宵闇町・文字屋奇譚

桜衣いちか

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第三章・自称:悪役たちの依頼

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 酒に酔っていたこともあるのだろう。 熱燗あつかんをちょびちょび舐めながら、子兎がぽろりとこぼした。

「みんなと遊ぶのは本当に楽しいでしゅ。ただ──それでもあたちは、たまに思うんでしゅ。あたちも月に行ければ、さみしい思いをしなくても良いのかなって思うでしゅ」


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 俺達は決めた。
 彼女の願いを叶えるために、自称でいいから悪役になろうと決めたんだ。

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