迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜

青空ばらみ

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158. 水着を着て泳ぐ

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 朝からマークと豪華すぎる朝食を食べて、今日おこなう冒険の予定を伝える。

 マークには、あくまでわたしの冒険なのだから好きなように冒険したらよいといわれている。
 マークはどこにでもついてきてくれるそうだ。

「今日は、湖で商会の人に作ってもらった水着を着て泳ぎます!」

「泳ぐ? この湖でか!? いくら安全な湖だといっても、何がいるかわからないんだぞ!」

 危険だというマークを納得させるために、まずは潜れる服で湖の様子を見てから泳ぐというと、その服は 二つないのかと聞いてきた。

 あるんだな…… これが……
 竜人さんは、ツガイ命だから 二人で 一つなところがある。
 旅行するなら 二人 一緒があたりまえなようで、マプさんたちがくれた旅行用の変わった服はだいたいが 二つがワンセットだ。

 わたしの夫になる人のモノだから、登録しないで着てもらう。
 フードを被ると息が水の中でもできると伝えるとおどろいでいた。

 二人で、湖に行く。

 まずはマークがそこら辺にあった小石を湖に投げ入れる。
 大丈夫…… 何も起こらない。
 次に木の棒を湖に差し込む。
 これも大丈夫。
 木の棒をかき混ぜてじっとみつめる。
 やっと手を入れる。
 そのあとも手をかき混ぜて、顔を水につけて水中を見ていた。
 大丈夫。
 さぁ、中に入るぞ。

「待て! おれが合図したら入ってこい」

 まだ浅い水の中に顔をつけて中を見ているようだ。
 水に顔をつけて器用に歩いて、手だけが上をむいてオッケー のサインがでた。
 やっと水の中に入れる。

 きっとわたしのほうが頑丈で強いはずなのに……
 先にいくと譲らない……

 マークはホントに優しい。
 身内でよかった…… 幸せだな……

 わたの肩ぐらいの深さが 十メートル近く続いて、そこからもっと深くなっていくみたい。

「うわーっ キレイ! えっ、マーク水の中なのにしゃべれるね?」

 しゃがんで水の中を覗くと前にいるマークも同じ格好をしている…… プフ。

「ああ、苦しくもないし…… この服はすごいな、どうなっているんだ」

 キョロキョロしても、レインボーサーモンはいないようだ。

「もっと湖の中に入らないと、お目当ての魚はとれないぞ……  まぁ、ここまでなら安全だとわかっただけでもすごいことだがな」

「そうだよ」

 透明度も高いし、いい感じ!
 一度戻って水着に着替えることにする。

「安全だとわかったから、泳ぐね!」

「ああ、岸から 十メートルぐらいまでならそう深くない、パールでも大丈夫だ! そこまでにしておけよ」

 一人用テントを出して サッと着替える。

「パ、パ、パール! なんだその格好は!? そんな格好で泳ぐのか?」

「そうだけど? マークも泳ぐ? 一応男性用も需要があるから作ったそうで、もらっておいたのがあるよ? 見本も全部もらっておいたんだ!」

 少し空を見上げて、それから着替えることしたようだ。
 家族用テントを出してあげると自分の部屋までいかずに隅の方で サッと着替えていた。
 男性は簡単だからね。

「これはなんだっ! こんなので泳ぐのか!」

 自分の格好にも驚愕しているようだった。

「実はこれ、前世の記憶にある水着なんだ。 ホントはもっと奇抜なんだよ! これでもだいぶマシ。 機能的だし、これは泳ぎやすいはずだよ」

「パールそれを、ライさんたちに言ったのか?」

「ガントが、勝手に迷い人になった向こうの国で見たのかと、勘違いしてくれたから…… うなずいておいたけど……」

 話しながら湖の中へ入っていく。

「……そうしておけ。 たしかに奇抜だが水の中で動きやすいな。 中に入ってしまえばわからないしな」

「あーっ 気持ちいい! 久しぶりに泳いだって感じがするよ」

「おまえ、うまいな…… どうするんだ?」

 わたしの知っている泳ぎ方を教えてあげる。
 あっという間に覚えて、なんならわたしが泳げないけど知っている泳ぎ方でも泳いでいるし……

 ここは海なのか? 湖なのか? 不思議とそんなこと関係なく色んな魚がいる。

 水は飲めるから、真水みたいだけど……

 一度上がって、水着の使用感を確かめる。

 二人でぐるっと回って確認し合う。

「透けては いないね」

「ああ、大丈夫だ……」

 よしっ!
 でも素材は、すこし チクチクするかな?
 マークは気にならないみたいだ。

 しばらくすると、水着が乾いていい感じ。
 午前中は泳いだり潜ったり、いつのまにか深いところにもいっていたけど 二人 一緒だから大丈夫!

 マークが素潜りで大きなエビビや魚をとっていたので、教えてもらって真似をしてみたけど魚は無理。
 
 お昼は外でそれを焼いて 二人で食べた。

 ススで黒くなったマークの鼻をみて笑い、マークに自分の鼻も黒くなっていると教えてもらう。

 なにをしてもおかしくて、楽しい……

 この湖でとれたものは、なんでもおいしいんだとマークが話しだす。
 ここまでたどり着けた冒険者だけが味わえるんだといって パクパク食べている。

 昔もマークは、ここで魚をとって食べたそうだけど、そのときはもっと必死だったから湖のキレイさもエビビや貝がこんなにいたことも覚えていないといっていた。
 ただお腹がすいていたから、なんでもおいしかったらしい。

「うまいなっ! パールと食べるとなんでもうまいけど、これは特別うまい!」

「うん…… おいしいねっ! このエビビも貝も大きくておいしいから、もっととってシーナたちにも食べさせてあげようよ!」

「よし、昼からは 土産用の食材とりだな! この水着も気に入った。 泳いでいてもからだが重くなくて疲れにくい」

 そうでしょ、そうでしょう。

「実際この水着、商品化したいそうで、商会の人が許可を求めてライの屋敷に出発の 二日前。 急に夕方やってきたんだよ。 ダンスで忙しかったけど、楽しみにしていた水着だから面会したんだ。 出来上がってすぐ持ってきたんだって。 わたしがメルの洞窟に潜ると知って、慌ててきたといっていたからおどろいたんだよ。だれに聞いたと思う?」

「ハッ、ハ、ハッ! やり手の商会をなめたらダメだぞ!  情報源はどこにでも転がっているさっ」

 少し興奮ぎみに説明されてちょっと引いたけど、水着だけ受け取って、あとはソードに任せた。

 そういえば、ちょっとしたお金がわたしにも入ってくるといってたかな? 
 どうなんだろ?
 あのときはすごく疲れていたし。

 使用感は、後日報告することになっている。
 後で、マークにも詳しく使い心地を聞いてみよう。
 

 でもいまは、シーナたちのお土産!

「マーク。 わたしはエビビが大きくて、すごくおいしかったからそれを中心にとるね!」

「は、は、はっ! わかった、そうしてくれ。まかせたぞ!」

 この日は 二人、ここがダンジョンだと忘れてしまうぐらい泳いだり、みんなのお土産を捕まえたりしながら、一日中 湖で過ごした。

 笑いすぎて、お腹が痛いよっ!


 とっても、とっても 楽しくって……

 とっても、とっても おいしかった……

 



 
 
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