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68. カニハの木で 秘伝のワザ

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「すごいよ  これ!? すごく いい!!」

 ハ、ハ、ハッ 

「そうだろう、そうだろう!」

「ホントにすごいよ! これは、木の皮?」

「ああ、カニハの木の皮を剥がして 乾燥させたモノを バンブにつけてある。見た目は、ちょいと変わった 木のコップに 見えるだろう? 同じように、水筒にも しておいたから セットみたいに なっているはずだ。 ついでに水筒のセンもキレイにしておいたぞ」

「うそっ!? ありがとう!」

 木の樹皮のはずなのに ちょっとツルっとしていて これもキレイ!
 思っていたより 数倍 いいものが 戻ってきた。

 カニハ の 木…… どんな木 なんだろう?
 親方も満足のできなのか、機嫌もいい。

「これはな、オレの爺さんからの秘伝でな。 かわいいピンクの花を咲かす 木の樹皮を 剥がして作る。 次はこの孫の ケルス に 伝えるワザ 、伝統だな!」

 ケルスさんは、お孫さんだったんだ!?
 親方って 呼んでいるから、わからなかった。

「そうなんです、早く教えてもらえるように 頑張っているんです!  あっ、親方。 選べました!」

「おーっ、そうか、どれ、どれ」

 二人で、楽しそうに バンブの木を 吟味している。
 もう、こんなに良いモノを作ってもらったし 二人に全部あげてもいいかと 思ってしまうけど、それはダメだと 教わっているから 黙っておく。
 そのかわりになるかな? 
 バンブの葉を 五十枚。
 お土産に 渡す。
 親方がすごく 喜んでくれた。
 お茶にして 飲むみたいだ。
 良かった!

 ケルスさんも 親方も 木を選んだので、また ひもで バンブの木を 五本まとめて 持っていく。
 親方は バンブの木に 付き添うように、ギルドまで 一緒に ついてきた。
 ケルスさんは、自分のバンブの木を スリスリ しながら 親方に ひと声。

「いってらしゃ~い!」


 ギルドまでの道で、また少し 親方と話をする。
 今回は、キノコの女王も 持って帰ってきた というと おどろいていた。

「よく採れたなぁー ? それは、状態にもよるが 金貨 一枚 狙える モノ だぞ!! よかったなあー そうだ、パール そんな 高価な モノ があるなら、個室を 希望しろよ」

「個室? えっ、なにそれ? どうやって? 」

「なんだ、個室を希望したことが ないのか?  貴重なモノを 持って帰ったときには、個室で 査定して もらうのさ。そうでないと、まわりのヤツらが うるさいだろう?  悪いヤツらも いるからな!」

「 ……わかった、今回は そうするよ」

「まてよ!  そうしたら、バンブは いつ 買えるんだ?
 カウンター で 待てばいいのか? 」

 バンブの木を買いたい親方は、オレも個室に入って? とか、いやダメだ、とか ブツブツいって 最後は、カウンター で 待つことにしたみたいだ。

 ギルドに入ると、前回と同じように 目立っていたけど、親方が横にいるから だれも声は かけない。
 これは 助かる、よかった!

 受け付けのお姉さんに 買い取りを頼むとき、個室を希望してみた。
 お姉さんは、チラッと バンブの木と 親方をみて 軽く うなずくと 個室に案内してくれる。

 長いバンブの木は カウンター  に 置いていくようで、別の受け付けの人に 預けることになり 親方が、オレが買うと その人に ついていく。

 カウンター  の横に 細い廊下があり、そこにはドアが 左右に 二つあった。
 二部屋 あるようだ。
 先導されて、右側の部屋に入る。
 ソファと大きなテーブルだけの シンプルな部屋で、なぜか 部屋の中に もうひとつ 扉がある。 
 三人が座れる 革張りの椅子に 座るよう 勧められ、お姉さんは  一人掛けの椅子に 座って 説明を始める。

「まずは、このテーブルの上に 商品をだして もらえますか?」

 軽くうなずいて、テーブルの上に だしていく。

 バンブの葉 を 二百枚。
 バンブの子 小 を 二本。
 キノコの女王 を 七本。

 商品を確認すると 少し微笑んで、いまから 担当の者が くるので お待ちくださいね と 言って あっさり もうひとつの扉から 部屋を 出ていってしまった。
 なるほど、そういう 作りか……
 すぐに、そこから マークぐらいの年齢の 細身の男の人が 入ってきて 挨拶する間もなく、商品が置いてある テーブルまで近づき 確認しだした。
 ひと通り確認して 納得したのか、やっと わたしをみて 話しだす。

「うん、良い モノ だ。 順番が逆になったけど、わたしは ピルツ よろしくね。きみは、パールくんで 間違いないね」

「はい、仮冒険者の パールです」

「バンブだけじゃなく、キノコの女王まで 最高の品質だよ! これをすべて 売ってもらえるって ことで 間違いないね」

「はい、あと カウンターに バンブの木が 五本 あります」

「それも、先ほど 見せてもらたっよ」

 神経質そうな人ぽく みえたから ちょっと 不安になったけど、話すと あんがい優しそうでよかった……

「金額だけど、まず バンブの木は 前 とってきた モノより 少し長いね。 次も とってくるなら、この長さ 二メートル以上に したらいいよ。 今回は 二メートルあったから、一本 銀貨 一枚 と 銅貨 二枚。 これが 五本 だね。 あと、バンブの葉は 十枚 で ワンセット。それが 銅貨 七枚 で 二百枚 だから 二十セット。 バンブの子は 少し 小さいようだけど、キレイに 採れている。 一本 銀貨 五 枚が 二本。 それから 最後 キノコの女王は、最高の状態だよ! これは 一本 金貨 一枚だ。 こんな良い状態の モノ が 入ってくるのは珍しいよ。全部で 金貨 七枚と大銀貨 三枚 だね」

「わかりました。ありがとうございます。では、金貨七枚はギルドに預けて、大銀貨 三枚は 持って帰ります。一枚は 銀貨で お願いできますか?」

「ああ、いいよ。 これからも キノコの女王 を 頼む。 バンブの子は もう少し大きければ もうちょっと高値が つけられる。 バンブの葉は もっと量が多くても 大丈夫 買い取るよ。 バンブの木は 太いと 高い。 いまのは 少し細めだけど これは これで 需要があるからね」

 ギルドのカードを渡して、お金を 入金してもらい 大銀貨 二枚と 銀貨 十枚を 受け取って 部屋をでる。

 親方はもう いなかった。
 先に 吟味していたから やっぱり はやいね……

 さあ、いまから キノコの女王様 を 持って


 メリッサお姉さんのところへ いくぞ!!
 




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