上 下
219 / 221

219. 我が家に詳しいナンコウさん!

しおりを挟む
 マークもなにかを感じたのか……

 ナンコウさんにたずねていた。

「わたしの母を知っておられるのですか?」

 ナンコウさんは、目をつぶってうなずいている。

 へぇーーっ!?

 さすがエルフの血が入っているだけあって、長生きだけど……

 なんで?

 どこで、知り合ったんだろう?

 わたしがどこで知り合ったのか聞こうとしたら、珍しくソードが話に入ってきた。


「パール、マーク。 お話し中申し訳ないのですが、すみませんが 一つお伺いしてもよろしいでしょうか? 確認したいことがあるのです」

「どうしたの ソード? 大丈夫だよ。 どうぞ」

「はい、ありがとうございます。 ナンコウ、あなたエルフ族のムメ 一族のメイズを知っていますか?」

「ムメ 一族のメイズ……大叔母さん? はい、ひとり知っております」

「侍女長、前に……」

「えっ! もしかして、侍女長の親戚?」

「はい、パール様。 わたくしの兄の娘の子どもでございます」

「えーーっ! メイズおおおばさん?」

「はあーっ 久しぶりですね、ナンコウ? みんなホントに心配していましたよ……」

「うわっ! さすが、ラメール王国だな!! 知り合いだらけだよっ!」

「へぇ~ なんだ、そうなの? 侍女長の親戚さんなら、なにも心配することないね!  ふっふ」

「いや~ そうか? まあ、そうなるなら…… もう気楽に話してもいいかな?」

「どうぞ、どうぞ! 侍女長もナンコウさんの横に座って! ソードも座って、みんなでお茶にしよう!」

「ハァーっ 仕方ありませんね。 今回は特別です。 侍女長も座ってください」

「はい。 ありがとうございます」

 いいタイミングで、エリオンが全員にお茶とオレンジのパイを出してくれた。

 エリオン、タイミングよすぎ!
 あっ!
 風の魔法……
 エリオンを チラッと みる。

 気づいたエリオンが、ニコッと 笑ってきた……
 ムム…… するどい。
 エリオンは意外にハイスペックだと気づいたぞ!

 食べながら、ナンコウさんの話しを聞く。
 侍女長が珍しく積極的に話して、いろいろ聞き出している。

 わかったことは、いままで人族の人と結婚してセルバ王国にいたこと。
 ナンコウさんは、のらりくらり話しに答えている。

 人族の相手が寿命で亡くなって仕事もひと段落したから、ラメール王国に自分の用事と頼まれていた、わたしのお父さんの消息を掴みにきたらしい。

 どうも、お父さんはセルバ王国の人みたいだ……

 マークがやっぱり気になっていたようで、どうして亡くなった自分のリブランお母さんを知っているのか聞いていた。

「パールちゃんを見て、思ったんだよ」

 なんとわたしの曾祖母もセルバ王国の人だったそうで、わたしにとても似ていたそうだ。
 だから、まさかと思ってたずねたと話してくれた。

 ナンコウさんも知らなかったので、ホントにおどろいたみたい。

 曾祖母とナンコウさんの奥さんはとても仲がよかったと教えてくれる。
 だからリブランおばあさんのことも少し知っているそうだ。

 曾祖母の名前は、リーリエ。

「リーリエ……  たしか……  あっています。 あの、どうしてわたしの母リブランは、セルバ王国に生まれているのにラメールの冒険者をしていたのか、ご存知ですか?」

「ああ、二十歳のときに冒険者だった君の父親を追いかけて、家出したんだよ」

「「えーーっ!!」」

「うそっ!? おばあさんやるねーっ! マーク知ってた?」

「知らん! そんなこと母さんから聞いてない……」

 すごい情報におどろいてしまう……

 侍女長がナンコウさんに、もう少しやわらかい言い方をしなさいと怒っていた。

 さすが、侍女長!
 
 ナンコウさんは思っていた以上に、我が家の内情に詳しい人だった。

 おどろきだよ……


 いまは近くの宿屋で数日前から滞在しているそうだ。
 侍女長がソードにお休みをそのままもらっていた。

「一度わたくしが確実に親元へ、ナンコウを連れて帰ります」

 侍女長さんはこのままナンコウさんのそばにいるそうだ。

 よっぽど フラフラしていた人なんだと思ったけど、なんだか納得。
 すぐに フラッと どこかへ行ってしまいそうな、そんな感じの人だよ……

 侍女長が謝ってきたので、気にしないでと告げる。

「わたしのお父さんの情報とおばあさんたちの情報もくれた貴重な人だからね、ありがたいよ。 ナンコウさん、侍女長。 ありがとう!」


 ナンコウさんが帰り際、わたしの目をじっと見つめて話しだす。

「パールちゃん、もしセルバ王国にいくことがあったなら、北の端チェスナット領まで行って、骨董屋を経営しているマローネンという人をたずねてごらん。 わたしの名前をだしてお父さんのことをたずねたら、きっと詳しく教えてくれるはずだよ」

「わかった、覚えておくね。 いろいろ教えてくれてありがとう」

 なんだかいろいろなことが、いっぺんにわかったなぁ……

 おばあちゃんは男の人を追いかけての、家出だし……

 お父さんは? あれ?
 なんで、ラメールに来たんだろ?
 聞くの忘れてたよ……

 それから、お父さんの消息をナンコウさんに探すように頼んだのは、親族の人なのかな?
 お父さんの消息を掴みたくて、ナンコウさんに頼んだのに亡くなっているだなんて…… 伝えるのイヤだろうな……

 なんだか全部、微妙だ。

 これじゃあ、セルバ王国に行っても、会いにいくかはちょっとわからない。
 迷うところだな……
 
 わたしの立場って、家出した人の孫だったり。
 探していた人の子どもだったり……

 どっちも本人が亡くなっているから、わたしが行っても両方が知らない者同士になるしね……
 もう、そっとしておく方がいいのかも……

 まあ、これはあまり深く考えないでもいいか?
 セルバ王国に行ってから、どうするか決めようかな?
 知らんぷりする方が、いいこともありそうだし……


 そのままライのところにソードと 二人、馬車で帰っていく。

 ソードがライに報告するから、わたしは少し休憩だな……

 プラムとシルエラが 一緒に付いていった侍女長がいないので心配していたようだったから、部屋で事情を説明するとすごくおどろいていた。

 二人ともやはり、ナンコウさんを知っているようだ。
 二人も、ムメ 一族なのかな?

 侍女長がナンコウさんのそばに付いていたのを納得している様子だったのが、ちょっとおかしい。

 ナンコウさんらしいね。

 ライもおどろいていたようで、侍女長をわたしに付けておいてよかったといっていた。


 それからもライの屋敷で、料理長からいろんな料理をもらったり、ソードがセルバ王国に詳しい人を呼んでくれて、いろいろ教わっていると、いつもあっという間に 一日が終わっていく。

 思っているよりも、時間が過ぎていくのは早い。

 ブレンダに負けないように、勉強して知識を付けておかないと……

 もうすぐセルバ王国で冒険だからねっ!

 ブレンダ、頑張ってくれているんだろうなぁ~

 わたしも精一杯、準備するぞぉ!!



 
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

きっと幸せな異世界生活

スノウ
ファンタジー
   神の手違いで日本人として15年間生きてきた倉本カノン。彼女は暴走トラックに轢かれて生死の境を彷徨い、魂の状態で女神のもとに喚ばれてしまう。女神の説明によれば、カノンは本来異世界レメイアで生まれるはずの魂であり、転生神の手違いで魂が入れ替わってしまっていたのだという。  そして、本来カノンとして日本で生まれるはずだった魂は異世界レメイアで生きており、カノンの事故とほぼ同時刻に真冬の川に転落して流され、仮死状態になっているという。  時を同じくして肉体から魂が離れようとしている2人の少女。2つの魂をあるべき器に戻せるたった一度のチャンスを神は見逃さず、実行に移すべく動き出すのだった。  異世界レメイアの女神メティスアメルの導きで新生活を送ることになったカノンの未来は…?  毎日12時頃に投稿します。   ─────────────────  いいね、お気に入りをくださった方、どうもありがとうございます。  とても励みになります。

異世界の片隅で引き篭りたい少女。

月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!  見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに 初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、 さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。 生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。 世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。 なのに世界が私を放っておいてくれない。 自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。 それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ! 己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。 ※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。 ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。  

毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。

克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。

美味しい料理で村を再建!アリシャ宿屋はじめます

今野綾
ファンタジー
住んでいた村が襲われ家族も住む場所も失ったアリシャ。助けてくれた村に住むことに決めた。 アリシャはいつの間にか宿っていた力に次第に気づいて…… 表紙 チルヲさん 出てくる料理は架空のものです 造語もあります11/9 参考にしている本 中世ヨーロッパの農村の生活 中世ヨーロッパを生きる 中世ヨーロッパの都市の生活 中世ヨーロッパの暮らし 中世ヨーロッパのレシピ wikipediaなど

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

薬屋の少女と迷子の精霊〜私にだけ見える精霊は最強のパートナーです〜

蒼井美紗
ファンタジー
孤児院で代わり映えのない毎日を過ごしていたレイラの下に、突如飛び込んできたのが精霊であるフェリスだった。人間は精霊を見ることも話すこともできないのに、レイラには何故かフェリスのことが見え、二人はすぐに意気投合して仲良くなる。 レイラが働く薬屋の店主、ヴァレリアにもフェリスのことは秘密にしていたが、レイラの危機にフェリスが力を行使したことでその存在がバレてしまい…… 精霊が見えるという特殊能力を持った少女と、そんなレイラのことが大好きなちょっと訳あり迷子の精霊が送る、薬屋での異世界お仕事ファンタジーです。 ※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

処理中です...