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93. 迷い人の四日間

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 よく眠れて、スッキリ起きれる スグレモノ!

「いるよ!」

「おう、い、いる いるぞ!」

 よく眠れてスッキリ起きれるお薬をいるか聞いたら、返事はやっぱりウルグベお母さんのほうがはやかった……
 

「わたしは、これをウロで眠るときに 一本飲んでから寝てるんだけど、どうも人族と違って竜人さんは、薬が効きすぎるみたいなんで はじめは少し、一口ぐらいから試してくださいね」

 ウルグベお母さんが、もう握りしめていた。

 お母さんあとは、よろしく……

「おまえ、いくつ薬を持っているんだ? それにウロで寝るって、いったいなんだよ?」

 テトリがあきれて、聞いてきた。

 木のウロの説明をして、自分だけの安全な隠れ家に しようと思ったというと……

「パール。 おまえホント、苦労しているな…… ぜんぜん隠れ家でもないし、安全でもないぞ! それで、虫よけの薬草を持ってたのか! 怖さをまぎらすために、よく眠れる薬だろ? すごいな……」

 ウルグベお母さんも、抱きしめてくれた。
 これで 二度目。
 なんだかやっぱり、うれしいし 照れくさい…… 

「パール、向こうでも がんばれよ!」

 テトリにもなんだか、すごく励まされ、やる気に ドンドン なってきた!

 それからアリオさんが、またお店の棚から、なにか持ってきてくれる。

 丸い玉?

「パールちゃん。 これも、持っていって。 これは ウロによく似た モノ で、ひとり用のカプセルなんだ。 一番 簡単な非常用で、立てるし寝れるけど、歩けない大きさになっている。 このカプセルに登録しておくといざっていうとき中に入って隠れられるんだ 最長は  十年。 気をつけないといけないことは、このカプセルを安全なところにおくことぐらいかな?   ドラゴンに踏まれても、水の中でも火の中でも 一応は大丈夫だけど、ぜったいに試さないこと。 でてくるときが人族じゃ たいへんだからね」

「十年っ! あっ、ありがとうございます…… そんなに入っていることは ないですけど、 ウロの中にカプセルを入れて その中で寝たら、便利でいいですね。 虫が入ってこないので 安心です!」

「パール。 おまえ ホントに、大丈夫か?」

 テトリはあきれていたけど、気にしない。
 
 いろいろな モノ を、みんなにもらった……

 もう 十分だ!

 テトリたちにこれでもう、帰ろうと思うと 告げる。

 ウルグベお母さんは、外は暗いから今日は泊まって、明日の朝に帰ったらどうだいと いってくれる。

 なんなら、ケップラー王国を少し見学してから帰っても、いいんじゃないかといってくれた。

 テトリもせっかくきたんだ、四日間は自由にできるから、しばらくこっちにいろよと いってくれる。

 んーっ でもマプさんは、できるだけはやく帰る方がいいと、忠告してくれた……し……

 あれっ? どうして王様は、四日間は自由にさせてくれるんだろう?

「タルボさん。 どうして王様は 迷い人を、四日間だけ自由にさせているんですか?」

「あぁ。 それは、長い話になるがな…… 詳しくは ワシもわからんが、祖父さんが子どもの頃に その祖父さんに聞いた話らしいが…… 王家はこの国ができる前に、他の国を侵略して手に入れようとしていた時代が あったみたいなんだよ。 そのときにその国の自然をいっぱい壊して、自分の国の モノ をいろいろ持ってきて押しつけたらしい。 まぁ、いろんなことを やったんだろうな……  結果その国の人が大量に犠牲になり、侵略できたように思えたんだが、あるときから竜人が原因不明の病にかかりだして、もうそこでは暮らしていけない状況になってしまって、その国から逃げだしたようなんだ 」

「なんだっそれ? 知らないぞ! そんなことがあったのか?!」

「そうだろうな…… 王家はもう、隠しているからな」

「それでその国は、どうなったんだ?」

「侵略が終わったんだ、助かったさ。 原因不明の病も、竜人だけがなるものだったしな」

 なんだか、聞いたことがあるような、ないような…… 話だなぁ~?

「あとからわかったことは、その国の自然を壊して 気 を乱し、いろいろと人の負の感情、反感を買いすぎたようだ。 竜人はそういうまわりの 気 の中では、生きていけないとわかったらしい。 それからの竜人は自然を大切にしているし、やってくる 迷い人の負の感情ができるだけ少なくなるように、自由を与えていると聞いたがな、どうだろうな……」

「じゃあ なんで、四日間 なんでしょう?」

「そうだよな! 四日間も自由にさせておいて、そのあとは申告させるしな……  王城にいった 迷い人は、もう 外には出れないんだろ。 最初の 四日間だけが なんで自由なんだろうな? 王城で 迷い人は、なにしてるんだ?」

「特別な場所で大切に扱われて生活しながら、魔道具の開発やポーション作りをしていると、聞いたことがあるよ」

 アリオさんが、答えてくれた。

「ああ。 それならわたしも、聞いたことがあるね! 迷い人は特別なんだと、聞いたね」

「なに がだ?」

「すべてだよ。 魔力も竜人とは、また違う。 気 も 少数だと竜人にとって、すごくからだに よい モノ に なるんだそうだ……  大量は 毒 だがな……」

「四日を過ぎてから、帰ろうとした人は、いないのかなぁ?」

「いる。  隠れていた 迷い人も、最後はかならず 迷いの森に足を運ぶから、王家にすぐ バレてしまう。  もう 帰れないと言っていたそうだ……」

 タルボさんが、答えてくれる。

「どうして かな?」

「そらぁ~ 迷いの森で、トケイソウが 見つからないからじゃ ないか?」

 テトリがなに気なく、答える。

「見つからない?」

「あぁ。 来たときのトケイソウに、連れて帰ってもらうのなら、先に帰ってしまったんじゃ ないのか?」

 なんとなくだけど、そんな気もする テトリの なに気ない答えに、考えさせられる……

「もしかして、四日間のうちにトケイソウは、帰ってしまうの?」

 ふっと、思いついたことを いってみる。

「違うだろう? それなら、なぜ王家は 四日間、自由にするんだ? それじゃあ、迷い人に 帰られちまうだろ?」

「いや、そうでもない。 さっきのおまえたちのように引きとめられて、時間切れになるんじゃ ないか? そのあとで 迷い人を引きとると、王家が 迷い人にうらまれることは ないな……」

 えーっ、それは なんだか……?
 タルボさんの おとな的な 意見に おどろいていると……

「それは、ずるくないか?」

 テトリも 感じたようだ……

「でも、そうかもしれないよ! あの王家なら、あり得るね」

「そうだね。 国のためなら それぐらいは、するだろうね」

 ウルグベお母さんもアリオさんも それぐらい、あり得る話だと いいだした。

 そういえば……


「霞む森  迷う子羊光追う 優しさに  未練たちきり財をなす     当たり人 片手の中に入り込め   親切心が幸を生む……」


 ふっと 辺境伯家のパーティー で、みんなに教えてもらった 詞 を思い出した。

 王都で伝わっている この 詩 には、なにか意味が あるのかも……

 あぁ…… マーク……

 仲のよい竜人さん家族をみていると、思い出していまう。

 楽しかった、辺境伯領のことを……

 わたしも やっぱり、はやく……

 家族みんなに 会いたいなぁ……








 
 
 
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