迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜

青空ばらみ

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105. ラメール王国の知り合い

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 なんだか、すごく目覚めがいい。
 
「チェリー、おはよう! なんだかすごくスッキリしているんだけど……  なんでだろ? こんなもんなの?」

「はい、おはようございます。 それはこのベッドが、魔道具になっているからだと思います」

「えっ、ベッドが 魔道具?」

「はい。 パールが眠ってからベッドの癒しの魔石が弱く輝き続けて、パールを包み込んでいました。 悪いモノ ではないのでそのままにしていましたが、疲れがとれてよかったですね」

 おどろいて、どこに魔石があったのか調べる。

 マットの下、ベッドの中央に埋め込まれていた。
 あーっ、これは…… わかりにくい……
 あとで、他のベッドも調べないと……

 きっと、アロさんの足やアクロさんの傷を少しでも 癒すようにしていたんだな……
 わたしがもらって、よかったのかな?

 ホント 優しい人たちだよ……

 サッと リンゴを 一個 食べてテントをしまい、四隅のバリアを片付ける。

 隣の親方の店に行くと、カギもかかっていなかった。
 中に入ると、親方がいて……

「おう、きたな! よかった……  この時間なら、まだ大丈夫だ!」

「おはようございます! なにかあるんですか?」

「おうよ、だか まずはこの剣だ! どうだ?」

「わーっ、すごくキレイ! なにかの木の皮? ツル? なんだろ……」

「そうだ。 細い、いろいろな木の皮やツルを使って 色もかえて、細かく下が見えないように編んである。
このくるくる巻いてある部分をはずせば、魔石の交換もできるぞ!」

 おーーっ!

 女の子が持つモノだからか、細かく繊細な感じで目立ちすぎないように色味はおさえて、編んであった。

「すごくステキだよ! ありがとう!」

「そうか、気にいったか? よし! じゃあ、バンブの木のままだが、この水筒セットも 持っていけ!」

「うわーっ、もう 作ったんですか?」

「ケルスが、作ったんだよ!」

「お礼をいわなきゃ! ケルスさんは?」

「いま、人に会いにいっている。 すぐに帰ってくるから、それまでに話しをするぞ!」

 なんでも、わたしがメリッサお姉さんのところにいっているあいだに、ケルスさんのラメール王国にいたときの知り合いが来たそうだ。

 ピアンタからラメールに、ポーションや薬草を運んでいる人で、今回は帰ったところだったけど、何か特別なことがあって、また少人数で急きょ来たらしい。
 今日にも帰ってしまうようなので、わたしがそれに便乗できるか、いまケルスさんが聞きに行ってくれていると教えてくれた。

「ホントですか?! 助かります」

「あぁ、パールなら自分でラメール王国までいけるだろうが、一人でも多くラメール王国に行ったという証人がいたほうが、なにかと都合がいいだろう。 迷い人だとバレても王家も諦めやすいしな!」

 どう、お礼をしたらいいのか……
 
 馬車に乗せてもらうのか、馬なのか分からないけど、ラメール王国までの運賃を聞くと、大丈夫というだけで教えてくれない……

 しょうがないので、親方にお礼をいっておいた。
 
 それから、テントで使うダミー用の木の椅子はないか聞く。
 椅子なら売るほどあるというので、笑いながら折りたためる椅子を 六脚と小さなテーブルをひとつ。
 砂金 二つと交換してもらう。

 そのあとベッドを作れるか聞くと、時間はかかるが できるそうなので、それを 四つ。
  もう はずしたマットを見せて、このサイズでと注文する。

 すぐに親方はマットの大きさを測って、特別なマットだと気づいたようで、もらったのかと聞いてきた。

 隠さずに、もらった家族用テントについていたけど、よすぎて伯父さんたちを寝かせられないから、新しくベッドが欲しいと伝える。

「どうせなら前と同じ大きさのモノが、いろいろ試せて、なにかと便利そうでしょ?」

「じゃあ、マットも注文していいのか? 」

 ありがたい!

「いいモノを頼んでおいて!」

「豪華なのがいいのか? だれ用だ?」

  自分のは、そのまま使うからいまは、お客様用のベッドになると伝えておく。

 お金がそんなにないので、砂金をまた 四つ と 金の塊も 四つ 渡して、これで足りるか聞くと 十分もらいすぎだといわれる。

 これ以上、いま渡すのは無理そうだ。

 また、なにかでお礼をしよう……

 もらったテントの話しをしていると、ケルスさんが馬車に乗って帰ってきた。
 
 だれか、連れている……
 ケルスさんだけが、店に入ってきて説明してくれた。

 ラメールからきた人は、急ぎできたので小さな馬車らしく、どうも乗せる者が訳ありだと思ったようだ。
 ケルスさんと親方のことは信用しているが、六日も 狭い馬車で 一緒に過ごすことになるから……
 まずはどんな者なのか、確認しにひとりできたという。

 わたしは急ぎの私用で、ラメール王国までいきたいことになっていたようだ。
 メリッサお姉さんに頼まれた荷物を、お祖母さんに渡す用事と観光もかねていることにした。

 親方も、それがちょうどいいと言っていたので、なんとか理由もできて、その人に店の中まできてもらう。

 親方は大丈夫だと言ってくれたけど、なんだかこわいな……  無理そうなら、逃げよう……

 あっ、ケルスさんと 一緒に入ってきた……


「「えっ!!」」


「ガンさん!」

「パール!」

「なんだ、おまえら 知り合いか?」


 思いもしない人が、現れた……




 



 
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