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109. 三人に相談
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ガントが落ち着くのを待って、ソードが話しだす。
「パール。それではホントに、ラメールで住もうとしているのですか?」
「たぶん? でも、ラメールの王族も囲い込もうとしてくるのなら、つぎのセルバ王国にするつもり……」
「囲い込むって、どういうことだ?」
ライが聞いてきたので、ピアンタ王国では 迷い人だとわかると王家に連れていかれること。
そしてお宝は取り上げられ、お城から出られなくなると説明しおどろかれる。
もうここまで話したらいいかと、迷い人の寿命がエルフのように長くなることや、伯父さんたちと一緒に住むつもりでいたけど、別のほうが寿命の違いから良いのではと思ってきていることも素直に話した。
「それで、宿屋の近所で外から見られない家なのですね」
ソードが聞いてきたので、うなずいておく。
ソードは初めすごく警戒していたけど、わたしの正体が 迷い人で怪しい者ではないことがわかると、すごく親切で優しくなった。
ガントはまだ、ボーッとしている……
ライがそういうことなら、真剣に探してあげようと いってくれた。
ホントに条件は、ダンジョン近くの宿屋ができる物件と、その近くの外から様子が見られない庭の広い家でいいのか聞いてきたので、それで良いといっておく。
お金は、金(キン)しかいまは持ってないので、それでも大丈夫か聞くと問題ないみたい。
金(キン)とお金の交換も時間をもらえばできるといってくれたので、頼んだ。
今日はこれ以上の話をしてもなにもできない。
わたしは馬車の中で先に眠らせてもらう。
ライもあとから馬車で寝るから、入ってきてもおどろかないように注意を受けた。
軽くうなずいて、先にひとり馬車に入る。
馬車の中で手提げの袋を枕にし、毛布を 一枚マジックバックからこそっとだして、それをかぶって座席の上で、横に少し丸まって寝た。
フッフ わたしには、十分な広さだ……
まだみんなは、コソコソと話しているようだけど、もう気にしない。
知らないあいだに寝てしまう。
起きたときにも、ライは馬車の中にいない……
まあ、ちょうどよいかと、自分にクリーンの魔法をかけて外に出ていく。
みんなは温かいお茶を飲んで、パンを食べていた。
ソードがわたしの分だと、お茶とパンを ひとつ渡してくれる。
温かいお茶だ!
うれしくてマナー を気にせず、すぐに 一口飲む。
「おいしいっ!?」
「ありがとう。わたしが淹れたんです」
「ホントにソードの淹れたお茶は、そこら辺の侍女が淹れたお茶より うまいよな!」
「そうなんだ……侍女が淹れたお茶より……」
「パール、よく寝れましたか?」
「はい。ライが馬車にきたのも、出ていったのも知らないぐらい寝ていました」
ソードが、フッと微笑んで軽くうなずく。
また、馬車の旅がはじまった……
今回もソードから御者をするようだ。
やっぱり、ライは馬車の中みたい……
ソードは、ライの護衛なのかな?
毒味なんて、辺境伯家の跡取り息子のルート様でもなかったよ……
護衛のアース様は、いつも 一緒にいたけどね……
なんとなくアース様とソードは、立ち位置も似ているし……
ガントは関係ないと思っていたのに、普通に侍女とかいうし、おどろきだよ。
下級貴族の 三男とかなのかなぁ~?
馬車の中ではまたライの横で、迷い人の話になった。
ガントが竜人はいたか聞いてきたので、いたというとなぜかすごく感動している。
やっぱりというか、ライがどうやって向こうの国へ いったのか聞いてきた。
これは絶対に聞かれるだろうから、チェリー とあらかじめ決めていたとおり……
アストの森のダンジョンで急に霧がかかり、気がついたら向こうの国だったと伝えておいた。
じゃあ、どうやって帰ってきたんだと聞かれたので、向こうの 迷いの森まで竜人に連れていってもらい、同じように帰ってきたと説明しておく。
「迷いの森?」
そう、『迷いの森』と竜人たちは呼んでいたと話す。
ガントがおれも行ってみたいと、ブツブツいっていたので……
向こうの国では、数百年に 一度 迷い人がでるみたいだけど、なかなか会えないし、向こうも 当たり人が 五人いて王家が 迷い人を囲ってしまうから大変だと話しておいた。
そこまでで時間切れ、休憩ポイントにつく。
わたしは、サッと降りてオトイレを使いに……
帰ってくると、リンゴを 一個渡された。
持っていたんだ……
その場で食べて、また馬車は走りだす。
こまめに休憩はあるようで助かる。
しばらく走っていると、馬車が急にスピードを上げて、ソードが器用にドアから外の御者ガントがいるところに出ていった。
ライは平気なようで……
しばらくして、ソードが戻ってくる。
十数匹のシルバーウルフの群れがでたようだと教えてくれた。
「しょうがない、退治しておくかっ」
たいしたことではないみたいにライがいう。
ソードが御者のガントに、コンコンコンと馬車の壁を叩いて合図を送る。
馬車のスピードがおちて止まった。
「パール。ここからでないで、待っていてください」
それだけソードがいうと、サッと 二人とも馬車を 降りてしまう。
残されたわたしは、馬車の小窓を じっと見ていた。
たまに見えるシルバーウルフと、三人の様子……
強い! 危なげなく、倒していく。
これはわたしがでたら、足手まといなだけだな……
「チェリー すごいねぇ~ なん匹 いるのかな?」
「はい、十三匹だと思います。 みなさん魔剣で戦っているようです。それに、魔法袋を持っていますね」
「えっ、魔法袋? だれが?!」
「はい、三人ともです。 そこから魔剣を出し入れしています」
なんとっ!!
三人とも、魔法袋を持っているのかっ?!
「パール。それではホントに、ラメールで住もうとしているのですか?」
「たぶん? でも、ラメールの王族も囲い込もうとしてくるのなら、つぎのセルバ王国にするつもり……」
「囲い込むって、どういうことだ?」
ライが聞いてきたので、ピアンタ王国では 迷い人だとわかると王家に連れていかれること。
そしてお宝は取り上げられ、お城から出られなくなると説明しおどろかれる。
もうここまで話したらいいかと、迷い人の寿命がエルフのように長くなることや、伯父さんたちと一緒に住むつもりでいたけど、別のほうが寿命の違いから良いのではと思ってきていることも素直に話した。
「それで、宿屋の近所で外から見られない家なのですね」
ソードが聞いてきたので、うなずいておく。
ソードは初めすごく警戒していたけど、わたしの正体が 迷い人で怪しい者ではないことがわかると、すごく親切で優しくなった。
ガントはまだ、ボーッとしている……
ライがそういうことなら、真剣に探してあげようと いってくれた。
ホントに条件は、ダンジョン近くの宿屋ができる物件と、その近くの外から様子が見られない庭の広い家でいいのか聞いてきたので、それで良いといっておく。
お金は、金(キン)しかいまは持ってないので、それでも大丈夫か聞くと問題ないみたい。
金(キン)とお金の交換も時間をもらえばできるといってくれたので、頼んだ。
今日はこれ以上の話をしてもなにもできない。
わたしは馬車の中で先に眠らせてもらう。
ライもあとから馬車で寝るから、入ってきてもおどろかないように注意を受けた。
軽くうなずいて、先にひとり馬車に入る。
馬車の中で手提げの袋を枕にし、毛布を 一枚マジックバックからこそっとだして、それをかぶって座席の上で、横に少し丸まって寝た。
フッフ わたしには、十分な広さだ……
まだみんなは、コソコソと話しているようだけど、もう気にしない。
知らないあいだに寝てしまう。
起きたときにも、ライは馬車の中にいない……
まあ、ちょうどよいかと、自分にクリーンの魔法をかけて外に出ていく。
みんなは温かいお茶を飲んで、パンを食べていた。
ソードがわたしの分だと、お茶とパンを ひとつ渡してくれる。
温かいお茶だ!
うれしくてマナー を気にせず、すぐに 一口飲む。
「おいしいっ!?」
「ありがとう。わたしが淹れたんです」
「ホントにソードの淹れたお茶は、そこら辺の侍女が淹れたお茶より うまいよな!」
「そうなんだ……侍女が淹れたお茶より……」
「パール、よく寝れましたか?」
「はい。ライが馬車にきたのも、出ていったのも知らないぐらい寝ていました」
ソードが、フッと微笑んで軽くうなずく。
また、馬車の旅がはじまった……
今回もソードから御者をするようだ。
やっぱり、ライは馬車の中みたい……
ソードは、ライの護衛なのかな?
毒味なんて、辺境伯家の跡取り息子のルート様でもなかったよ……
護衛のアース様は、いつも 一緒にいたけどね……
なんとなくアース様とソードは、立ち位置も似ているし……
ガントは関係ないと思っていたのに、普通に侍女とかいうし、おどろきだよ。
下級貴族の 三男とかなのかなぁ~?
馬車の中ではまたライの横で、迷い人の話になった。
ガントが竜人はいたか聞いてきたので、いたというとなぜかすごく感動している。
やっぱりというか、ライがどうやって向こうの国へ いったのか聞いてきた。
これは絶対に聞かれるだろうから、チェリー とあらかじめ決めていたとおり……
アストの森のダンジョンで急に霧がかかり、気がついたら向こうの国だったと伝えておいた。
じゃあ、どうやって帰ってきたんだと聞かれたので、向こうの 迷いの森まで竜人に連れていってもらい、同じように帰ってきたと説明しておく。
「迷いの森?」
そう、『迷いの森』と竜人たちは呼んでいたと話す。
ガントがおれも行ってみたいと、ブツブツいっていたので……
向こうの国では、数百年に 一度 迷い人がでるみたいだけど、なかなか会えないし、向こうも 当たり人が 五人いて王家が 迷い人を囲ってしまうから大変だと話しておいた。
そこまでで時間切れ、休憩ポイントにつく。
わたしは、サッと降りてオトイレを使いに……
帰ってくると、リンゴを 一個渡された。
持っていたんだ……
その場で食べて、また馬車は走りだす。
こまめに休憩はあるようで助かる。
しばらく走っていると、馬車が急にスピードを上げて、ソードが器用にドアから外の御者ガントがいるところに出ていった。
ライは平気なようで……
しばらくして、ソードが戻ってくる。
十数匹のシルバーウルフの群れがでたようだと教えてくれた。
「しょうがない、退治しておくかっ」
たいしたことではないみたいにライがいう。
ソードが御者のガントに、コンコンコンと馬車の壁を叩いて合図を送る。
馬車のスピードがおちて止まった。
「パール。ここからでないで、待っていてください」
それだけソードがいうと、サッと 二人とも馬車を 降りてしまう。
残されたわたしは、馬車の小窓を じっと見ていた。
たまに見えるシルバーウルフと、三人の様子……
強い! 危なげなく、倒していく。
これはわたしがでたら、足手まといなだけだな……
「チェリー すごいねぇ~ なん匹 いるのかな?」
「はい、十三匹だと思います。 みなさん魔剣で戦っているようです。それに、魔法袋を持っていますね」
「えっ、魔法袋? だれが?!」
「はい、三人ともです。 そこから魔剣を出し入れしています」
なんとっ!!
三人とも、魔法袋を持っているのかっ?!
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