迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜

青空ばらみ

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157. マーク家族用テントで宿泊

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 目を大きく見開いたマークは、固まっていた。

「でしょう? わたしも初めて見たときはおどろいたんだよ。 それにこれは、家族用にもらったテントだから実は大きいし、自分たちが使うために特注で作ってもらったモノらしく、向こうの国でも豪華なつくりになるテントをくれたんだ。 防犯対策で前の部分はダミー だから、小さく狭く見えるようになっているんだよ!」

「すごいな……  パール。 おまえホントに、迷い人なんだな……」

 へんな感心をして、マークは キョロキョロしている。

 まずは、マークの部屋を案内する。
 わたしのとなり。
 子ども部屋に連れていく。
 そしてある程度、隠さずに教えてしまう。

「この部屋と、となりの部屋は 一応、ゆくゆくわたしの子どもの部屋になるんだ。だからちょっと変わったモノもそのまま置いてあるんだけど、驚かないでね。ここにはしばらくはマークとシーナ、あとトムさんとトーマスぐらいまでしか止めないからまあ、大丈夫だよね?」

「そんなに驚きたくはないな。 ここにはまぁ、おれたちとそうだな…… いまは中に入れてライさんたちぐらいか?  先に何があるか教えてくれ」

「この家族用のテントは、わたしもまだ確認しきれていない部分もあるから、これはおかしいと思ったら教えてね」

 まずは、一応トイレとお風呂のシャワー の使い方を教えて、備え付けの魔法箱。
 使用済みの布の、片付け方も教えておいた。
 わたしもこの部屋では寝たことがないので、何があるかわからないといっておく。
 ひとり娘の部屋だったから、危険はないと思うと言っておいた。
 そのあと他の部屋も全部見せていき、あとはわたしの部屋だけになる。
 マークはそれはいいとリビングに戻って、置いてあった水瓶の水を飲んでビックリしていた。

「これはなんだ! 魔道具なのか! パールの魔法水と同じぐらいか?イヤそれ以上か? 久しぶりに飲んだな。 やっぱり、うまい……」

「そうなんだよ。これも 一部屋ずつにあったんだけど、もっとすごい魔法水もあって…… これなら大丈夫かなって、リビングに 一つだけ置いておくことにしたんだけど、これも ダメかな……」

「んーっ、ギリギリだな? もしかしてベッドも変えたのか?」

 もうベッドもテント前のダミー の椅子もソファも変えたと教えると、頭を抱えている。

「このソファは、もしかしてライ様のか? じゃあ、他の部屋にもソファがあったのか?」

 すごいソファとベッドがあったけど、それはダメだと思って、自分の部屋以外は全部片付けたこと。
 新しく買った家に元々あったライのソファや食器セットをここに持ってきたことを話してしまう。

「まぁ、テントなんだから部屋にソファがなくてもいいだろう……  区切られた部屋や風呂、シャワー ?にあの豪華なトイレがあるだけでもすごいからな」

 まだ、このテントで 二回しか寝ていないと話すと、自分で気づいたことは教えてくれるといってくれた。
 一日ずつマークは、部屋を変えて確認していくようだ。
 
 キッチン近くにある豪華なダイニングテーブルでちょっと早めの夕食にする。
 今日も、料理はせずに料理長の夕食セットをだしていく。

 ステーキ 二皿、葉野菜とミニトマトそれにオレンジ?のサラダ。
 固めのパンにバター、ヤハッシのハチミツ。
 あとこれは、ポテトとチーズのキッシュかな。
 デザートは焼きリンゴ、まわりに生のリンゴが細かく切って散りばめられている。
 ハーブ水とカベルネから買った、特別なブドウ畑から採れたワインとブドウ果汁を今日は特別にだしてみた。

 アレッ?

 いま、テーブルが縮んだ?

「おい、いまテーブルが短くならなかったか? それに椅子も、少し動いたよな……」

「やっぱり? なんだか少し遠かたマークが、程よい距離にいるような……」

「このテーブルは、はじめからあるテーブルか?」

「うん……  実は、テント前のダミー の椅子とテーブルも動いたから、片付けて変えたんだよ……」

「あーっ、そうか。 これはどうだろうな…… しばらく使って見て、考えようか?」

 気を取り直してマークはワインを見つけ、手を伸ばしてボトルを取ろうとする。

「おいしいそうな、ワインがあるじゃないかっ」

 スポンッ!

 えっ、マークの手の中にワインが引き込まれた?

「なんだ! ワインがこっちへ、勝手にきたぞ!」

「あーっ、これもなのか知らなかった……」

 マークがどういうことか聞いてきたので、テント前のダミー のテーブルは、呼べば勝手にきたからしまったと教えると頭を抱えていた。

「もうさっ、いまは 二人だし! 今日は、冒険 一日目だから気にせず特別ね!」

 ライはワイン、わたしはブドウ果汁で乾杯する。

「うまいっ! このワインはなんだ! うますぎる…… 」

「ラメール王国の国境を超えて 二日目の宿屋に売っていたワインだよ? 飲まなかったの?」

「ああ、ゴタに入るまで宿屋には泊まってないからな……」

「えっ?!」

 詳しく聞くと、お金を浮かすためにどこの宿屋にも泊まらず、馬車で野宿してきたという。
 ピアンタから自分の馬車で来ている 一般の人たちは、だいたいそうらしい。
 宿屋に泊まるのは、お貴族様か商家の人だと教えてくれた。
 メリッサが、よく効く魔物よけの薬草の香を渡してくれたので楽にこれたといっていた。
 王都ゴタに着いてからは 一泊宿屋でからだを休めたそうだけど、たいへんだったんだ……

「ごめんね。 そんな思いをさせて……」

「は、は、はっ! そんなのは、いまのみんなの幸せそうな様子をみてたら平気だとわかるだろ?」

 ワインを飲んでご機嫌なマークは、ステーキを食べてうなっていた。

「パール! この肉はうますぎるぞ! 魔牛のステーキだ! なんてうまいんだ!」

 魔牛と聞いて、あわてて食べる。

 あっ これおいしいヤツだ!

 このお肉が、そうだったのか……
 たまに出てくるこの味のステーキを、そういえばガントはいつも 三枚は食べていたな。
 わたしも大好きな 一品だけど、これが魔牛……  頑張って探そう。
 
 マークにはもう 一枚、ステーキを追加でだしてあげる。

 おいしいお肉においしいワイン。
 マークはご機嫌でワインを飲んでいるけど、ほっておいたら 一本全部飲みそうだ。
 瓶半分ぐらいで片付けたら、うらめしそうな顔をしていて笑っちゃう。
 ピアンタにいるときも、こんなことが何度もあったな……  ははっ

 ほどほどで、お開きにして片付ける。

 これも魔法箱があるので、そこに汚れた食器を入れるとすぐにキレイになる。
 マークは、もうおれはおどろかないぞといっていた。

 あしたに備えて、早めに個室に移動して休む。

「マーク、何かあったら教えてね! おやすみ」

「ああ、 おやすみ」

 楽しい 一日が終わる……

 やっぱり久しぶりの冒険で、緊張していたのか?

 それとも、このベッドのおかげなのか?


 あっという間に 夢の中だった……

 
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