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156. 冒険へ出発!

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 キッチリ朝 五時にマークは迎えにきてくれた。

 少しだけ打ち合わせも兼ねてみんなとお茶をする。
 シーナの欲しいものリストを見せてもらう。

「魔牛にクロコイリエそれにレインボーサーモン?」

「ああ、何で知ったのか?洞窟の奥に変わった湖があるんだよ。そこにいる魚だ」

 ほーっ

 あとは、薬草だな。
 モナルダからも頼まれている。
 自由に冒険する時間はあるのかな?
 今日から 三週間近くメルの洞窟に潜る。

 存在するメルの洞窟の地図は頭に入っているし。
 マークの荷物もわたしが全部魔法袋に入れて持っているけど、手ぶらでは他の冒険者に出会ったときおかしいからと、マークは背負うカバンにカラの袋を数枚入れて少し膨らませて持つことに。
 わたしは、これもアジュガたちに作ってもらった斜め掛けの大きなハリのある薄い革カバンと腰に小さなマジックバック。
 二つを持って、冒険することにした。

「ちゃんとこっちへ帰ってこいよ!」

 ガントに念押しされて返事しておく。

「うん、シーナのところが先になると思うけど……
戻ってはくるよっ」

「パール。 気をつけろよ!」

「そうですよ。 油断は禁物です」

「わかった!  じゃあ、いってきまーす!」

 朝からみんなに盛大に見送られて出発する。


  ♢♢♢

 
 メルの洞窟を身体強化で走って進む。

「パール、大丈夫か? もう少しペース落とそうか?」

「マーク、大丈夫! もっと速くてもいいくらい」

 「は、は、はっ さすがだなっ! あと、もう 一時間は休みなしで奥へ進むぞ」

 チェリー に人や魔物と合わなくていい道を聞きながら、ズンズン進んでいく。
 結局お昼まで走り続けて、休憩になる。
 前と同じように、認識されない魔道具を四隅に置いてどこでも置けるテーブルセットで昼食をとる。

 もう慣れたもので、マークは椅子に座ってわたしのだす料理をみていた。

 ライのところの料理長が持たせてくれたワンプレート。
 今回は角ウサギのトマト煮チーズのせと、ベーコンとカブのソテー に葉野菜が添えられている。
 パンには干しブドウが練り込まれていて、バターが横に置いてあった。
 果物は定番のリンゴとオレンジ。
 飲み物は、ハーブ水にする。

「相変わらず豪華な料理だな。 それにうまい! 今回ラメールに来て特に感じたことは、果物がうまいことだ。 前にいたときには そんなうまいと感じてなかったんだが、よく考えたら果物をあまり食べてなかったのかもなっ? ホントこれはうまいよ」

「あははっ お酒ばっかり飲んでたんでしょ? わたしが買ったリンゴも、メルの森の特別なリンゴだっていってたしね。 こんなにおいしい果物が採れるんだから、良い薬草もきっとどこかにあるはずなんだけど……」

「そうだな、冒険は始まったばかりだ。じっくり探してみよう」

 お茶は、またあとでゆっくり休憩で飲むことにして、ボードでクロコイリエがでたところまで先を進めることにした。
 マークもボードには、もう慣れたみたい。
 チェリー に危険がないか、確認してもらいながら少し高めで飛んでいく。
 
「マーク、ここらへんはクロコイリエのエリアみたいだよ。 うわーっ!いろいろいるね。 何色を倒す ? 黒? 緑? また白でもいいよ」

「クロコイリエは、革は白。肉は黒。量は緑と聞いたことがあるから、黒だな」

 へーっ、おもしろいな……
 お肉は黒なんだ。
 すぐチェリー が単独にいる、黒のクロコイリエの場所を教えてくれる。
 
 安全なところでボードを降りて、風下から魔剣ですぐに凍らせる。

「簡単すぎないか? これでホントに冒険なのか?」

「マーク、気にしちゃダメ! 未知の場所にいくのも冒険だよ。 それに、これでトムさんたちにお土産ができた!」

 この黒のクロコイリエは前回同様に、魔道具を被せて捌いて腰のマジックバッグに入れておく。

 黒の肉が手に入ったのなら、緑もいるよね。

 ついでに近くにいた緑のクロコイリエもゲットする。

 ここの場所は、湿地みたい……
 ボードに乗って上からみるとよくわかる。

「これはすごいな、ウジャウジャいる。 歩いてここまで来るのは大変だと思うぞ。この向こうに草原が続いていたはずだ。 普通はこんなクロコイリエの巣の湿地を避けて、向こうの草原を走るんだよ。 それでもこんなに巣が近かったからクロコイリエに出会ってしまっていたんだな……  知らなかったよ」

 ホントにいっぱい いる……
 もう少しとっておこうかな……

 少しはぐれているクロコイリエを数匹凍らせてボードの上から採取用スティックでチョンと突いてみた。

 はい、問題なく採取できました!
 マークはもうあきれていたけど、気にしない。

 草原には、いろいろな魔物がいるからここは無視して湖まで飛んでいく。
 
「おまえ、ここまで来るのは普通 三日かかるんだぞ。それを 一日で…… 」

「まあまあ…… それよりマーク、ギルドの本にはこの湖には凶暴な魔物がいないと書いてあったけどホント?」

「ああ、ここは人にとって安全地帯みたいなもんなんだよ。湖の水はキレイで飲めるし魚も貝もエビビも捕れる。
ここで水分補給と栄養補給をして、からだを休めるために 一泊する冒険者も多いが、もっと別の場所だな」

「別の場所?」

「ああ、こんなクロコイリエの巣から近い湖岸に拠点をおく物好きはいないな。 普通は草原をぐるっと回って湖までくるからな、別の場所。 もう少しここから離れた場所になるな……」

「ふ~うん。 じゃあここがわたしたちの拠点でいいね! ここにテントを張るよ」

「ああ、そういうと思った。 でもホントにおれはテントを持ってきてないけど、大丈夫なのか?  無理にテントで寝なくても、四隅に魔道具を置くなら外でも大丈夫だぞ?」

 マークは、狭いテントでわたしが不自由するなら自分は外で大丈夫だと言ってきた。
 もしかしたら、はじめからそのつもりだったのかも?
 四隅においている魔道具のすごさは、この前のとき一通り試していたからね……

 サッと四隅に認識されないバリアが張れる魔道具を置き、家族用のテントを ポンッと出す。

 マークが ジッと見ている。
 テント前の空間に置いている椅子を 三つ自分のほうに寄せて、おれはここでいいと言う。

 あ~っ ダミー に、引っかかっているんだな……
 わざと 三つ並べた椅子に寝っころがるようにして、両手を頭の下にして寝たふりをする。

 相変わらず優しいなぁ~
 テントが小さいから、わたしにゆっくりひとりで休ませるつもりなんだろう……
 
 テントの中に入り、マークを中から呼ぶ。

「マーク、ちょっときて! 一度、マークもテントの中を確認してよ」

 確認という言葉に ピクっと反応して、からだを起こすとテントの中に入ってきた。
 
「な、な、なんだここは!? ぜんぜん外と違うじゃないか!」

 そうでしょ、そうでしょ……

 これは ちょっと、ビックリするよねっ!

 

 


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