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46. 四人家族
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なんというか、マークとシーナがホントに結婚することになった。
結婚話はトムさんの頑張りで、あっという間に お屋敷中 広がっていった。
辺境伯様も王都に奥様を残し、思いのほか早く 帰ってきたので、トムさんが待ってましたとばかりに辺境伯様の書斎まで飛んでいき マークとシーナの結婚の報告を済ませてしまった。
このスピードは おそるべし!
これで、もうマークは逃げられない。
こんなことでいいのか? マークに聞いてみた。
「ねぇ、マーク。 ホントにこんな感じで結婚してもいいの? 」
マークは ちょっと笑いながら……
「あれは、ホント すごかったな! シーナちゃんもトムさんも…… とくに、トムさん…… シーナちゃんのために 一生懸命で、あんなに必死になっていわれたら断れないよ。シーナちゃんが いい子なのも知っているし、それにあの、四人家族はよかったな! 」
そういってまた、笑いだした。
わたしもあの二人の一生懸命な説得?プロポーズ?を思い出して笑ってしまう。
結婚って、こんなふうに決まることもあるんだな?っと、ちょっとだけ思ったりもした。
それからマークとトムさんで もう 一度 軽く話し合い、四人で王都に旅立つことを 辺境伯様に告げにいってくれた。
結果、思っていたよりも 大層なことになる。
料理長も馬番も、すぐに代わりを見つけられるか わからないからだ。
後任を見つけても引き継ぎに 三年。
わたしが、仮ではなく ホントの冒険者になれる十歳まで リエール領に残って、後継者を育ててほしいといわれたらしい。
マークが すごく怒って ごねたようで、妥協案として わたしが王都で暮らすあいだの、宿屋の 一日二食分の食事代と宿代三年分を辺境伯様が だしてくれることになった。
わたしは王都に七歳になるギリギリ手前で ここを旅立ち、冒険者見習いの三年間は、無理をせずに 薬草採取をして 冒険者になるための準備期間にあてる。
マークとシーナは 新婚生活を馬番小屋でおくりながら、お屋敷から次の馬番になる人に 三年間 通ってもらい 馬番の指導をする。
トムさんはそのまま お屋敷で暮らし、次の料理長を三年のあいだに決めて、その人を育てる。
まぁ、妥当だよね。
マークは納得していないようだったけど、考えてみたら 新婚さんと 一緒に暮らすよりは、トムさんにとっても、わたしにとっても みんなにいいよね!
住むところと、食べることにも困らないなら ひとり暮らしもいい経験だ。
わたしはすぐに、賛成した。
マークはグズグズいっていたけど、シーナが力説しだした。
「マーク、これからの三年間 いままで以上に頑張ってお金を三人で貯めましょう。パールに使うはずだった王都の宿屋への代金は 辺境伯様がだしてくれるし、パールも向こうでそんなに必死になって働かなくても、三年間は比較的 安全になんとかなるわ。冒険者見習いのあいだは もともとそう無理はできないのだし、わたしたちは そのあいだに パールが次に向かうラメール王国とセルバ王国の旅費 それと生活費を貯めるのよ! パールが落ち着く国が決まったら、そこで 宿屋でも開きましょう! お父さんが料理長でわたしが給仕兼 雑用係。 マークは宿屋の管理役よ どう? これでみんな幸せに暮らせるわよ! 」
「おー、それはいいな! わしはできたらダンジョンの近くで 冒険者を相手に料理を作ってみたいぞ! ダンジョンからとれる魔物の肉を 料理したいんだよ! 」
「そうね! そうしたらパールが冒険者をしてても すぐに帰ってこれるし、なんならマークもたまにパールと 一緒に冒険できて安心よね」
「……そうだな、この王国にずっといるとは限らない。 むしろ、ラメール王国あたりのほうが 安心かもしれないな。パール、六歳 ギリギリまでここにいて それから安全に 王都に向かってくれ…… 」
「わかったよ、そうする」
わたしが王都に旅立つのは、どうやら 六歳ギリギリまで延びたようだ。
みんながわたしのために いろいろ考えてくれて、違う国まで ついてきてくれると あたりまえのように話している。
ホントにそれで みんなは大丈夫なのか?
そんなわがままを わたしひとりが、してもいいものか?
「わたしは、幸せものだな…… 」
小さくつぶやいた わたしのひとりごとを シーナが目ざとく拾ったようで、ニッと わたしに向かって微笑み 話しだす。
「あらっ、なに いってるの? それは わたしに決まっているじゃない。 十年越しの 初恋が 叶ったのよ! パールは、へんなことに 気をつかわないで 自由に生きればいいの。わたしはどこにいっても マークがいれば幸せなんだから! 」
「うっ、うん。 ありがとう」
もう、ぜんぜん隠さない シーナの愛の言葉に驚きながら わたしは チラッと マークをみた。
照れているのか、口元が少し緩んでいて まんざらでもないようだ。
トムさんは、やっぱり苦虫を噛み潰したよう顔で シーナのことを 目を細めて見つめている。
わたしは ふっと、もうマークは安心だなっと ちょっとうれしくなって、それから…… 少しだけ さみしく思いかけたとき……
トムさんが、わたしの頭を撫でた。
えっ、っと思って トムさんを見上げると いつもマークが撫でてくれていたときの 目が そこにあった。
「これからは、みんな家族だ。 二人増えたぞ、増えたんだよ…… これからもよろしくな。パール」
なんでも お見通しだよ……
「四人家族だね、トムさん…… 」
「あぁ、四人家族だパール…… 」
なんとなく…… トムさんの大きな手を キュッと つかんだ。
トムさんは一瞬肩を ピクっとさせ、わたしを見つめて 優しく微笑む……
「小さな…… 手 だな。パールも…… ありがとよ」
結婚話はトムさんの頑張りで、あっという間に お屋敷中 広がっていった。
辺境伯様も王都に奥様を残し、思いのほか早く 帰ってきたので、トムさんが待ってましたとばかりに辺境伯様の書斎まで飛んでいき マークとシーナの結婚の報告を済ませてしまった。
このスピードは おそるべし!
これで、もうマークは逃げられない。
こんなことでいいのか? マークに聞いてみた。
「ねぇ、マーク。 ホントにこんな感じで結婚してもいいの? 」
マークは ちょっと笑いながら……
「あれは、ホント すごかったな! シーナちゃんもトムさんも…… とくに、トムさん…… シーナちゃんのために 一生懸命で、あんなに必死になっていわれたら断れないよ。シーナちゃんが いい子なのも知っているし、それにあの、四人家族はよかったな! 」
そういってまた、笑いだした。
わたしもあの二人の一生懸命な説得?プロポーズ?を思い出して笑ってしまう。
結婚って、こんなふうに決まることもあるんだな?っと、ちょっとだけ思ったりもした。
それからマークとトムさんで もう 一度 軽く話し合い、四人で王都に旅立つことを 辺境伯様に告げにいってくれた。
結果、思っていたよりも 大層なことになる。
料理長も馬番も、すぐに代わりを見つけられるか わからないからだ。
後任を見つけても引き継ぎに 三年。
わたしが、仮ではなく ホントの冒険者になれる十歳まで リエール領に残って、後継者を育ててほしいといわれたらしい。
マークが すごく怒って ごねたようで、妥協案として わたしが王都で暮らすあいだの、宿屋の 一日二食分の食事代と宿代三年分を辺境伯様が だしてくれることになった。
わたしは王都に七歳になるギリギリ手前で ここを旅立ち、冒険者見習いの三年間は、無理をせずに 薬草採取をして 冒険者になるための準備期間にあてる。
マークとシーナは 新婚生活を馬番小屋でおくりながら、お屋敷から次の馬番になる人に 三年間 通ってもらい 馬番の指導をする。
トムさんはそのまま お屋敷で暮らし、次の料理長を三年のあいだに決めて、その人を育てる。
まぁ、妥当だよね。
マークは納得していないようだったけど、考えてみたら 新婚さんと 一緒に暮らすよりは、トムさんにとっても、わたしにとっても みんなにいいよね!
住むところと、食べることにも困らないなら ひとり暮らしもいい経験だ。
わたしはすぐに、賛成した。
マークはグズグズいっていたけど、シーナが力説しだした。
「マーク、これからの三年間 いままで以上に頑張ってお金を三人で貯めましょう。パールに使うはずだった王都の宿屋への代金は 辺境伯様がだしてくれるし、パールも向こうでそんなに必死になって働かなくても、三年間は比較的 安全になんとかなるわ。冒険者見習いのあいだは もともとそう無理はできないのだし、わたしたちは そのあいだに パールが次に向かうラメール王国とセルバ王国の旅費 それと生活費を貯めるのよ! パールが落ち着く国が決まったら、そこで 宿屋でも開きましょう! お父さんが料理長でわたしが給仕兼 雑用係。 マークは宿屋の管理役よ どう? これでみんな幸せに暮らせるわよ! 」
「おー、それはいいな! わしはできたらダンジョンの近くで 冒険者を相手に料理を作ってみたいぞ! ダンジョンからとれる魔物の肉を 料理したいんだよ! 」
「そうね! そうしたらパールが冒険者をしてても すぐに帰ってこれるし、なんならマークもたまにパールと 一緒に冒険できて安心よね」
「……そうだな、この王国にずっといるとは限らない。 むしろ、ラメール王国あたりのほうが 安心かもしれないな。パール、六歳 ギリギリまでここにいて それから安全に 王都に向かってくれ…… 」
「わかったよ、そうする」
わたしが王都に旅立つのは、どうやら 六歳ギリギリまで延びたようだ。
みんながわたしのために いろいろ考えてくれて、違う国まで ついてきてくれると あたりまえのように話している。
ホントにそれで みんなは大丈夫なのか?
そんなわがままを わたしひとりが、してもいいものか?
「わたしは、幸せものだな…… 」
小さくつぶやいた わたしのひとりごとを シーナが目ざとく拾ったようで、ニッと わたしに向かって微笑み 話しだす。
「あらっ、なに いってるの? それは わたしに決まっているじゃない。 十年越しの 初恋が 叶ったのよ! パールは、へんなことに 気をつかわないで 自由に生きればいいの。わたしはどこにいっても マークがいれば幸せなんだから! 」
「うっ、うん。 ありがとう」
もう、ぜんぜん隠さない シーナの愛の言葉に驚きながら わたしは チラッと マークをみた。
照れているのか、口元が少し緩んでいて まんざらでもないようだ。
トムさんは、やっぱり苦虫を噛み潰したよう顔で シーナのことを 目を細めて見つめている。
わたしは ふっと、もうマークは安心だなっと ちょっとうれしくなって、それから…… 少しだけ さみしく思いかけたとき……
トムさんが、わたしの頭を撫でた。
えっ、っと思って トムさんを見上げると いつもマークが撫でてくれていたときの 目が そこにあった。
「これからは、みんな家族だ。 二人増えたぞ、増えたんだよ…… これからもよろしくな。パール」
なんでも お見通しだよ……
「四人家族だね、トムさん…… 」
「あぁ、四人家族だパール…… 」
なんとなく…… トムさんの大きな手を キュッと つかんだ。
トムさんは一瞬肩を ピクっとさせ、わたしを見つめて 優しく微笑む……
「小さな…… 手 だな。パールも…… ありがとよ」
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