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134. ブティック『オレガノ』で採寸
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モナルダたちと朝食を食べながら、今日の予定を確認する。
午前中は、モナルダと薬草の水やりから見極め方や育て方など 一緒について回っていろいろ教えてもらう。
この前のガーデンパーティで、モナルダたちを呼び捨てにしているなら自分たちもと、三兄弟全員の家族も呼び捨てで呼び合うことが決まった。
モナルダの息子コリウスさんだけは、仕事で会えていない。
メリッサお姉さんのお父さんだから、どんな人なのか会ってみたかったかな……
奥さんが人族で、もともと体が弱くて早くに亡くなっているから、仕事尽くめだとモナルダがいっていた。
三男ネペタの奥さんも人族で、双子のサルビアとセージを産んで亡くなってしまったんだと薬草に水をあげながらモナルダが話してくれた。
人族は寿命が短く、からだも他の種族と比べて弱い。
薬師である自分が頑張っても、どうすることもできなかったと、目を伏せてわたしに言い聞かせるように話す……
きっとこれから何度もわたしが経験することになるから、話してくれているのだろう……
わたしの知り合いは、人族ばかりだ……
モナルダは人にも自分にも厳しい人だけど、思いやりのある優しい人。
このあと昼食後は、ブティック『オレガノ』でアジュガたちに、いまラメール王国で流行っている服を作ってもらうことになっている。
モナルダの夫グレコマの兄弟。
次男の鍛治職人ラミウムの娘。
末っ子、アジュガ。
三男古本屋さんネペタの娘。
双子姉妹、姉のサルビアと妹のセージ。
この三人がわたしの着ている服をみて、冒険者の服すぎるといいだした。
冒険してないときはもっと、女の子らしくオシャレをするべきだと、アドバイスされる。
見た目は 三人オシャレだから 二十代前半ぐらいに若く見えるけど、年齢は 三人ともメリッサお姉さんより 十五歳下の 六十歳。
勝てないし、逆らえない……
結果、新しい服を作ってもらうことになる。
今日は、からだの寸法を測って生地とデザインを選ぶといっていた。
ちょっと、楽しみだな。
アジュガのお父さん鍛冶職人のラミウムには、お鍋とフライパンを注文している。
息子のパチョリは妹アジュガより 二十歳上で、鍛冶屋さんの跡取りだ。
ここは、お母さんマヨラナもドワーフだから元気いっぱい。
力持ちだから、自分たちでは見落としがちな人族のわたしの意見を細かく聞いてくれる。
モナルダの家族の人たちはみんなわたしが、人族で迷い人だと知っているから、もう正直にお鍋の用途を話してしまう。
気に入った料理をたくさん作ってもらって、そのまま魔法袋にいれておくこと。
耐久性よりわたしが使いやすい軽い物がいいと話しておく。
泊まりがけの冒険をするときには、その料理を食べるからまわりに人がいたら、自分だけ食べるわけにはいかないこともあるだろう。
関わらないほうがいい人や、もう会えない人なら鍋ごと渡すつもりでいること。
作ってもらう大きな鍋と人に渡しやすい大きさの鍋を数個欲しいと注文する。
パチョリは、一瞬目を大きくしたあと、ニターッと笑いながら……
「それはすごく重要な鍋だな! は、は、はっ」
うなずいておいた。
それから、古本屋さんの 三男で双子のお父さんネペタには、本を見せてもらう約束をする。
店には古い変わった本がたくさんあるそうで、すごく楽しみだ。
「関わる人が増えると、それだけ忙しくなって毎日があっという間に過ぎていくよね」
そう、モナルダにいうと……
「なにをいっているんだいこの子は? パール、おまえまだ 十歳にもなっていないんだろ? 二百五十年間 生きたわたしからすると、まだまだ のんびりしたもんだよ。 忙しくなるのはこれからさっ」
「これからもっと忙しくなるの?」
笑いながらモナルダは、そうだといっていた。
ブティック『オレガノ』は、正面の大通りから入るようになっている。
どうもモナルダたちは、用のない人がこの路地を通ってほしくないようで、路地の道幅もわざと細くして道も暗めに壁を高くしているようだった。
表通り『オレガノ』がある建物は、豪華で隣の他のお店より 三倍は広い?
アジュガたちに言わすと、お店部分は 一階だけ。
それも半分ぐらいで、あとの残りすべてモナルダの息子さんコリウスさんの住宅部分になっているから、見た目よりもだいぶ店は狭いと教えてくれた。
反対側のアジュガの家。
鍛冶屋さんも横幅は同じ長さだけど、こっちは建物の高さや造りの豪華さがぜんぜん違うようだ。
道筋が 一本違うだけで職人町の建物に変わり、一階は作業場が大半になり売り場は狭いとアジュガが話してくれる。
一度見にいかないと……
ブティック『オレガノ』の中は明るく、可愛らしいお店だった。
小さなカバン、小物も少し置いてある。
まずはフィッティングルームに連れていかれ、三人がかりで採寸するようだ。
お店には、ご予約中と札がかけられた。
なんだか、気が引ける……
お客様なんだから当たり前だし、そのほうが流行っているみたいでいいんだと、アジュガが笑っていう。
四人で入っても、まだ余裕がある。
店には大きなフィッティングルームが 二つ。
アジュガが記録係で双子のサルビアとセージが、わたしの前と後ろに分かれて採寸してくれるのかな……
下着の上からだから、もうパッパっと服を脱ぐ。
アジュガたちはわたしの脱いだ服がどうも気になるようで、まず椅子に座らされガウンをかけられる。
いつの間に用意していたのか、香り豊かなお茶がでてきた……
ガウン姿でしばらく、お茶をゆっく飲んでいるよう告げられる。
三人とも、ケップラー 王国の服、生地と縫製に興味があったみたい……
気の済むまでみてもらう。
この世界では、手に入らない生地で、半分魔道具だと話していた。
縫い目もない。
もうわたしの登録がしてあるから、自分たちが着ることもできないと教えてくれた。
これからいろいろ試されて、聞かれることになったのかと思うと、登録は正解だったな。
途中で 三人あきらめていたし……
肌着にも気はいったようだけど、脱がされることはなかった……
まあ、嫌がったら脱げないけどね。
ホントにパワー 溢れる 三人のお姉さんたちだよ。
頼もしい……な。
午前中は、モナルダと薬草の水やりから見極め方や育て方など 一緒について回っていろいろ教えてもらう。
この前のガーデンパーティで、モナルダたちを呼び捨てにしているなら自分たちもと、三兄弟全員の家族も呼び捨てで呼び合うことが決まった。
モナルダの息子コリウスさんだけは、仕事で会えていない。
メリッサお姉さんのお父さんだから、どんな人なのか会ってみたかったかな……
奥さんが人族で、もともと体が弱くて早くに亡くなっているから、仕事尽くめだとモナルダがいっていた。
三男ネペタの奥さんも人族で、双子のサルビアとセージを産んで亡くなってしまったんだと薬草に水をあげながらモナルダが話してくれた。
人族は寿命が短く、からだも他の種族と比べて弱い。
薬師である自分が頑張っても、どうすることもできなかったと、目を伏せてわたしに言い聞かせるように話す……
きっとこれから何度もわたしが経験することになるから、話してくれているのだろう……
わたしの知り合いは、人族ばかりだ……
モナルダは人にも自分にも厳しい人だけど、思いやりのある優しい人。
このあと昼食後は、ブティック『オレガノ』でアジュガたちに、いまラメール王国で流行っている服を作ってもらうことになっている。
モナルダの夫グレコマの兄弟。
次男の鍛治職人ラミウムの娘。
末っ子、アジュガ。
三男古本屋さんネペタの娘。
双子姉妹、姉のサルビアと妹のセージ。
この三人がわたしの着ている服をみて、冒険者の服すぎるといいだした。
冒険してないときはもっと、女の子らしくオシャレをするべきだと、アドバイスされる。
見た目は 三人オシャレだから 二十代前半ぐらいに若く見えるけど、年齢は 三人ともメリッサお姉さんより 十五歳下の 六十歳。
勝てないし、逆らえない……
結果、新しい服を作ってもらうことになる。
今日は、からだの寸法を測って生地とデザインを選ぶといっていた。
ちょっと、楽しみだな。
アジュガのお父さん鍛冶職人のラミウムには、お鍋とフライパンを注文している。
息子のパチョリは妹アジュガより 二十歳上で、鍛冶屋さんの跡取りだ。
ここは、お母さんマヨラナもドワーフだから元気いっぱい。
力持ちだから、自分たちでは見落としがちな人族のわたしの意見を細かく聞いてくれる。
モナルダの家族の人たちはみんなわたしが、人族で迷い人だと知っているから、もう正直にお鍋の用途を話してしまう。
気に入った料理をたくさん作ってもらって、そのまま魔法袋にいれておくこと。
耐久性よりわたしが使いやすい軽い物がいいと話しておく。
泊まりがけの冒険をするときには、その料理を食べるからまわりに人がいたら、自分だけ食べるわけにはいかないこともあるだろう。
関わらないほうがいい人や、もう会えない人なら鍋ごと渡すつもりでいること。
作ってもらう大きな鍋と人に渡しやすい大きさの鍋を数個欲しいと注文する。
パチョリは、一瞬目を大きくしたあと、ニターッと笑いながら……
「それはすごく重要な鍋だな! は、は、はっ」
うなずいておいた。
それから、古本屋さんの 三男で双子のお父さんネペタには、本を見せてもらう約束をする。
店には古い変わった本がたくさんあるそうで、すごく楽しみだ。
「関わる人が増えると、それだけ忙しくなって毎日があっという間に過ぎていくよね」
そう、モナルダにいうと……
「なにをいっているんだいこの子は? パール、おまえまだ 十歳にもなっていないんだろ? 二百五十年間 生きたわたしからすると、まだまだ のんびりしたもんだよ。 忙しくなるのはこれからさっ」
「これからもっと忙しくなるの?」
笑いながらモナルダは、そうだといっていた。
ブティック『オレガノ』は、正面の大通りから入るようになっている。
どうもモナルダたちは、用のない人がこの路地を通ってほしくないようで、路地の道幅もわざと細くして道も暗めに壁を高くしているようだった。
表通り『オレガノ』がある建物は、豪華で隣の他のお店より 三倍は広い?
アジュガたちに言わすと、お店部分は 一階だけ。
それも半分ぐらいで、あとの残りすべてモナルダの息子さんコリウスさんの住宅部分になっているから、見た目よりもだいぶ店は狭いと教えてくれた。
反対側のアジュガの家。
鍛冶屋さんも横幅は同じ長さだけど、こっちは建物の高さや造りの豪華さがぜんぜん違うようだ。
道筋が 一本違うだけで職人町の建物に変わり、一階は作業場が大半になり売り場は狭いとアジュガが話してくれる。
一度見にいかないと……
ブティック『オレガノ』の中は明るく、可愛らしいお店だった。
小さなカバン、小物も少し置いてある。
まずはフィッティングルームに連れていかれ、三人がかりで採寸するようだ。
お店には、ご予約中と札がかけられた。
なんだか、気が引ける……
お客様なんだから当たり前だし、そのほうが流行っているみたいでいいんだと、アジュガが笑っていう。
四人で入っても、まだ余裕がある。
店には大きなフィッティングルームが 二つ。
アジュガが記録係で双子のサルビアとセージが、わたしの前と後ろに分かれて採寸してくれるのかな……
下着の上からだから、もうパッパっと服を脱ぐ。
アジュガたちはわたしの脱いだ服がどうも気になるようで、まず椅子に座らされガウンをかけられる。
いつの間に用意していたのか、香り豊かなお茶がでてきた……
ガウン姿でしばらく、お茶をゆっく飲んでいるよう告げられる。
三人とも、ケップラー 王国の服、生地と縫製に興味があったみたい……
気の済むまでみてもらう。
この世界では、手に入らない生地で、半分魔道具だと話していた。
縫い目もない。
もうわたしの登録がしてあるから、自分たちが着ることもできないと教えてくれた。
これからいろいろ試されて、聞かれることになったのかと思うと、登録は正解だったな。
途中で 三人あきらめていたし……
肌着にも気はいったようだけど、脱がされることはなかった……
まあ、嫌がったら脱げないけどね。
ホントにパワー 溢れる 三人のお姉さんたちだよ。
頼もしい……な。
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