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126. 大ドクダミは良い薬?
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うわーっ
大きな声で呼ばれたなぁ~
すごい勢いで、息を切らしてやってきたガントに、両肩を ガシッと掴まれた。
「うおっ!」
声と同時に手が離され、ジャンプしている。
あっ、バリアかな?
「いまのはなんだ? 急に手とからだが離されたぞ!」
「あーっ、バリアかな? 急に肩を掴むから……」
「パール、あなた…… バリアの魔法が使えるのですか?」
走ってきて息が整ったソードが聞いてきたので、魔道具だというと、少しだけ目を見開いて。
「その話はあとにしましょう。それよりもいまは、大ドクダミです! どこにいるのですか?」
カベルネが横から答えてくれた。
「もういないぞ!」
「そうじゃ! このパール殿が、助けてくれたんじゃ!」
「ガメイ! それだけじゃあ、わからないだろ? あんたはいっつも せっかちだねぇ~ もっとじっくり 話さないとね」
ガメイおじいさんの言葉に奥さんのペクメズおばあさんが話の続きを 三人に説明してくれた。
それからゾロゾロとこの集落の若い人たちもやってきて、引っこ抜いた大ドクダミを集めだす。
この大ドクダミは、洗って根の部分もキレイにしてから干すとすべて薬になるそうで、わたしも少しもらっていいか確認する。
「パールさんが採った分は、パールさんのモノだから持って帰ってくださいな」
ペクメズおばあさんからお許しが出たので、ちょっと多めにもらってもまだまだある。
残りは全部スティックからだしてペクメズおばあさんに渡しておく。
キレイにそのままの形で抜けているので、すごくよろこばれる。
良い薬ができるといっていた。
この薬作りは、お年寄りの仕事らしい。
村の若い人たちは、大ドクダミがあけた穴を丁寧に埋めている。
ライたちも手伝っていた。
わたしはカベルネたちと先に家へ向かうようだ。
まわりの家よりも大きな、高い屋根のしっかりした家。
もしかして、村長さん?
家ではガメイさんにお礼をいわれ、そのあとペクメズさんにも大ドクダミを譲ったことでお礼をいわれる。
カベルネのご両親とお兄さんは、まだブドウ畑で大ドクダミの穴を埋めているそうだ。
わたしを迷い人だと言い当てたお年寄りが教えてくれる。
なんとガメイさんのお父さんだった。
「パール、おまえホントに迷い人なのか?」
カベルネの言葉に、ペクメズおばあさんがまた頭を ペシッ と叩いて。
「これ、村の大恩人になんて口の聞き方をするんじゃ! 気をつけよっ!」
ひゃー そんな、たいそうな……
「あの…… 普通にしてください。 そうでないと、居づらいんで……」
「そうかい? じゃあ、そうしようかね」
「なんだよ! オレの 叩かれ損かよ チェッ なあ パール。 迷い人になったんなら、魔法袋は持っているんだろ? ちょっと頼みたいことがあるんだよ……」
「えっ、なに?」
「大岩をな、除去してほしいんだ」
「カベルネ、あの畑道の大岩のことをいっているのかい?」
おばあさんが聞いていた。
大岩?
なんでも、ここら辺の畑や家のまわりには大きな石や岩が ゴロゴロ あるようで。
その中でも、畑にいく途中にすごく大きな大岩があって、この大岩のためにみんなが遠回りして畑にいくそうだ。
除去しても大丈夫な大岩だから、魔法袋にしまってくれないかといってきた。
んーっ、それをするなら 明日になるけど……
「ねえ、カベルネ。 ここからラメールの王都にいくのって難しい?」
「ここから王都か? たしか道沿いのはずだけど…… じいちゃん、どうだ?」
「ここから 王都か? 迷うことはないぞ。 一本道みたいなもんだ。 一番大きな道を進んでいけば着くぞ」
「じゃあ、大丈夫だね!」
「パール、引き受けてくれるのか?」
「うん。 みんなが、困っていることみたいだし…… ついでに村人たちが困っている大きな石も? この村の人たちに口止め料かな? わたしが迷い人だってことを黙っていてもらわないとね!」
「おおっ。それは大丈夫じゃ! パール殿はこの集落、村の大恩人だからな! はっ、はっ、はっ!」
「パール! ありがとうなっ! でも みんなと 一緒に王都にいけなくなるぞ。 大丈夫なのか?」
「うん、ライたちとはもう、明日の朝に別れるよ。 そうしたら迷惑かけることもないし。わたしは少しぐらい遅れても大丈夫だから王都までわたしひとりでいくことにするよ」
「ホントにいいのか?」
「いいよ! その代わり迷い人のことも、何を見ても全部ナイショだと村の人たちにいっておいてね」
「ああ、わかった! みんなにどけてほしい岩や石を決めておくように伝えるよ」
「ねえ? それって、一日で できるの? 何日か かかるのかな?」
「そうじゃな。たぶん村をまわることになるから、二日は見ておいてほしいかの?」
ガメイおじいさんが答えてくれた。
明日は宿屋をでるので、この村のどこか端にでもテントを張りたいというと、この家に泊まってくれといってくれる。
丁寧に辞退して、そのかわりご飯を用意してほしいと伝えた。
この家の庭を貸してもらえることになる。
カベルネがテントでホントにいいのか聞いてきたので、わたしは冒険者だからそのほうが慣れていていいのだといっておく。
いつもひとりで冒険していたというと、みんなおどろいていた。
「おまえ、すごいな……」
感心したようにカベルネがいうから、笑ってごまかす。
そうこうしていると、ライたち 三人がやってきて なんとか村の人たちだけでもブドウ畑をキレイにできるところまで修復できたので、次はわたしの話を聞きにきたという。
ライたちがくると、ガメイおじいさんとペクメズおばあさんの雰囲気が少し変わった?
村の村長さんより偉い人なのだと、ちょっと思ってしまう……
はじめにソードが、お疲れ様といってくれた。
そのあとどうやって大ドクダミを退治したのか聞かれたので、あのスティックで収納していったと伝える。
やはりそうかと、納得していた。
村の人に聞いても分かる人がお年寄りだからか、どうもそこだけはっきりしなかったようだ。
それからライたちには、ここでお別れすると伝えておく。
驚いた顔をした 三人に、理由を説明すると。
「パール、いいことするなぁ~っ」
ガントがほめてくれた。
ライとソードは端のほうで コソコソ話しだして、そこにガメイおじいさんも加わったようだ。
ペクメズおばあさんが明日の夕食は、ご馳走を作ると張り切っている。
二日もあるし無理はしないでっと伝えておく。
楽しいおばあさんだな。
ライたちがきて、ソードが話しだす。
「パール。明日からは、わたしたちもここの庭に馬車を置かせてもらうので、いままでどおりパールも馬車に来てください」
えっ?!
なんだか また おおごとになってきた?
大きな声で呼ばれたなぁ~
すごい勢いで、息を切らしてやってきたガントに、両肩を ガシッと掴まれた。
「うおっ!」
声と同時に手が離され、ジャンプしている。
あっ、バリアかな?
「いまのはなんだ? 急に手とからだが離されたぞ!」
「あーっ、バリアかな? 急に肩を掴むから……」
「パール、あなた…… バリアの魔法が使えるのですか?」
走ってきて息が整ったソードが聞いてきたので、魔道具だというと、少しだけ目を見開いて。
「その話はあとにしましょう。それよりもいまは、大ドクダミです! どこにいるのですか?」
カベルネが横から答えてくれた。
「もういないぞ!」
「そうじゃ! このパール殿が、助けてくれたんじゃ!」
「ガメイ! それだけじゃあ、わからないだろ? あんたはいっつも せっかちだねぇ~ もっとじっくり 話さないとね」
ガメイおじいさんの言葉に奥さんのペクメズおばあさんが話の続きを 三人に説明してくれた。
それからゾロゾロとこの集落の若い人たちもやってきて、引っこ抜いた大ドクダミを集めだす。
この大ドクダミは、洗って根の部分もキレイにしてから干すとすべて薬になるそうで、わたしも少しもらっていいか確認する。
「パールさんが採った分は、パールさんのモノだから持って帰ってくださいな」
ペクメズおばあさんからお許しが出たので、ちょっと多めにもらってもまだまだある。
残りは全部スティックからだしてペクメズおばあさんに渡しておく。
キレイにそのままの形で抜けているので、すごくよろこばれる。
良い薬ができるといっていた。
この薬作りは、お年寄りの仕事らしい。
村の若い人たちは、大ドクダミがあけた穴を丁寧に埋めている。
ライたちも手伝っていた。
わたしはカベルネたちと先に家へ向かうようだ。
まわりの家よりも大きな、高い屋根のしっかりした家。
もしかして、村長さん?
家ではガメイさんにお礼をいわれ、そのあとペクメズさんにも大ドクダミを譲ったことでお礼をいわれる。
カベルネのご両親とお兄さんは、まだブドウ畑で大ドクダミの穴を埋めているそうだ。
わたしを迷い人だと言い当てたお年寄りが教えてくれる。
なんとガメイさんのお父さんだった。
「パール、おまえホントに迷い人なのか?」
カベルネの言葉に、ペクメズおばあさんがまた頭を ペシッ と叩いて。
「これ、村の大恩人になんて口の聞き方をするんじゃ! 気をつけよっ!」
ひゃー そんな、たいそうな……
「あの…… 普通にしてください。 そうでないと、居づらいんで……」
「そうかい? じゃあ、そうしようかね」
「なんだよ! オレの 叩かれ損かよ チェッ なあ パール。 迷い人になったんなら、魔法袋は持っているんだろ? ちょっと頼みたいことがあるんだよ……」
「えっ、なに?」
「大岩をな、除去してほしいんだ」
「カベルネ、あの畑道の大岩のことをいっているのかい?」
おばあさんが聞いていた。
大岩?
なんでも、ここら辺の畑や家のまわりには大きな石や岩が ゴロゴロ あるようで。
その中でも、畑にいく途中にすごく大きな大岩があって、この大岩のためにみんなが遠回りして畑にいくそうだ。
除去しても大丈夫な大岩だから、魔法袋にしまってくれないかといってきた。
んーっ、それをするなら 明日になるけど……
「ねえ、カベルネ。 ここからラメールの王都にいくのって難しい?」
「ここから王都か? たしか道沿いのはずだけど…… じいちゃん、どうだ?」
「ここから 王都か? 迷うことはないぞ。 一本道みたいなもんだ。 一番大きな道を進んでいけば着くぞ」
「じゃあ、大丈夫だね!」
「パール、引き受けてくれるのか?」
「うん。 みんなが、困っていることみたいだし…… ついでに村人たちが困っている大きな石も? この村の人たちに口止め料かな? わたしが迷い人だってことを黙っていてもらわないとね!」
「おおっ。それは大丈夫じゃ! パール殿はこの集落、村の大恩人だからな! はっ、はっ、はっ!」
「パール! ありがとうなっ! でも みんなと 一緒に王都にいけなくなるぞ。 大丈夫なのか?」
「うん、ライたちとはもう、明日の朝に別れるよ。 そうしたら迷惑かけることもないし。わたしは少しぐらい遅れても大丈夫だから王都までわたしひとりでいくことにするよ」
「ホントにいいのか?」
「いいよ! その代わり迷い人のことも、何を見ても全部ナイショだと村の人たちにいっておいてね」
「ああ、わかった! みんなにどけてほしい岩や石を決めておくように伝えるよ」
「ねえ? それって、一日で できるの? 何日か かかるのかな?」
「そうじゃな。たぶん村をまわることになるから、二日は見ておいてほしいかの?」
ガメイおじいさんが答えてくれた。
明日は宿屋をでるので、この村のどこか端にでもテントを張りたいというと、この家に泊まってくれといってくれる。
丁寧に辞退して、そのかわりご飯を用意してほしいと伝えた。
この家の庭を貸してもらえることになる。
カベルネがテントでホントにいいのか聞いてきたので、わたしは冒険者だからそのほうが慣れていていいのだといっておく。
いつもひとりで冒険していたというと、みんなおどろいていた。
「おまえ、すごいな……」
感心したようにカベルネがいうから、笑ってごまかす。
そうこうしていると、ライたち 三人がやってきて なんとか村の人たちだけでもブドウ畑をキレイにできるところまで修復できたので、次はわたしの話を聞きにきたという。
ライたちがくると、ガメイおじいさんとペクメズおばあさんの雰囲気が少し変わった?
村の村長さんより偉い人なのだと、ちょっと思ってしまう……
はじめにソードが、お疲れ様といってくれた。
そのあとどうやって大ドクダミを退治したのか聞かれたので、あのスティックで収納していったと伝える。
やはりそうかと、納得していた。
村の人に聞いても分かる人がお年寄りだからか、どうもそこだけはっきりしなかったようだ。
それからライたちには、ここでお別れすると伝えておく。
驚いた顔をした 三人に、理由を説明すると。
「パール、いいことするなぁ~っ」
ガントがほめてくれた。
ライとソードは端のほうで コソコソ話しだして、そこにガメイおじいさんも加わったようだ。
ペクメズおばあさんが明日の夕食は、ご馳走を作ると張り切っている。
二日もあるし無理はしないでっと伝えておく。
楽しいおばあさんだな。
ライたちがきて、ソードが話しだす。
「パール。明日からは、わたしたちもここの庭に馬車を置かせてもらうので、いままでどおりパールも馬車に来てください」
えっ?!
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