迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜

青空ばらみ

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113. 中間地点

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 なにを、言われるのか? 
 ドキドキ していたのに……

 まずはもう 一度、昨日のことをあやまってくれる。

 それから、金と金貨の両替の話になった。
 あれっ?
 そんな話でいいの……   助かるけど……

 金の重さ 二割増しで、金貨と交換になるようだ。
 普通だ……   妥当だよね。

 ライの手数料はどうなるのか聞くと、これがギルドの正規の両替なので同じで良いと言う。

 なんと まあっ!

 どれくらい、金を交換したら良いのだろう?
 そう、思ったとき……

「パール。向こうの国には 金が、石ころのように転がっていると聞いたのだが、ホントか?」

「…… はい。 ホント……です」

「それを持って帰ってきたのなら、だいぶあるな……」

「そうですね。 ですから家を買うのが、お金か 金なのか分かりませんが、その分としばらくの生活費があればいいんです。わたしのせいで、金の価値を下げるつもりはありません。 これからわたしは、千年以上 生きていくのですから、急ぎません」

「ありがとう。 そう言ってもらうと助かるよ」

 そんなことを確認するということは?

「あのぅ…… もしかしてライが、お金の両替をしてくれるのですか?」

「ああ、そのつもりだけど」
 
 うわーっ、お金持ち! 
 もう、ぜったいに貴族だよ。
 それもだいぶ上の階級じゃないかな?

 まず 金で、家を買えるようにしてくれるそうだ。
 そのほうが 金貨と同じ重さでいいから、お得だと教えてくれる。
 あと現金の両替は、その家と同じぐらいの金額を考えているといっていた。

 十分だ。
  ありがたい。

 ライはラメールのダンジョン。
 メルの洞窟では、金があまりとれないからありがたいといってくれる。

 ラメール王国のダンジョンは、メルの洞窟 っていうんだ……

 ホントはもっと 金が欲しいから、まわりの様子を見て、もう少し譲ってもらえるか決めるらしい。
 それでもいいか聞いてきたので、大丈夫だといっておく。
 ホントに、よかった……

 あとは昨日のテント、外の音が聞こえてなかったのか聞かれる。
 もう素直に答えておいた。

「はい、聞こえていませんでした」

「そうか……」

 なにやら、納得しているようだ……

 これから外の音をむやみに消すことは、やめておこう……
 
 人と 一緒にいるときには、とくにダメだと学んだ。

 朝が早かったからか、いつもより早く今日の目的地に着いたみたい。

 一度、外にでてみる。
 森林の中を走っている感じなのか? 
 馬車の部屋の中にいたので揺れもあまりないし、景色もぜんぜん見ていない。

 御者をしていたソードに聞いてみると、この道の片方は樹海が広がり、もう片方は森林が続き、その先が高い崖と海。
 断崖絶壁になっていて、人が住めないそうだ。
 獣も魔獣もでると言っていた。

 じゃあ、薬草もあるのでは?
 聞いてみたが、ここら辺にある薬草はピアンタ王国によくある薬草のようだ。

 ここは中間地点だから、ラメール王国にもピアンタ王国にも、あと三泊しないと着かない。

 薬草の品質を考えると、もっとピアンタ王国の近くで採れた薬草のほうがピアンタに売る場合は、鮮度もよく高値で売れるし危険も少ない。
 ラメール王国まで持って帰るにも、鮮度が落ちる。

 ピアンタによくある薬草なら、ピアンタで正しく処理してあるモノを買った方が、薬剤的に良い場合が多いと教えてくれる。
 なので、ここでは採る者がいないと話してくれた。
 なるほど……

 あたりを見まわし、スキルマッピングを使うとホントだ!
 ヨウモギ草とポポタン草が近くで ピコピコしている。

 そうだ、気になっていたことがあったんだ……

 マプさんからもらった採取用のスティックは、木の実が 一本分貯めれる機能が付いていると教えてもらった。
 でも時間はどうなのか、聞いていないんだよね。
 あのときいろいろもらったから、気にしてなかったけど……
 これは時間停止か、遅くなるぐらい付いていてもおかしくない モノ だと思う。 

 試しに採取用のスティックの他に、少し遅くなる魔法袋と時間が経過する魔法袋、あと普通の革の袋の四種類に同じ薬草を入れて、違いを見てもいいかな……
 マークと、いろいろ試したことを思い出すよ……
 少し散歩させてもらって、実験してこようか?

 ソードに少しこの森林を散歩してくると、言ってみた。
 
「散歩ですか?  魔獣がでるんですよ?」

「大丈夫です。 逃げ足は、はやいんで! 少しまわりを見てきたいんですよ」

「いいぞ! おれも一緒についていくから、大丈夫だ」

 えっ、ガント。
 ついてくるの?
 起きてきたガントが、話を聞いてついてくるという……

「えっ、いいよ! ひとりで行くから!」

「ダメだ! おれも、行く!」

「「「えっ?」」」

 こんどは、ライまで行くと言いだした……

「ふーっ、しょうがありませね……  みんなで行きましょう」

「えーっ!」

 ソードまで、行くと言う。
 そうか…… ライが行くと、言ったから……

「そんな~ みんなで行くことないよ!  ちょっと、散歩するだけなんだから!」

「パール、あきらめてください。 みんなで、行きますよ」

 ソードが、念押しする。
 もう、ダメだ……  
 実験はあきらめて、普通に散歩しよう……

 なんだかヘンテコなことになったけど、森林の中を四人で歩く。

「あっ、すごい! すごく緑の濃いヨウモギ草がある!」

「どれだ?」

 ガントが聞いてきた。

 ここら辺の薬草は光も適度に当たって、すごく品質がいい!

(チェリー、ここの薬草すごく品質がいいんだけど。もうさ、マプさんにもらった採取用のスティックで、採ってみたら ダメかな?)

(はい。もう見せるつもりでいたのですから、いいのではないですか?)

(だよねー! いいよねー!)

 チェリー の、お許しもでたし…… ふふっ

 ヨウモギ草の前にいき、ズボンのポケットからだすフリをして、採取用スティックをスペシャルな指輪から取りだす。

 スルスルっとスティックを長くすると、みんながこっちを見てくる。

 気にしないでヨウモギ草に チョンとスティックが触れると、わたしの考えていた柔らかい新芽の部分が消えてなくなった。

「「「おーーっ!!」」」

 野太い声が、森林に響く。

 ちょっとめんどくさい感じだけど、しょうがない……

 あきらめて、ヨウモギ草を チョン チョン チョンと 触れていった。

 そのたびに、野太い声が……

「「「おっ おっ おーっ!」」」


 ちょっと 笑っちゃう……  ハ ハッ


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