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43. 爆弾発言

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「おれは…… やっぱり ここを 離れようと思う……」


「「「えっ!? 」」」

 なんという 爆弾発言!!
 マークが、この辺境伯家を 出ていく?

「おれは 足が こんなんだか……  なんとか二人。 食べていけるぐらいは、まだ冒険者として やっていけると思うんだ…… 」

 えっ、二人って ことは わたし?

「パールのそばにいる。 きっと マギー と ベン 、義父さんもここを離れることを 許してくれると思う 」

「おい、おい、マーク。 気持ちはわかるが、そんなに急には ここは辞めれないぞ。馬たちは どうなる? 引き継ぎも、後任を育てるのは 大変だぞ」

「わかってる」

「マーク、そんなこと 聞いてなかったよ? わたしは 大丈夫。 『前世の記憶』もあるし なんとかなるよ。それにわたし、ラメール王国やセルバ王国にも行ってみたいから あっちこっち気まぐれに フラフラするかもしれないよ」

「だから、余計 ここにはいられない! こんな東の端で パールのことを心配しているぐらいなら、おれはパールにずっと ついていく。おれが、ダメなんだ! もう家族と離ればなれに なりたくないんだよ! 」

「マーク…… 」

「おまえは、パールは 好きに生きたらいい。 好きなところにいって、好きになった人と結ばれて 幸せになってくれたらいい……  ただ、おれは そんなおまえを ずっと そばでみていたいんだよ…… 」

「マーク、いますぐパールも王都にいくわけじゃない。 まだ八ヶ月ある。みんなも 驚いているし……    少し考える時間が必要だろう? パールも?  んっ 」

「ああ 、そうだな。 パール 驚かせて すまない……  でも、おれの気持ちは変わらない」

「うん ……  わかった。 わたしも少し 考えてみる……  」

 なんだか、思いもしなかった話で驚いたけど……
 さっきから 気になっていたことがある。
 シーナが、ひと言も しゃべらない。
 チラッと シーナを見ても 軽くうつむいたまま 無表情で、なにかを 考えているよう なんだけど……

 こわい…… 大丈夫だろうか?

 横にいる トムさんをみると シーナのことを見つめて、心配している目と表情が 隠せていない…… 

 えっ?! 

 まさか、トムさんもシーナの気持ちに 気付いてたの?
 驚いて トムさんを見てみると、気付かれて ちょっと 困ったように微笑んでくる。

 あーー っ  知ってたんだ。

 なんといったら いいのか……
 なんだか、やるせなくなって マークを チラッと 見ると……

 マークは じっと わたしを見ていた……

 わたしと目が合ったマークは、優しく 微笑んでくれる。
 
「マーク…… 」

 思わず 声が でてしまった。
 
 マークはまた、優しく 微笑んでくれた……


  ♢


 六歳になってすぐに、わたしのレベルが 40 になった。
 チェリーに、レベルが上がったときには 教えてほしいと伝えていたので さっそく確認する。

 まずは 検索が 100キロメートルになっていた。
 レベル39 のときは 検索が 19キロメートルだったので 次は 20キロメートルかと思いきや、すごい上がりようだ。
 レベルの上がり方が 20台から 30台へ。
 30台から 40台へと 上がるときは 同じような感じかな。

 それと新しくスキル『マッピング』が 10本ついていた。
 マーキングすると それが存在する場所を教えてくれるらしい。
 試しにマークに付けてみる。
 夜だったので移動がないし、わたしの位置のすぐ横で ピコピコ しているから消してしまった。
 これは失敗だ。
 次は物、香木にマーキングを付けてみた。
 これはすごい!?
 森の方角とわたしの近くで、点々と赤く光っている。
 アッ もしかしたらこれは、冒険で使える?
 薬草にマーキングしておいたら、自動で見つけられるかも?

「チェリー、このスキルマッピングは 薬草を見つけるのに 便利よね? 」

「はい、そうです 」

 これは、最高ですなっ!  
 うん、は、はっ

「この マッピング、いまは 十本 だけど 増えるよね?」

「はい、レベルに合わせて 増えます」

 よかった。
 このスキルは、当たりだ!!

 あとは明日、湖でいろいろ試そう。

 レベルの確認で、目が覚めてしまったのか 眠れないので ベッドの横にあった 香木の欠片に向かって なんの気なく、いつも作っている球体のことを思い出して 球体、玉になれ~っと 願ってみた。

 香木の欠片が、どんどん勝手に削られていき みるみるうちに球体、香木の玉になった。

 うそー!!  急いで、その香木の玉に 触れにいく。
 んー っ 、 残念?!
 わたしが作った球体より ザラザラ している。
 あとは 磨きか……
 これはホコリがでるので 明日 試そう。

 ちょっと ザラザラした 香木の玉を握って いい匂いを嗅ぎながら、マークのことを考えて 少し悩んでいた。

 コン、コン、コン

「パール、すまない……  起きているか?  少し話さないか? よかったらリビングに、きてくれるかな? 」

「わかった……  いまいくよ」

 マークからの、ちょっと ぎこちない お誘いだ……
 逃げられないな。

 わたしは ザラザラした 香木の玉を、もう 一度 ギュっと 握りしめてから マークのいるリビングへと向かう。


 なんだか、ドキドキが止まらない……
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