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第一章・不吉なペンネーム
弐
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聞き慣れない単語に、千代が首を傾げたのも束の間。
地響きを立て、とてつもなく巨大な影がこちらに向かって歩いてくる。
「こ、今度は何⁉︎」
「ダイダラボッチ。祭の元締めだ。イズナ、その人間はお前に任せる」
『そんな殺生な!』
「大体お前が悪いんだぞ、イズナ。家中の食料を食い尽くすわ、人間を連れてくるわ」
水風船から下りた千代の体を、近づく足音が再度空中浮遊させる。
ギョロリとしたダイダラボッチの目玉が見え、千代の背筋が凍った。
(全然かわいくなさそうです! モフモフもしていなさそうです!
えーっと、えーっと、えっと! と、とりあえず!)
千代は握ったままのキャリングケースに一瞥をくれ、天幕で言い争う一人と一匹へ向け、勢いよく放り投げる。
スコーン!
小気味良い音を立て、キャリングケースが少年の顎に当たる。
のけぞった少年が、ズベシャッと地面に落ちた。
キャリングケースの中身が散乱し、赤竹の筆巻きが転がる。
「あのね! 逃げるのが先でしょ! キミはちっちゃいし、煙は役にたたないし!」
『ににに人間! 胡白様の背丈には触れるでない!』
「わたし個人としては好きよ! 小さいほうがモフモフしていてカワイイから!」
『口を閉じるのじゃ、人間んんんん!』
地響きを立て、とてつもなく巨大な影がこちらに向かって歩いてくる。
「こ、今度は何⁉︎」
「ダイダラボッチ。祭の元締めだ。イズナ、その人間はお前に任せる」
『そんな殺生な!』
「大体お前が悪いんだぞ、イズナ。家中の食料を食い尽くすわ、人間を連れてくるわ」
水風船から下りた千代の体を、近づく足音が再度空中浮遊させる。
ギョロリとしたダイダラボッチの目玉が見え、千代の背筋が凍った。
(全然かわいくなさそうです! モフモフもしていなさそうです!
えーっと、えーっと、えっと! と、とりあえず!)
千代は握ったままのキャリングケースに一瞥をくれ、天幕で言い争う一人と一匹へ向け、勢いよく放り投げる。
スコーン!
小気味良い音を立て、キャリングケースが少年の顎に当たる。
のけぞった少年が、ズベシャッと地面に落ちた。
キャリングケースの中身が散乱し、赤竹の筆巻きが転がる。
「あのね! 逃げるのが先でしょ! キミはちっちゃいし、煙は役にたたないし!」
『ににに人間! 胡白様の背丈には触れるでない!』
「わたし個人としては好きよ! 小さいほうがモフモフしていてカワイイから!」
『口を閉じるのじゃ、人間んんんん!』
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