ただ生きたいだけなのに

とき

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忘れたくても思い出す

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「あ……」

 未梨亞はバイト先の古書店から帰るとき、思わず足を止めてしまう。
 見知った人物を見つけたからだ。
 スーツ姿の男性。30歳代できりっとしている。
 向こうも気づいたようだった。立ち止まり、少し考えてから声をかけてくる。

「不破か」
「……はい。お元気でしたか?」

 相手の名は吉武哲平。
 未梨亞の元彼で、声優事務所のマネージャーだった。

「まあな。お前は?」
「私も元気です……」

 体が固まったように動かない。言葉もどこかぎこちなかった。
 未梨亞を振って、事務所をクビにした張本人であるから当然だ。怒り、憎しみ、恐怖などの感情が入り交じり、どう対応していいのか分からない。
 どうしてこんなところで再会してしまうのだろうか。バイトを始め社会復帰を遂げて、これから再び歩き出そうというときに。
 運命の神様を恨みたかった。

「最近、何をしてるんだ?」

 どの口が言う、と未梨亞は思う。

「バイトしてます」

 簡潔に答える。詳細な情報を与える必要はない、与えたくない。
 おかげで死にかけました、と言ってやろうかと思ったが、それが相手を責めることになるのか、自分をおとしめることになるか分からず、今は堪えた。

「そうか」

 相手の答えも素っ気ない。そこまで興味がないのだろう。

「吉武さんは変わらずですか?」

 平然を装っているが、少し声がうわずっているかもしれない。

「ああ。会社が大きくなって、仕事が増えて大変なんだよ。今日も何件回ったことか」
「お忙しいようで何よりですね」

 これには、確実に声に怒りが乗ってしまった。
 自分のいない事務所で、新たに採用した声優となかよく仕事をしているのだろう。それに腹が立ったのだ。

「そんな言い方ないだろ」
「すみませんね。感情制御できなくて」

 謝る気なんてない。ツンケンして言う。

「まだ怒ってるのか? 会社の決定なんだから仕方ないだろ。俺にはどうにもできなかった」

 それは本当なのかもしれないが、未梨亞のクビが決定した同時に別れを告げてきたのも、仕方なかったというのだろうか。それも会社の決定ですか、と問い詰めたくなる。

「怒ってません」

 まだ元彼である吉武哲平に興味を持っているとは、思われたくなかった。それにクビになったことは今さらどうにもならないから、これ以上議論したくない。

「じゃあ、そんな顔するなよ。気分悪い」

 それはこっちのセリフだと、心の中で叫んだ。
 相変わらず自分勝手な人だった。いろいろ思い出して、心に怒りが沸き立ってくる。
 クビと同時に振ったのも、未梨亞の声優としての実力を見限ったのだろう。そして所属声優でもない、ただの一般人と付き合うことにメリットを感じなかったのだろう。でなければ、同じタイミングで言う必要がない。
 「今はどの子と付き合ってるんですか?」と聞いてやりたくなる。
 未梨亞が怒りに耐えて黙っていると、

「じゃあ俺いくから。次の現場始まる」

 哲平はさっと片手を上げて、立ち去ろうとする。

「はい。それでは、さようなら」

 さようなら、なんて言葉いつぐらいぶりに言っただろうか。
 子供のころは別れの挨拶として、さようならを言うが、今生の別れのような響きがあって、だんだん言わなくなる。
 再び会うことを誓って「またね」と言うものだが、哲平には絶対に言いたくない言葉だった。



「お待たせー。今のは?」

 哲平と入れ替わりに愛良がやってくる。
 今日は仕事を終わりに、駅前で外食することになっていたのだ。

「あー。……例のマネージャーです」
「あ……。付き合ってたっていう?」
「はい……」

 嫌なところを見られてしまっていた。
 最悪なタイミング。神様はイベントを同時に起こすのが好きらしい。

「何か言われたの?」

 未梨亞の表情から察したのか、愛良は心配してくれる。

「何にも。それより早くご飯いきましょ。私、お腹減っちゃいました!」

 無理に感情を別のものにすり替える。これも役者としての技術だ。楽しくなくても楽しい気分になれなければ、演技なんてできない。

「ご飯はいいけど……。話、聞かせてもらうよ」

 愛良の顔は真剣だった。
 好奇心からではなく、本当に未梨亞のことを心配しているのが伝わってくる。
 未梨亞は観念する。
 手頃なレストランに入り、起きたことを包み隠さず話した。

「……最低な男だね」

 愛良は未梨亞が言いたいことを代わりに言ってくれる。

「バシッと言ってやれば?」
「言っても効果ないですよ。あっちは毎年何人もの声優をクビにしてるんですから」

 声優事務所は、見習いとして声優を多めに採用する。数年を試用期間として働かせ、力のある人だけ残し、あとはクビにしてしまうのだ。

「きっと恨まれるのは慣れてます」
「でも、そいつはプライベートでも、未梨亞にそんな仕打ちしたんでしょ。それは問い詰めたっていい」
「ははは……。怒るのもさすがに疲れたって感じですかね……。別に縁を戻したいわけじゃないですし……」

 未梨亞はてへへと笑うが、その結果が生きる気力を喪失し、自殺未遂につながっていることを、愛良は知っていた。
 しかし、相手が未梨亞のことをただの道具として見ていないならば、何を言っても無駄なのだろう。謝らせることなんて不可能だ。
 それにもしかしたら、相手をかばう気持ちもあるのかもしれない。愛良も公平のことを責める気になれない。自分が悪いから、相手が振ったのだと思っている。未梨亞も事務所に残れる実力がないことで、自分を責めているかもしれない。
 それなら、あまり哲平を責めるわけにもいかないだろう。

「……それにしても、声優業界ひどいもんだね。事務所入れときながら数年後にクビにするなんて」
「ホントそう思います。声優になりたいって人が多いから、募集すればいくらでも応募が来て、そういうことができるんでしょうね……」
「ひどい待遇でも、声優になってくれる人がいるわけか」
「あと、どこも事務所も自前の養成所を運営してて、そこから合格者をたくさん出さないと、養成所に来る人がいなくなっちゃうからですね」
「自分の養成所で育てて、自分の事務所に入れる? それは理屈だけど、ある意味、まともに使う気のない人も合格にできるわけだ」
「会社員ではないので、所属させておくことでお金はかからないですからね。別に人数は多くても構わないんです」
「改めて聞いてもひどいな……」

 愛良は、赤ワインのグラスをぐいっと飲み干した。
 こんなに極端な買い手市場もないだろう。完全に事務所が優位に進んでしまう。声優の卵たちが不利な条件を承知の上で仕事を始めなければいけないのは、ちょっと可哀想に思えた。
 未梨亞がボトルからワインをついでくれる。
 愛良もつごうかと合図するが、未梨亞は首を振る。

「飲みなって、今日くらいは。ぱーっと飲んで忘れたほうがいい」
「じゃあ、もう一杯だけ」

 未梨亞はあまりお酒が強くないので、いつも一杯だけと決めていたのだ。
 未梨亞は注いでもらったワインをちびちびと飲む。

「でも……クビ宣告は優しさって言われることがあります」
「は? なんでクビが優しいの?」

 いきなりクビだと言われたら、さすがに愛良も上司にくってかかる自信がある。優しいわけがない。

「数年働いてみて、見込みがないからクビなんです。これ以上働いていても、仕事を成し遂げられるほどの力がない、って教えてくれてるんですね。その仕事向いてないからやめなよ、という提案です」
「ン……」

 それはちょっと分かる気がした。
 普通の会社であっても、適性がないからやめたほうがいい、と言いたくなることはあるだろう。何をやっても失敗ばかりで、本人が傷ついてしまうようなシチュエーション。でも、それを理由に会社を辞めさせることはできない。他の部署に転属させることで解決を図る。
 しかし声優は社員ではないから、そんな配慮はせず、クビという形になるのだ。

「そのまま事務所に残れるかどうかを、査定って言うんですが、この査定を通ればいいってもんじゃないんです」
「え? なんで? 正式な所属になれるんでしょ?」
「それはそうなんですけどね。ジュニアから卒業してランカーになることで、給料も上がります。ランクが上がるほど給料アップ、というシステムです」
「いいじゃん」
「それがよくないんです」
「へ?」

 サラリーマンでいえば、契約社員から正社員になり、給料が上がるのだ。何で悪いことがあるのだろうか。

「給料が上がるということは、クライアントは、その人を使うときに高いお金を出すことになるんです。ジュニアはどんな難しい仕事をしても、固定料金となってます。その分、クライアントには使い勝手がよく、ジュニアにたくさん仕事を発注することになります。なるべく安くコンテンツ作りたいですからね」
「なるほどね……」
「でも、ランカーは費用が高いので仕事が急激に減るんです。もちろん実力のある声優には仕事が来ます。けれど、力もない名前もない声優は、ジュニアに仕事を取られてしまい、結局ジュニア時代よりも貧乏になっちゃうんです」
「ええ……」

 声優は、何本仕事を受けたかで支払われるので、仕事がなければ給料はゼロだ。ランカーになると単価が高くなる分、仕事が多ければ給料アップだが、そもそも仕事量が減ってしまう可能性があるということだった。
 普通の会社員の場合、時間給で仕事量に関係なく支払われる。遊ばせておくのは会社の損だから、当然偉くなったからと言って仕事量が減ることはないし、給料も減らない。

「だから、査定を通り、晴れて正式な声優になっても、実力がなければ声優で生計を立てていくのは困難なんです。だから、私のようにダメな人間はクビにするのが本人のためだったりするんですよ。下手に生き残っちゃうと、低給料生活を延長することになりますからね……」
「しんどすぎる……」

 声優に生活保障はない。それは若手もベテランも同じなのだ。
 給料上げるには、実力を上げて成果を出し、信頼を勝ち取る必要がある。しかし、そもそも仕事がなければ成果を出せない。

「声優も役者や芸能人に近いところがあるので、旬もありますね。一時期売れてても、急に仕事がなくなるなんてことも。特に女性声優はアイドルと同じで、若い子に仕事奪われる傾向があります」
「ああ、ありそう……」

 声優は声の仕事なので、アイドルのように絶対若くなければいけないということはないが、若くて可愛くてお金のかからない子がいいに決まっている。

「だから、歳を取ってからバイトを始めたり、結婚して今はほとんど仕事してない人もいます」
「旦那さん頼りってことかぁ……」
「はい……。声優は女性が輝ける場とも限らないんです……」

 未梨亞は女性が輝ける仕事だから声優を目指したと言っていた。しかし、現実はそうではなかった。

「つらいなぁ……」
「つらいです……」

 未梨亞はワインをぐいっとあおる。

「学校では、成績良い人がいたり、運動神経いい人がいたりして、うらやましいなあと思うことありますけど! 生徒であるうちは平等なんですよー!」

 お酒が入っているせいか、いつもより饒舌だ。テンションも上がっている。

「先生が偉くて、その下に生徒がいます。生徒は従う立場なので、みんな同じところに立ってる状態ですね。もちろんお気に入りや贔屓で優遇される生徒もいますが、先生に昇格したりはしません」
「まあ、そうだね」
「でもですよ。学校卒業すると、一気に天井がなくなります。天に上がる人がいれば、地に落ちる人も。声優なんかそれが顕著で、地を通り越して地獄です!」

 未梨亞のグラスが空になる。
 愛良が追加を注ごうと目で合図するが、未梨亞がとめなかったのでそのまま注いだ。
 未梨亞はグラスを口につけて、また話し始める。

「苦労して声優になったのに、今やただのフリーターですよ……」

 今度は声のトーンががくっと下がる。

「学校みたいに生徒たちが集まって切磋琢磨することもありません。みんなライバルです。蹴落とさないと、自分が落ちるんです。それは同期だけじゃなくて、先輩とも仕事の取り合いになるから、先輩はほとんど教えてくれないんです、優しくないんです……。学校なら、優しい先輩とかいますよねー」

 驚かされることばかりだ。
 会社でも、先輩との競争になることはあるが、部下を成長させることが成果となるので、そこまでギクシャクしない。

「いやぁ、社会人って大変ですよねー。学生と違って、何をやれって教えてくれる人はいないし、落ちこぼれになってもフォローしてくれない……」
「うん、そうだね……」

 愛良は未梨亞を慰めるような声をかける。
 完全にくだを巻き始めた。
 しかし、言っていることはよく分かる。それは愛良も感じていたことだ。
 自分は社会や慣習に導かれ、言われたことをそのままやって生きてきた。自分の意志で道を決めたことはない。
 けれど未梨亞は自分で道を歩み、行き詰まってしまった。

「仕事も、声優がやることなのかよくわからないものばかり。何に使われるものなのか分からないし、アニメでもなければ、その仕事を誰かが見て、褒めてもらえることもないし……」

 未梨亞の顔は酔いから真っ赤になっている。
 話していることはきっと本音だろう。いつも仕事のことはセーブをかけて話しているので、愛良としては未梨亞の気持ちが分かるのは嬉しい。

「私……両親が離婚してシングルマザーだったんですけど、母は仕事や男に夢中で、ほとんど私の相手をしてくれませんでした……。会話もしてくれないし、ご飯も作ってくれない……。だから、自立した女性になりたいって思ってたんですよね。でも、うまくいかないことばかりで……」

 気づくと、未梨亞の目が潤んでいた。

「声優になりたいと言ったときは、当然のように否定されました。専門学校なんていかず仕事しろって。だから私、家を出て、バイトで学費を自分で稼ぎました。それでなんとか苦労して声優になったわけですけど、母はなんと言ったと思います?」
「え? おめでとう、じゃないんだよね?」
「『もっともうかる仕事に就けばいいのに。あたしなんてその頃には一千万稼いでたわよ』って……」

 おそらく母親の声まねだろう。とても真実味のある言葉だった。

「全部否定された気がしました。母が私を理解してくれることはないんだなと思って、それから何年も会っていません」
「そうなんだ……」

 過酷な話に慰めの言葉も見つからない。
 仕事がクビになったならば、自殺なんかしようとせず、まず実家に帰ればいいだろうと思っていた。しかし、未梨亞は帰れないのだ。帰ったら「だからそんな仕事にやるなと言ったでしょ」と言われるに決まっている。

「もっとうまく生きたかったなぁ……」

 本音の言葉が胸にずーんと響き渡る。

「つらかったんだね……。そんな簡単に未梨亞の気持ちを理解した、なんて言えないけど、未梨亞が頑張ってきたのは分かるよ」
「私なんか全然努力足りないですよ。だからクビになっちゃうんです……」
「そんなことないって。あたしは信じるよ、未梨亞が精一杯頑張ってきた。でも、不幸が重なって疲れすぎたんだ。だから、しばらく休もう」
「愛良さん……」

 未梨亞が愛良の手を両手でつかむ。
 急につかまれ愛良はドキッとしてしまう。

「私もうダメ……」

 そう言って未梨亞は机に突っ伏した。
 空いた皿を跳ね上げ、落ちそうになったのを愛良は慌ててキャッチする。
 未梨亞はそのまま気を失い、眠り込んでしまう。

「そんな落ち方ある……?」

 愛良はお店の人にタクシーを呼んでもらうことにした。
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