39 / 221
39. レベル38からの特典
しおりを挟む
ふ、ふ、ふ、ふっ。
今日からお屋敷の図書室に、堂々と入れる!
辺境伯様に図書室の使用許可を得た。
王家や辺境伯家のことを図書室で詳しく調べたうえで、しおりを作りたいとマークに願い出てもらったのだ。
もう隠れて図書室に入らなくてすむ。
でもまだスキルコピーは使えないので、地道に王家について調べることにはなるけどね。
聞くところによると、なんだかあまりいい噂の聞かない王様らしく、はやく優秀だと評判の次の王太子に代わらないかと思っている人も多いみたいだ。
聞けば聞くほどイヤになる。
絶対下手に目立ってはダメ。
王家には良すぎる物も、へんな物も渡せない。
無難な落としどころを探さなければ。
材料は潤沢だし、カイルさんとマークに相談して、丸太の芯の部分で贅沢に、前回の分よりもひとまわり大きいしおりを作ることに決定!
しおりを板状にするのは、またマークがやってくれることになったよ。
慣れてるしね!
軽くしおりの周りに透かし模様を入れて豪華ぽく、そしてどうやって作ったんだと思うほど繊細でもない物にする。
どんな模様をしおりに入れるかすごく悩んで、図書室に何度も通う。
結局これも無難に王家には王家の象徴ユリの花を使うことが決まり、しおりのフチの周りにユリの花を入れて、真ん中にピアンタと王国名を入れることで落ち着いた。
辺境伯家には家紋の中にある蔦をしおりの周りに少し入れ、前回と同じようにリエールと入れる。
何度も別の木で練習して、納得のいくものができたときには、わたしのレベルが38になっていた。
それだけ細かいことを練習したと思うべきか、レベルが30を超えると、こんな細かいことでもレベルは上がるのかと思うべきか、ちょっと思うところはあるけど、これでスキルコピーが使えるはずだ。
マークには出来上がったしおりを辺境伯様に届けてもらうときに、もっとこの王国や薬草について勉強したいので、図書室の使用を継続させてほしいと伝えてもらう。
しおりが思いのほか評判がよいので、二つ返事で了承された。
それからは朝九時、四の鐘がなってから一の鐘がなるお昼まで図書室にこもり、念願だったスキルコピー を使いまくる。
昼食を食べてからも図書室にこもりたかったけど、マークが剣の練習や冒険者の準備で止めるので、なかなか昼からはいけない。
なので、ふ、ふ、ふっ。
密かに夜、部屋の窓から図書室へ以前のように忍びこんでスキルコピーを使いまくっている。
頭にすごい勢いで入ってくる知識に酔いそうになるときもあったけど、引き出しが頭の中にできたような感じがしてからはけっこう楽しい。
マークにはバレているようにも思うけど、鐘が一つなる十二時までには帰ってきているので見逃してもらっているのかも?
図書室に通いながら今悩んでいることは、このお屋敷を旅立つときにみんなに渡すプレゼント。
作るのに慣れたしおりでもよろこばれそうだけど、そうすると王家に渡したしおりの値打ちがなくなって、辺境伯様に文句をいわれるかもしれないし……
お貴族様と平民で、差をつけなきゃいけないから困ってしまう。
「チェリー 、なにかみんなに渡すのに作りやすくて邪魔にならない、男女両方が使える小物ってないかなぁ?」
「はい。ネックレスなどが簡単かと思います」
頭にいろいろなネックレスが浮かんできた!
「チェリー! 頭の中に浮かぶ、このいっぱいのネックレスはなんなの!? こんなのわたし知らない。見たことないよ!」
「はい。これらは『前世の記憶』から引き出したネックレスです。このようなモノは、どうでしょう?」
頭の中には木や石などがいろいろな形に整えられ、キレイに磨かれて革の紐に通されているさまざまなネックレスの映像が次々にでてきて驚いた。
「こんなこともできたの!? 聞いてないよー!!」
「はい。レベル38からの特典です。『前世の記憶』からわたくしが、パールに聞かれたものを検索して引き出し答えます」
「すごくいい。このネックレスかわいい! 革の部分を調節したら、カバンや腰にも付けられるよね!?」
きゃーっ 、また映像がっ!
「これは……なに、いまいってたカバンに付ける……『キーホルダー』でしょう! 思い出した!」
すごいよ! 大興奮!
この新しい特典はいい、すごく便利……
「はい。いかがでしょうか?」
こんな素晴らしいスキル? 特典? が新しくでてきてたのならもっと早く、すぐに教えて欲しかったよ。
ちょっとチェリーが恨めしいけど、必要なときには教えてくれたんだし、まぁ、よしとしておこう。
みんなに渡すプレゼントは、香木のキーホルダーにもできるネックレスに決めた。
デザインはすごく悩んだが、平べったい円の中心より少し上に、また円がくり抜かれている単純な形の物にした。
そのくり抜かれたところに革紐を通して、ネックレスにする。
この形に関しては、マークにも相談した。
「おまえの名前。パールを連想できる、丸いかわいい形でいいんじゃないか」
この一言で、決定した……ヘ、へ。
今日からお屋敷の図書室に、堂々と入れる!
辺境伯様に図書室の使用許可を得た。
王家や辺境伯家のことを図書室で詳しく調べたうえで、しおりを作りたいとマークに願い出てもらったのだ。
もう隠れて図書室に入らなくてすむ。
でもまだスキルコピーは使えないので、地道に王家について調べることにはなるけどね。
聞くところによると、なんだかあまりいい噂の聞かない王様らしく、はやく優秀だと評判の次の王太子に代わらないかと思っている人も多いみたいだ。
聞けば聞くほどイヤになる。
絶対下手に目立ってはダメ。
王家には良すぎる物も、へんな物も渡せない。
無難な落としどころを探さなければ。
材料は潤沢だし、カイルさんとマークに相談して、丸太の芯の部分で贅沢に、前回の分よりもひとまわり大きいしおりを作ることに決定!
しおりを板状にするのは、またマークがやってくれることになったよ。
慣れてるしね!
軽くしおりの周りに透かし模様を入れて豪華ぽく、そしてどうやって作ったんだと思うほど繊細でもない物にする。
どんな模様をしおりに入れるかすごく悩んで、図書室に何度も通う。
結局これも無難に王家には王家の象徴ユリの花を使うことが決まり、しおりのフチの周りにユリの花を入れて、真ん中にピアンタと王国名を入れることで落ち着いた。
辺境伯家には家紋の中にある蔦をしおりの周りに少し入れ、前回と同じようにリエールと入れる。
何度も別の木で練習して、納得のいくものができたときには、わたしのレベルが38になっていた。
それだけ細かいことを練習したと思うべきか、レベルが30を超えると、こんな細かいことでもレベルは上がるのかと思うべきか、ちょっと思うところはあるけど、これでスキルコピーが使えるはずだ。
マークには出来上がったしおりを辺境伯様に届けてもらうときに、もっとこの王国や薬草について勉強したいので、図書室の使用を継続させてほしいと伝えてもらう。
しおりが思いのほか評判がよいので、二つ返事で了承された。
それからは朝九時、四の鐘がなってから一の鐘がなるお昼まで図書室にこもり、念願だったスキルコピー を使いまくる。
昼食を食べてからも図書室にこもりたかったけど、マークが剣の練習や冒険者の準備で止めるので、なかなか昼からはいけない。
なので、ふ、ふ、ふっ。
密かに夜、部屋の窓から図書室へ以前のように忍びこんでスキルコピーを使いまくっている。
頭にすごい勢いで入ってくる知識に酔いそうになるときもあったけど、引き出しが頭の中にできたような感じがしてからはけっこう楽しい。
マークにはバレているようにも思うけど、鐘が一つなる十二時までには帰ってきているので見逃してもらっているのかも?
図書室に通いながら今悩んでいることは、このお屋敷を旅立つときにみんなに渡すプレゼント。
作るのに慣れたしおりでもよろこばれそうだけど、そうすると王家に渡したしおりの値打ちがなくなって、辺境伯様に文句をいわれるかもしれないし……
お貴族様と平民で、差をつけなきゃいけないから困ってしまう。
「チェリー 、なにかみんなに渡すのに作りやすくて邪魔にならない、男女両方が使える小物ってないかなぁ?」
「はい。ネックレスなどが簡単かと思います」
頭にいろいろなネックレスが浮かんできた!
「チェリー! 頭の中に浮かぶ、このいっぱいのネックレスはなんなの!? こんなのわたし知らない。見たことないよ!」
「はい。これらは『前世の記憶』から引き出したネックレスです。このようなモノは、どうでしょう?」
頭の中には木や石などがいろいろな形に整えられ、キレイに磨かれて革の紐に通されているさまざまなネックレスの映像が次々にでてきて驚いた。
「こんなこともできたの!? 聞いてないよー!!」
「はい。レベル38からの特典です。『前世の記憶』からわたくしが、パールに聞かれたものを検索して引き出し答えます」
「すごくいい。このネックレスかわいい! 革の部分を調節したら、カバンや腰にも付けられるよね!?」
きゃーっ 、また映像がっ!
「これは……なに、いまいってたカバンに付ける……『キーホルダー』でしょう! 思い出した!」
すごいよ! 大興奮!
この新しい特典はいい、すごく便利……
「はい。いかがでしょうか?」
こんな素晴らしいスキル? 特典? が新しくでてきてたのならもっと早く、すぐに教えて欲しかったよ。
ちょっとチェリーが恨めしいけど、必要なときには教えてくれたんだし、まぁ、よしとしておこう。
みんなに渡すプレゼントは、香木のキーホルダーにもできるネックレスに決めた。
デザインはすごく悩んだが、平べったい円の中心より少し上に、また円がくり抜かれている単純な形の物にした。
そのくり抜かれたところに革紐を通して、ネックレスにする。
この形に関しては、マークにも相談した。
「おまえの名前。パールを連想できる、丸いかわいい形でいいんじゃないか」
この一言で、決定した……ヘ、へ。
67
お気に入りに追加
633
あなたにおすすめの小説

追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中
四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。

誰も要らないなら僕が貰いますが、よろしいでしょうか?
伊東 丘多
ファンタジー
ジャストキルでしか、手に入らないレアな石を取るために冒険します
小さな少年が、独自の方法でスキルアップをして強くなっていく。
そして、田舎の町から王都へ向かいます
登場人物の名前と色
グラン デディーリエ(義母の名字)
8才
若草色の髪 ブルーグリーンの目
アルフ 実父
アダマス 母
エンジュ ミライト
13才 グランの義理姉
桃色の髪 ブルーの瞳
ユーディア ミライト
17才 グランの義理姉
濃い赤紫の髪 ブルーの瞳
コンティ ミライト
7才 グランの義理の弟
フォンシル コンドーラル ベージュ
11才皇太子
ピーター サイマルト
近衛兵 皇太子付き
アダマゼイン 魔王
目が透明
ガーゼル 魔王の側近 女の子
ジャスパー
フロー 食堂宿の人
宝石の名前関係をもじってます。
色とかもあわせて。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜
ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。
死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。

【完結】男爵令嬢は冒険者生活を満喫する
影清
ファンタジー
英雄の両親を持つ男爵令嬢のサラは、十歳の頃から冒険者として活動している。優秀な両親、優秀な兄に恥じない娘であろうと努力するサラの前に、たくさんのメイドや護衛に囲まれた侯爵令嬢が現れた。「卒業イベントまでに、立派な冒険者になっておきたいの」。一人でも生きていけるようにだとか、追放なんてごめんだわなど、意味の分からぬことを言う令嬢と関わりたくないサラだが、同じ学園に入学することになって――。
※残酷な描写は予告なく出てきます。
※小説家になろう、アルファポリス、カクヨムに掲載中です。
※106話完結。

俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。


【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる