから絶対なんかあったんじゃないかって思ってんだけどね。でも今あんまりヴェスさんに近寄らないほうがいいかも。昨日もマッシュハガさんとこの若い兵隊さんが来てこの辺ウロウロしてたんだよ。ヴェスさんのあんちゃんがお尋ね者だから都市の兵隊さんに目をつけられてんのさ」
知っている噂話を一気にまくしたてる。ビョークは年増女の勢いに苦笑いを作った。メルシゴナの反乱が下層民の不安を掻き立て、真偽不明の噂やそれに対する思惑が広がっているのであった。
「左様ですか。幸い私の仕事は薬師ですので丁度良かった。怪我ならいくらか薬の用立てもあります。お姉様どちらの住まいか教えていただけますでしょうか?」
若く見積もられたことにそれとわかるように機嫌がよくなり、年増女は手招きをする。案内を買ってでてあのである。ビョークは少々不味いことになったと思わなくもなかったが、ここは女についていくことにした。
長屋は細く長いが、どの家もきっちりと整備されている。古さもそれほど感じなかった。一部屋一部屋も広い造りになっている。二世帯以上の住民用のつくりなのであろう。ザウストラ家がどれほどパリスに貢献しているのかがこういう部分で伝わってくるようであった。
年増女が饒舌になっている。その背景には先行きが見えない不安が見え隠れしていた。
「ヴェスさんの実家ってザウストラの親方の計らいで工房の近くにあるんだよ。でもなぜかここで一人暮らして、下層民の中じゃ裕福な方なのにわけわからない人だよ本当」
ビョークは女の話にいちいち頷く。ビョークの住処に比べればはるかに住みやすそうな長屋がならんでいる。同じような見た目の漆喰作りの屋敷の中を通り抜け、二人は広場の脇にある長屋の入り口に立った。
「ここだよ。ヴェスさんいるんだろ?お客さんだよ!」
戸板を多少乱暴に叩き女は声を張り上げた。返答はない。さらに叩くと中から人の気配がわずかにしている。
「出て来やしないね。あんたも…」
女がビョークに何か言いかけたとき、戸板が引かれた。背の高い痩身の男が立っている。顔の腫れは無くなっていたが、それでもいたるところに傷が残っていた。熱が出ていたのであろう顔色が青白い。
「なんだい?騒々しいな。ガエナおばちゃんか」
目の前にいる少女のような女に目線を奪われる。少し緊張感が漂っていた。
「お客さんだよ。あんたに礼がしたいってさ」
ガエナの言葉に何の表情も現わさなかった。目の前の女に記憶がなかったのがヴェスの警戒心を上げている。だがどう見てもビョークの姿にダルダ一家やマッシュハガの息がかかっているとは思えなかった。
一瞬の間ヴェスの思考が回転している。ビョークはそれを敏感に感じ取っていた。
「その節はお助けいただき誠にありがとうございました。お名前も聞けず方々探させていただきましたが、ザウストラの工員の方からこちらにお住いとお聞きし伺った次第でございます」
ビョークの話にヴェスは内心怪しんだ。ザウストラの工房は今誰も立ち入りは許されていない。周辺に近寄るだけでマッシュハガの兵が咎めるのである。ほとんどの工員は住まいに引っ込んでいた。ザウストラの工員などと言いうのはビョークの出任せなのである。
嘘までついて自分に会いに来た理由をヴェスは思案する。長らくは考えていなかったが確かに不自然な間があり、奇妙な空気がその場を包んでいた。
「あ~、あの時の…ダルダ一家のチンピラに」
多少芝居がかっていたかもしれない。ヴェスは嘘が得意なほうではなかった、何とも素っ頓狂な声色になってしまっていた。
「はいはい。わざわざ来られたんですね。立ち話もなんですからどうぞ。独り身の貧乏人の家なんでなんもないですけど」
ビョークは安堵する。ヴェスが会わせてくれたことは賭けなところがあった。
ヴェスに促されビョークは長屋へ足を入れた。ヴェスの性格なのであろう。すっきりとして物があまりない。イ草を敷き詰めた寝台の主張が随分と強かった。
ビョークが長屋に入ると、ガエナは何か言いたげにしていたが踵を返した。何度か確認するように入口の方を振り返ったが、ヴェスが戸板を閉めるとそそくさとその場を後にしていく。
ビョークは息を吐き出す。ヴェスが何か問おうと口を開きかけるのを掌をあげて制する。土間にある水桶から柄杓を取ると部屋の四方にわずかに水をまき、口の中で歌を口ずさむ。温度がさがりヴェスの身体に鳥肌が浮き出てくる。はっきりとは聞こえない青の歌い手の歌は、傷ついたヴェスの身体を少し癒していた。
ビョークは歌い終えると、カズンズから渡された木簡を手渡す。受け取ったヴェスは木簡を開いた。
「お二人の証文確かに…」
「そんなに小さな声でなくても大丈夫です。この場は今外界との音を絶っておりますから。北側にお二人と先ほど案内くださった方が聞き耳を立てておられるようですね」
「それで俺に何を?」
ビョークの顔はどこか張り詰めている。
「我が主タイロン・メルシゴナの命を受けて義兄弟のお二人に力を借りようといたしました。しかし今あの方々の身は決して自由とはいいがたいものでございます。そこでヴェス様に頼れと」
一寸の間…、ヴェスの表情は硬い。あの時ユーラ・アボットの魔物のごとき強さをその目で見たとき、それまで自負は粉微塵に砕け散っている。この数日ヴェスは生き方を迷っていた。このままパリスで染物職人としての生を全うするのも悪くないと思えていた。そこにあの二人から頼られたのである。
兄を救われた恩、ユーラの強さに憧れに近い羨望、それを捨てようとする自分。しかし目の間にいる歌い手はその全てを考え直すためにそこに現れたかのように見える。この時ヴェスには確かに天命が降りていたのかもしれなかった。受け入れる覚悟を決めたのかと言われればヴェスにもわからない。ヴェスは大きく息を吐き出した。
「わかりました。それで俺は何をすればよろしいのでしょうか?」
ビョークはヴェスの言葉を聞いて、羊皮紙をさしだす。なにが書き示されているかはタイロン以外誰も知らない。
「タイロン様よりあずかりました。なにが書かれているかはわかりません。これを出来ましたらオグナル・メルシゴナ様へお渡しください。危険な戦争が起きようとしている今無理は承知しております。そしてもう一つ、ケイラ・メルシゴナ様を救いだしていただきたいのです。タイロン様は姉様の身を案じております。姉様を救い出しローハンへと逃がせと命じられました。私はこの命を守れなければ、死ぬ以外に他ありません。どうかお力をお貸しください」
ビョークの真摯さにヴェスは打たれていた。この女が何者なのかはわからない。しかしこれほど真摯に人を思いそこに命をとして動きまっすくに人を頼る姿を見て、見捨てれるようなヴェスではなかった。
オグナルの元に赴くのはかなりの難儀であろう。
「そのケイラさんという方はどちらに?」
「下層の市場。奴隷商の館にいることは間違いないとのことでございました。今メルシゴナ家の女子供は奴隷として他国に売られる算段になっているそうです」
ヴェスは薄く笑った。奴隷の差配はダルダ一家と手を組んでいるフーローズの任侠者が取り仕切っている。辛気臭くなったパリスで唯一といっていい景気の良さを持っているのが、メルシゴナ家であった新規の奴隷を扱う奴隷商人たちであった。パリスでの売買は表立って出来ないため、パリスからフーローズに移す準備が進んでいる。
「少しばかり時間をください。ケイラさんという方の所在も調べないとならない。いや心配しなくても大丈夫です。おそらくそれほど難しくはないでしょうから。仕事はパリスの外になりますがかまいませんか?」
「ええ。私はタイロン様の命に従いケイラ様をローハンにそのままお連れ致します」
「わかりました。では準備が整いましたらパリスの西門で落ち合いましょう多少準備もいりますので」
ヴェスは寝床にある茜色の染め物を一つ手に取ると縦に引き裂いた。
「準備が整いましたらこれをザウストラの工房入口にある椿の木に括りつけておきます。その夕刻に西門で落ち合いましょう。おそらく3日はかかりません」
ビョークは黙ったまま小さく頷く。二人の密約は終わった。
三日の後、一枚の羊皮紙がパーウィリス神殿に届く。神官パミルタスはその日の明け方女神に捧げられていたダルダン・メルシゴナの心臓を祭壇から取り除き棺に納めた。首は街道沿いに並べられている。無縁者としてダルダンはパリスの外に遺棄されることになっていた。反乱を起こしたものの仕打ちとはそういうものであった。
陰鬱でやるせない感情をパミルタスは何一つあらわさず神官の仕事をこなし、神殿の中庭へ出ようと足を向けていたのである。
羊皮紙は一匹の白い鳥が咥えている。パミルタスの目の前に名前もわからないその鳥が舞い降りてきた。小さな竹の筒を彼の前に落とすと、高い高い鳴き声を一つ放つ。侘し気な嘶きが乾いたパリスの空にその鳴き声が響き渡っていた。
竹の筒を拾い中の羊皮紙を引き抜き広げる。全てを読み終えるとパミルタスは西のそれへと顔を向けた。その形の良い唇から祝福の祈りが捧げられた。
殺気だったパリスを抜け出し、戦の気配が漂う郊外をショル・オニタは一人歩いている。北側には廃墟が少なくその先の草原地帯へと抜けていく間、野生生物の鳴き声すらしないほどパリスの周辺は静かであった。
外に出ることをパリスは禁じなかった。それもいつまでなのかはわからない。戻ったときには入城出来ない可能性があったが、ショルは墓守に言われた通りファロ廃村に向かっている。
廃村に入るとやはり人気はなかった。それでもこの廃村には対する違和感はぬぐえない。ショルは一歩入ったときから奇妙なものを感じ取っている。誰もいない、誰も使うことがないはずの廃村にはかなり色濃く使用している形跡が残っている。本来ならば草が伸び放題であろう道、崩れてはいるがどの家屋もどこか腐りきっていないのである。
どことなく手入れがされているにもかかわらず、全く人の気配がない廃村に奇妙さがあった。
左右を見渡しながら、ショルは教えられた通りつり橋を渡り、その奥まで歩いていった。ショルの眼前に祭壇が見えてくる。近づくにつれ何本もの杭が立ちそこに人型が括り付けれているのがすぐにわかった。ショルは思わず駆け出している。
祭壇の前でショルは膝をついた。そこに括りつけられていたのはダルダ一家の見知った顔であった。シーラ、ガレ、チョルノそして顔の半分が砕かれているロマの死体であった。どの男も熊か何かにやられたかのように粉々にされている。シーラにいたっては顔の下半分が吹き飛び舌が伸びていた。時間もたっているようですでに蛆が湧き始めている。
ダルダ一家の男たちだけではない。下層の半端者たちもその場に数人括りつけられているのである。何が起きたのかショルは一瞬理解できなかった。しかしそこにはサジたちオニタ一家の子分はいない。
「なんだよ…。何があったんだ…」
あれほどパリスの下層を腕力でねじ伏せていたダルダ一家の屍をこのような形で見せられると流石のショルも尻込みしていた。ローハンとフーローズの口車に乗せられて下手を打っている自分に気づいている。相手はジョダの手下がここまでしたと考えると、ここに来ればわかると言ったのは墓守の脅しが込められているとショルは受け取った。
ショルは草が動く気配に振り返る。祭壇もまた手入れが行き届いていた。人の気配は全くなかったが誰かがショルの後をつけてきていた。
「誰だ!? 誰かいるのか?」
目の前の光景にかなり恐怖にとらわれている。声も出さず近づくものに対する警戒をショルはとかなかった。
しかしショルの警戒は肩透かしを食らう。祭壇を取り囲む岩と森林から姿を現したのはサジとその舎弟であった。
「お…おやっさん…」
三人ともかなり疲労している。まともに食うものも無かったのであろう。フラフラとしながら祭壇の前まででてきる。ショルはさらに混乱した。
「お前ら…無事だったのか」
サジはまだ余裕が見えた。血と汗に三人の服は汚れていたがそれは闘争のためではないことはすぐに分かった。
「なんとかあいつらから逃げて、ここに身を隠して…。あんな化け物がいるなんて…」
「化け物だと!?」
「ゾルト族と名乗ってました。パリスのやつらから依頼を受けてとかなんとか。爺とそれにあの化け物が」
ショルの顔が青白くなっていく。パリスの幽鬼とジョダの青白い顔が浮かんだ。
「ダルダ一家の旦那衆はあいつ一人にやられたんだ。ゾルト族の化け物に! 俺たちゃ怖くなって…」
サジの横でしゃがみこんでいる舎弟が興奮気味に語り始める。ショルの顔を見て安心してた部分もあるのであろう。それだけ数日間の恐怖が大きいのが見て取れた。サジにしろ若い衆にしろ決して臆病者ではない。ガキの頃から一人前になるまで躾たのはショル自身である。パリス下層で切った張ったの生活をしていた子分が、全員恐怖で立ち上がることもできなくなっている様子に戦慄せずにはいられない。
今更ながらダルダ一家の取引に応じたことをショルは後悔している。ノア一家もすでになくおそらくローハンからグァンジ―一家が乗り出してくるであろうことは明白で、三人が生きていることを知ればダルダ一家の男たちを死なせた不始末を捻じ込んでくることは想像できた。
「…サジ」
ショルの決断は速かった。このままではオニタ一家はローハン者の風下に置かれることになる。それだけは避けなければならなかった。
ショルの問いかけにサジは顔を上げる。
「サジ。このままパリスを離れろ。おめぇたちがいると困ったことになっちまう」
殺すことは出来ない。ショルの人情はサジたち子分を始末することを拒否していた。サジはすぐに親分の思惑を察していた。極限の中での数日間でサジの頭は逆に冴え過ぎていたのであろう。
「おやっさん。ガラ隠すのはわかりますが、パリスの外は…」
「わかってる。もうすぐ戦が始まっちまうからな東には行けねぇ。おめぇらはこのまま北に行くんだ」
「北…北ですか」
「そうだ。アル・エインを遡って北の渓谷を抜けた先に寂れた村がある。パリスの保護下で細々やってる村だ。そこにガラ隠しとけ。俺の身内だって話は通しといてやる」
サジたちは疲れ切った様子で黙って頷いた。本音を言えば戦の気配が漂っている上にゾルト族が近くにいる可能性があるパリス郊外にいつまでもいたくはなかったが、ショルの言いつけならば致し方なかった。
「それにあのヴェスってガキだな。落とし前…」
「おやっさんやめてください。ヴェスは…パリスの裏の仕事してやがります」
「な…じゃぁ」
「ヴェスなんて可愛いもんです。パリスの裏家業のやつらがガキの使いくらいにしかならない化け物がゾルト族にはいるんですよ。それにあの爺さんあれがソ・カウシだったんだ。だからあんな化け物を弟子みたいに連れて歩いてたんだ…」
ショルは目を閉じて空を見上げた。パリス下層のヤクザ者風情では限界がある。やり様はいくらでもあるが、目の前のダルダ一家の死体の山を見せられるとサジたちの言葉を信用するしかなかった。
ソ・カウシの名はパリスだけではなく裏の家業や渡世に生きている者達では伝説となっている。サウル盆地の武芸者として尾ひれを付けられた話もあるだろうが、コウロン山脈までその名は伝わっていた。
上空を渡烏が旋回し始める。ファロ廃村の祭壇は腐敗臭と乾いた血の匂いにいつまでも満たされていた。
昼前であったが先ほどまで朝市も行われている。メルシゴナ氏族の商売が止められたため生活品の入手が限られていたこともあり、非都市民から購入することが多くなったためであった。道行く人通りはかなり多く慌ただしい。どの顔も険しく、猜疑心が色濃く表れていた。
ビョークは通り過ぎる人の波に逆らわず、飲まれるように下層の市場が開かれる広場に向かっていた。ザウストラの工場も今は閉鎖されている。ヴェスは市場の近くにある長屋に寝床があると工場の前でたむろしていた工員に聞きつけビョークはそちらに向かっている。ここ二日間ほど姿を見ていないと言われたが、そこはカズンズの言葉を信じて長屋へと足を向けた。
ヴェスのいるという長屋は下層民の中でも比較的裕福な者たちが住む共同住宅であった。若い夫婦や子供が多いが、それだけにビョークの出立は目立っている。長屋の入り口でしばらく様子を見ていたが、埒があかないと判断し、ビョークは足を踏み入れた。
場末で都市民が住んでいない長屋にもパリスの混乱の影響があるようで、みなどこか警戒しているようであった。ビョークの姿をみな目で追っている。少し年増の女が声をかけてくる。どこか咎めるような探るような声色がこもっていた。
「あんたどこからきなすった?だれか探してで?」
酷いタトラキア訛のある言葉が女の口から発せられる。ビョークはパリス生活が長いため、パリス周辺の言語には慣れている。パリス住民はパリス公用語を話すが、かなり強い訛がまじることは避けられなかった。
「ヴェスさんという方がこちらにお住いと伺いまして探しにまいりました。私は広場の西側で薬草などを扱っているビョークと申します」
年増女は怪訝そうな顔を隠さない。探るような視線をビョークに見せる。顔にすぐ出るあたり隠し事は出来ない質なのであろう。
「確かにいるけどヴェス坊やになんかようあるん?」
明らかに探りを入れられる。しかしビョークは淀みなく応えた。
「先日、五日ほど前でした。店の前でローハンからきたという旦那衆に難癖をつけられましてね。そのときにヴェスさんに助けていただいたのです。そのおりにはお名前を伺いそびれたのですが、方々探しましてザウストラの工房でこちらにお住いと教えていただきました。お助けいただいたお礼も言えませんでしたのでそのために」
年増女は少し間抜けな表情になって頷いている。口が半開きなのはビョークの話すパリス語が淀みなく訛もなかったからであった。どうやら相手の素性が下層民とは少々違うと感じたのかすぐに表情が明るくなった。
「そういう事かい。ああ今ヴェスさんなら家にいるよ。っていうか随分酷い顔になって帰ってきてね。二日ほどウンウン唸ってたけど今はずいぶんよくなってるみたいさ。ほらザウストラの工房止まっちまったろ? あれの日に顔晴らして戻ってきたから絶対なんかあったんじゃないかって思ってんだけどね。でも今あんまりヴェスさんに近寄らないほうがいいかも。昨日もマッシュハガさんとこの若い兵隊さんが来てこの辺ウロウロしてたんだよ。ヴェスさんのあんちゃんがお尋ね者だから都市の兵隊さんに目をつけられてんのさ」
知っている噂話を一気にまくしたてる。ビョークは年増女の勢いに苦笑いを作った。メルシゴナの反乱が下層民の不安を掻き立て、真偽不明の噂やそれに対する思惑が広がっているのであった。
「左様ですか。幸い私の仕事は薬師ですので丁度良かった。怪我ならいくらか薬の用立てもあります。お姉様どちらの住まいか教えていただけますでしょうか?」
若く見積もられたことにそれとわかるように機嫌がよくなり、年増女は手招きをする。案内を買ってでてあのである。ビョークは少々不味いことになったと思わなくもなかったが、ここは女についていくことにした。
長屋は細く長いが、どの家もきっちりと整備されている。古さもそれほど感じなかった。一部屋一部屋も広い造りになっている。二世帯以上の住民用のつくりなのであろう。ザウストラ家がどれほどパリスに貢献しているのかがこういう部分で伝わってくるようであった。
年増女が饒舌になっている。その背景には先行きが見えない不安が見え隠れしていた。
「ヴェスさんの実家ってザウストラの親方の計らいで工房の近くにあるんだよ。でもなぜかここで一人暮らして、下層民の中じゃ裕福な方なのにわけわからない人だよ本当」
ビョークは女の話にいちいち頷く。ビョークの住処に比べればはるかに住みやすそうな長屋がならんでいる。同じような見た目の漆喰作りの屋敷の中を通り抜け、二人は広場の脇にある長屋の入り口に立った。
「ここだよ。ヴェスさんいるんだろ?お客さんだよ!」
戸板を多少乱暴に叩き女は声を張り上げた。返答はない。さらに叩くと中から人の気配がわずかにしている。
「出て来やしないね。あんたも…」
女がビョークに何か言いかけたとき、戸板が引かれた。背の高い痩身の男が立っている。顔の腫れは無くなっていたが、それでもいたるところに傷が残っていた。熱が出ていたのであろう顔色が青白い。
「なんだい?騒々しいな。ガエナおばちゃんか」
目の前にいる少女のような女に目線を奪われる。少し緊張感が漂っていた。
「お客さんだよ。あんたに礼がしたいってさ」
ガエナの言葉に何の表情も現わさなかった。目の前の女に記憶がなかったのがヴェスの警戒心を上げている。だがどう見てもビョークの姿にダルダ一家やマッシュハガの息がかかっているとは思えなかった。
一瞬の間ヴェスの思考が回転している。ビョークはそれを敏感に感じ取っていた。
「その節はお助けいただき誠にありがとうございました。お名前も聞けず方々探させていただきましたが、ザウストラの工員の方からこちらにお住いとお聞きし伺った次第でございます」
ビョークの話にヴェスは内心怪しんだ。ザウストラの工房は今誰も立ち入りは許されていない。周辺に近寄るだけでマッシュハガの兵が咎めるのである。ほとんどの工員は住まいに引っ込んでいた。ザウストラの工員などと言いうのはビョークの出任せなのである。
嘘までついて自分に会いに来た理由をヴェスは思案する。長らくは考えていなかったが確かに不自然な間があり、奇妙な空気がその場を包んでいた。
「あ~、あの時の…ダルダ一家のチンピラに」
多少芝居がかっていたかもしれない。ヴェスは嘘が得意なほうではなかった、何とも素っ頓狂な声色になってしまっていた。
「はいはい。わざわざ来られたんですね。立ち話もなんですからどうぞ。独り身の貧乏人の家なんでなんもないですけど」
ビョークは安堵する。ヴェスが会わせてくれたことは賭けなところがあった。
ヴェスに促されビョークは長屋へ足を入れた。ヴェスの性格なのであろう。すっきりとして物があまりない。イ草を敷き詰めた寝台の主張が随分と強かった。
ビョークが長屋に入ると、ガエナは何か言いたげにしていたが踵を返した。何度か確認するように入口の方を振り返ったが、ヴェスが戸板を閉めるとそそくさとその場を後にしていく。
ビョークは息を吐き出す。ヴェスが何か問おうと口を開きかけるのを掌をあげて制する。土間にある水桶から柄杓を取ると部屋の四方にわずかに水をまき、口の中で歌を口ずさむ。温度がさがりヴェスの身体に鳥肌が浮き出てくる。はっきりとは聞こえない青の歌い手の歌は、傷ついたヴェスの身体を少し癒していた。
ビョークは歌い終えると、カズンズから渡された木簡を手渡す。受け取ったヴェスは木簡を開いた。
「お二人の証文確かに…」
「そんなに小さな声でなくても大丈夫です。この場は今外界との音を絶っておりますから。北側にお二人と先ほど案内くださった方が聞き耳を立てておられるようですね」
「それで俺に何を?」
ビョークの顔はどこか張り詰めている。
「我が主タイロン・メルシゴナの命を受けて義兄弟のお二人に力を借りようといたしました。しかし今あの方々の身は決して自由とはいいがたいものでございます。そこでヴェス様に頼れと」
一寸の間…、ヴェスの表情は硬い。あの時ユーラ・アボットの魔物のごとき強さをその目で見たとき、それまで自負は粉微塵に砕け散っている。この数日ヴェスは生き方を迷っていた。このままパリスで染物職人としての生を全うするのも悪くないと思えていた。そこにあの二人から頼られたのである。
兄を救われた恩、ユーラの強さに憧れに近い羨望、それを捨てようとする自分。しかし目の間にいる歌い手はその全てを考え直すためにそこに現れたかのように見える。この時ヴェスには確かに天命が降りていたのかもしれなかった。受け入れる覚悟を決めたのかと言われればヴェスにもわからない。ヴェスは大きく息を吐き出した。
「わかりました。それで俺は何をすればよろしいのでしょうか?」
ビョークはヴェスの言葉を聞いて、羊皮紙をさしだす。なにが書き示されているかはタイロン以外誰も知らない。
「タイロン様よりあずかりました。なにが書かれているかはわかりません。これを出来ましたらオグナル・メルシゴナ様へお渡しください。危険な戦争が起きようとしている今無理は承知しております。そしてもう一つ、ケイラ・メルシゴナ様を救いだしていただきたいのです。タイロン様は姉様の身を案じております。姉様を救い出しローハンへと逃がせと命じられました。私はこの命を守れなければ、死ぬ以外に他ありません。どうかお力をお貸しください」
ビョークの真摯さにヴェスは打たれていた。この女が何者なのかはわからない。しかしこれほど真摯に人を思いそこに命をとして動きまっすくに人を頼る姿を見て、見捨てれるようなヴェスではなかった。
オグナルの元に赴くのはかなりの難儀であろう。
「そのケイラさんという方はどちらに?」
「下層の市場。奴隷商の館にいることは間違いないとのことでございました。今メルシゴナ家の女子供は奴隷として他国に売られる算段になっているそうです」
ヴェスは薄く笑った。奴隷の差配はダルダ一家と手を組んでいるフーローズの任侠者が取り仕切っている。辛気臭くなったパリスで唯一といっていい景気の良さを持っているのが、メルシゴナ家であった新規の奴隷を扱う奴隷商人たちであった。パリスでの売買は表立って出来ないため、パリスからフーローズに移す準備が進んでいる。
「少しばかり時間をください。ケイラさんという方の所在も調べないとならない。いや心配しなくても大丈夫です。おそらくそれほど難しくはないでしょうから。仕事はパリスの外になりますがかまいませんか?」
「ええ。私はタイロン様の命に従いケイラ様をローハンにそのままお連れ致します」
「わかりました。では準備が整いましたらパリスの西門で落ち合いましょう多少準備もいりますので」
ヴェスは寝床にある茜色の染め物を一つ手に取ると縦に引き裂いた。
「準備が整いましたらこれをザウストラの工房入口にある椿の木に括りつけておきます。その夕刻に西門で落ち合いましょう。おそらく3日はかかりません」
ビョークは黙ったまま小さく頷く。二人の密約は終わった。
三日の後、一枚の羊皮紙がパーウィリス神殿に届く。神官パミルタスはその日の明け方女神に捧げられていたダルダン・メルシゴナの心臓を祭壇から取り除き棺に納めた。首は街道沿いに並べられている。無縁者としてダルダンはパリスの外に遺棄されることになっていた。反乱を起こしたものの仕打ちとはそういうものであった。
陰鬱でやるせない感情をパミルタスは何一つあらわさず神官の仕事をこなし、神殿の中庭へ出ようと足を向けていたのである。
羊皮紙は一匹の白い鳥が咥えている。パミルタスの目の前に名前もわからないその鳥が舞い降りてきた。小さな竹の筒を彼の前に落とすと、高い高い鳴き声を一つ放つ。侘し気な嘶きが乾いたパリスの空にその鳴き声が響き渡っていた。
竹の筒を拾い中の羊皮紙を引き抜き広げる。全てを読み終えるとパミルタスは西のそれへと顔を向けた。その形の良い唇から祝福の祈りが捧げられた。
殺気だったパリスを抜け出し、戦の気配が漂う郊外をショル・オニタは一人歩いている。北側には廃墟が少なくその先の草原地帯へと抜けていく間、野生生物の鳴き声すらしないほどパリスの周辺は静かであった。
外に出ることをパリスは禁じなかった。それもいつまでなのかはわからない。戻ったときには入城出来ない可能性があったが、ショルは墓守に言われた通りファロ廃村に向かっている。
廃村に入るとやはり人気はなかった。それでもこの廃村には対する違和感はぬぐえない。ショルは一歩入ったときから奇妙なものを感じ取っている。誰もいない、誰も使うことがないはずの廃村にはかなり色濃く使用している形跡が残っている。本来ならば草が伸び放題であろう道、崩れてはいるがどの家屋もどこか腐りきっていないのである。
どことなく手入れがされているにもかかわらず、全く人の気配がない廃村に奇妙さがあった。
左右を見渡しながら、ショルは教えられた通りつり橋を渡り、その奥まで歩いていった。ショルの眼前に祭壇が見えてくる。近づくにつれ何本もの杭が立ちそこに人型が括り付けれているのがすぐにわかった。ショルは思わず駆け出している。
祭壇の前でショルは膝をついた。そこに括りつけられていたのはダルダ一家の見知った顔であった。シーラ、ガレ、チョルノそして顔の半分が砕かれているロマの死体であった。どの男も熊か何かにやられたかのように粉々にされている。シーラにいたっては顔の下半分が吹き飛び舌が伸びていた。時間もたっているようですでに蛆が湧き始めている。
ダルダ一家の男たちだけではない。下層の半端者たちもその場に数人括りつけられているのである。何が起きたのかショルは一瞬理解できなかった。しかしそこにはサジたちオニタ一家の子分はいない。
「なんだよ…。何があったんだ…」
あれほどパリスの下層を腕力でねじ伏せていたダルダ一家の屍をこのような形で見せられると流石のショルも尻込みしていた。ローハンとフーローズの口車に乗せられて下手を打っている自分に気づいている。相手はジョダの手下がここまでしたと考えると、ここに来ればわかると言ったのは墓守の脅しが込められているとショルは受け取った。
ショルは草が動く気配に振り返る。祭壇もまた手入れが行き届いていた。人の気配は全くなかったが誰かがショルの後をつけてきていた。
「誰だ!? 誰かいるのか?」
目の前の光景にかなり恐怖にとらわれている。声も出さず近づくものに対する警戒をショルはとかなかった。
しかしショルの警戒は肩透かしを食らう。祭壇を取り囲む岩と森林から姿を現したのはサジとその舎弟であった。
「お…おやっさん…」
三人ともかなり疲労している。まともに食うものも無かったのであろう。フラフラとしながら祭壇の前まででてきる。ショルはさらに混乱した。
「お前ら…無事だったのか」
サジはまだ余裕が見えた。血と汗に三人の服は汚れていたがそれは闘争のためではないことはすぐに分かった。
「なんとかあいつらから逃げて、ここに身を隠して…。あんな化け物がいるなんて…」
「化け物だと!?」
「ゾルト族と名乗ってました。パリスのやつらから依頼を受けてとかなんとか。爺とそれにあの化け物が」
ショルの顔が青白くなっていく。パリスの幽鬼とジョダの青白い顔が浮かんだ。
「ダルダ一家の旦那衆はあいつ一人にやられたんだ。ゾルト族の化け物に! 俺たちゃ怖くなって…」
サジの横でしゃがみこんでいる舎弟が興奮気味に語り始める。ショルの顔を見て安心してた部分もあるのであろう。それだけ数日間の恐怖が大きいのが見て取れた。サジにしろ若い衆にしろ決して臆病者ではない。ガキの頃から一人前になるまで躾たのはショル自身である。パリス下層で切った張ったの生活をしていた子分が、全員恐怖で立ち上がることもできなくなっている様子に戦慄せずにはいられない。
今更ながらダルダ一家の取引に応じたことをショルは後悔している。ノア一家もすでになくおそらくローハンからグァンジ―一家が乗り出してくるであろうことは明白で、三人が生きていることを知ればダルダ一家の男たちを死なせた不始末を捻じ込んでくることは想像できた。
「…サジ」
ショルの決断は速かった。このままではオニタ一家はローハン者の風下に置かれることになる。それだけは避けなければならなかった。
ショルの問いかけにサジは顔を上げる。
「サジ。このままパリスを離れろ。おめぇたちがいると困ったことになっちまう」
殺すことは出来ない。ショルの人情はサジたち子分を始末することを拒否していた。サジはすぐに親分の思惑を察していた。極限の中での数日間でサジの頭は逆に冴え過ぎていたのであろう。
「おやっさん。ガラ隠すのはわかりますが、パリスの外は…」
「わかってる。もうすぐ戦が始まっちまうからな東には行けねぇ。おめぇらはこのまま北に行くんだ」
「北…北ですか」
「そうだ。アル・エインを遡って北の渓谷を抜けた先に寂れた村がある。パリスの保護下で細々やってる村だ。そこにガラ隠しとけ。俺の身内だって話は通しといてやる」
サジたちは疲れ切った様子で黙って頷いた。本音を言えば戦の気配が漂っている上にゾルト族が近くにいる可能性があるパリス郊外にいつまでもいたくはなかったが、ショルの言いつけならば致し方なかった。
「それにあのヴェスってガキだな。落とし前…」
「おやっさんやめてください。ヴェスは…パリスの裏の仕事してやがります」
「な…じゃぁ」
「ヴェスなんて可愛いもんです。パリスの裏家業のやつらがガキの使いくらいにしかならない化け物がゾルト族にはいるんですよ。それにあの爺さんあれがソ・カウシだったんだ。だからあんな化け物を弟子みたいに連れて歩いてたんだ…」
ショルは目を閉じて空を見上げた。パリス下層のヤクザ者風情では限界がある。やり様はいくらでもあるが、目の前のダルダ一家の死体の山を見せられるとサジたちの言葉を信用するしかなかった。
ソ・カウシの名はパリスだけではなく裏の家業や渡世に生きている者達では伝説となっている。サウル盆地の武芸者として尾ひれを付けられた話もあるだろうが、コウロン山脈までその名は伝わっていた。
上空を渡烏が旋回し始める。ファロ廃村の祭壇は腐敗臭と乾いた血の匂いにいつまでも満たされていた。
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