シチューにカツいれるほう?

とき

文字の大きさ
上 下
24 / 41
6章 二人暮らし 

24話

しおりを挟む
 母からストーカーであるかのように、死ぬほどメッセージや通知が来るかと思ったら、意外なことに一つも来なかった。
 もちろん父からも音沙汰なかった。そもそも一回もやりとりをしたことがなかった。
 結局、真理子は志田の家から学校に通うことになった。
 学校にも連絡は行っていないようで、面倒なことにはならず、これまでとなんも変わらない生活ができている。
 娘に捨てられてショックを受けてるんだろうか。それとも、始めから娘に興味なんてなかったのだろうか。
 真理子は少し考えてみたけれど、もはやどうでもよい、という結論に至る。
 志田の家という天国から学校という天国に通う。最高の人生がそこにあった。

「真理ちゃん、最近楽しそうだね!」
「え、わかる?」
「そりゃわかるよ! 毎日会ってるんだもん!」

 クラスメイトや先生とは毎日会っている。でも変化に気づいてくれるのは美紀だけ。

「実はね……」

 真理子は美紀に近況報告をする。
 母が急に乗りこんで来て修羅場になるんじゃないかと、不安で怯えながら生活していたが、ようやく警戒しないでよさそうなので、美紀にも話せる。

「恋人と二人っきり! もう新婚生活じゃん!」
「ひー!!」

 それは真理子も感じていて、終始緊張しっぱなし。改めて美紀に言われると、顔から火が出そうだった。

「うまく行ってるの?」
「うん、なんとか。志田くんやさしいし」
「そっかー! 志田っていい奴だったんだねー!」

 志田はあまり他者に関わろうとしないから、人から誤解されやすい。真理子も美紀もはじめはあまりいいイメージがなかった。

「でも意外。志田って他人に興味なさそうなのに、真理ちゃんのこと好きになって、あげく自分の家に住まわせちゃうなんて!」
「ちょっと言い方!」
「真理ちゃんが魅力的って話だよ!」
「あはは、そうならいいんだけど。志田くんって独立心が強いんだよね。自分一人でも生きていけるみたいな」

 不器用だから誤解される。でも誤解されるのを恐れない。
 それはたぶん彼が親から捨てられて、一人で暮らしているのが原因だと思う。

「それわかるー! 誰も信用してない感じだよね! あっ、真理ちゃんのことは信用してると思うよ!」
「あは、フォローありがと」

 親との確執。自分はどうすることもできなかった。
 志田も自分同様、親との関係は良くない様子。
 あまり話題に上がらないから詳しくないけれど、できるならもっと知りたいと思うし、関係も持ち直してほしい。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...