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6章 二人暮らし
24話
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母からストーカーであるかのように、死ぬほどメッセージや通知が来るかと思ったら、意外なことに一つも来なかった。
もちろん父からも音沙汰なかった。そもそも一回もやりとりをしたことがなかった。
結局、真理子は志田の家から学校に通うことになった。
学校にも連絡は行っていないようで、面倒なことにはならず、これまでとなんも変わらない生活ができている。
娘に捨てられてショックを受けてるんだろうか。それとも、始めから娘に興味なんてなかったのだろうか。
真理子は少し考えてみたけれど、もはやどうでもよい、という結論に至る。
志田の家という天国から学校という天国に通う。最高の人生がそこにあった。
「真理ちゃん、最近楽しそうだね!」
「え、わかる?」
「そりゃわかるよ! 毎日会ってるんだもん!」
クラスメイトや先生とは毎日会っている。でも変化に気づいてくれるのは美紀だけ。
「実はね……」
真理子は美紀に近況報告をする。
母が急に乗りこんで来て修羅場になるんじゃないかと、不安で怯えながら生活していたが、ようやく警戒しないでよさそうなので、美紀にも話せる。
「恋人と二人っきり! もう新婚生活じゃん!」
「ひー!!」
それは真理子も感じていて、終始緊張しっぱなし。改めて美紀に言われると、顔から火が出そうだった。
「うまく行ってるの?」
「うん、なんとか。志田くんやさしいし」
「そっかー! 志田っていい奴だったんだねー!」
志田はあまり他者に関わろうとしないから、人から誤解されやすい。真理子も美紀もはじめはあまりいいイメージがなかった。
「でも意外。志田って他人に興味なさそうなのに、真理ちゃんのこと好きになって、あげく自分の家に住まわせちゃうなんて!」
「ちょっと言い方!」
「真理ちゃんが魅力的って話だよ!」
「あはは、そうならいいんだけど。志田くんって独立心が強いんだよね。自分一人でも生きていけるみたいな」
不器用だから誤解される。でも誤解されるのを恐れない。
それはたぶん彼が親から捨てられて、一人で暮らしているのが原因だと思う。
「それわかるー! 誰も信用してない感じだよね! あっ、真理ちゃんのことは信用してると思うよ!」
「あは、フォローありがと」
親との確執。自分はどうすることもできなかった。
志田も自分同様、親との関係は良くない様子。
あまり話題に上がらないから詳しくないけれど、できるならもっと知りたいと思うし、関係も持ち直してほしい。
もちろん父からも音沙汰なかった。そもそも一回もやりとりをしたことがなかった。
結局、真理子は志田の家から学校に通うことになった。
学校にも連絡は行っていないようで、面倒なことにはならず、これまでとなんも変わらない生活ができている。
娘に捨てられてショックを受けてるんだろうか。それとも、始めから娘に興味なんてなかったのだろうか。
真理子は少し考えてみたけれど、もはやどうでもよい、という結論に至る。
志田の家という天国から学校という天国に通う。最高の人生がそこにあった。
「真理ちゃん、最近楽しそうだね!」
「え、わかる?」
「そりゃわかるよ! 毎日会ってるんだもん!」
クラスメイトや先生とは毎日会っている。でも変化に気づいてくれるのは美紀だけ。
「実はね……」
真理子は美紀に近況報告をする。
母が急に乗りこんで来て修羅場になるんじゃないかと、不安で怯えながら生活していたが、ようやく警戒しないでよさそうなので、美紀にも話せる。
「恋人と二人っきり! もう新婚生活じゃん!」
「ひー!!」
それは真理子も感じていて、終始緊張しっぱなし。改めて美紀に言われると、顔から火が出そうだった。
「うまく行ってるの?」
「うん、なんとか。志田くんやさしいし」
「そっかー! 志田っていい奴だったんだねー!」
志田はあまり他者に関わろうとしないから、人から誤解されやすい。真理子も美紀もはじめはあまりいいイメージがなかった。
「でも意外。志田って他人に興味なさそうなのに、真理ちゃんのこと好きになって、あげく自分の家に住まわせちゃうなんて!」
「ちょっと言い方!」
「真理ちゃんが魅力的って話だよ!」
「あはは、そうならいいんだけど。志田くんって独立心が強いんだよね。自分一人でも生きていけるみたいな」
不器用だから誤解される。でも誤解されるのを恐れない。
それはたぶん彼が親から捨てられて、一人で暮らしているのが原因だと思う。
「それわかるー! 誰も信用してない感じだよね! あっ、真理ちゃんのことは信用してると思うよ!」
「あは、フォローありがと」
親との確執。自分はどうすることもできなかった。
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